資金と同等、またはそれ以上に | エコピープルの経済・金融トピックス

資金と同等、またはそれ以上に

 本日も弊社ホームページをご覧いただきまして誠に有り難うございます。


 3月も中旬です。卒業式や人事異動の時期となっておりますが、これから新しい環境に飛び込んでいかれる皆様が、新天地でご活躍されることを心より願っております。


 来月1日、第一生命保険相互会社が東京証券取引所に上場します。同社は1902年に国内初の相互会社として発足していることもあり、歴代社長は相互会社への思い入れが強く、株式会社転換へは最も遠い生保といわれておりました。しかし、少子化や若年層の生保離れによる国内市場の縮小、国内契約者を優先する相互会社では積極的に新興国等へ進出できないことから、株式会社への転換を図ったものと思われます。更に、同じく国内市場の縮小に晒された損保業界において持株会社方式で統合する大型再編が起きていますので、そういったことを見据えているとも考えられます。いずれにしましても、国内の新規株式公開(IPO=Initial Public Offering)としては1998年のNTTドコモ以来の大型上場ですので、皆様も動向を注視されているに違いありません。


 ところで、昨年1年間に東京証券取引所などの国内取引所に新規上場した企業は19社にとどまり、統計のある1985年以降で最低に陥ってしまいました。ベンチャーキャピタルなどの支援ビジネス衰退も影響しているものと思われますが、若い企業を育てていく基盤を整備していかないと、日本の未来は明るいものにはなりません。概して最近の若者は挑戦意欲が欠如しているといわれ、学生に将来、何になりたいのかと聞くと、多くの学生が「正社員」と答えるとか。今後の日本経済はどうなってしまうのでしょうか・・・・。


 さて、前述のベンチャーキャピタルですが、企業をIPOに導く上で大きな役割を担っております。IPOを目指す企業経営者の悩みは多岐にわたっています。経営基盤が整っていないこうした企業にとってベンチャーキャピタルによる資金供与は無論重要ですが、それと同等、またはそれ以上に、ビジネスを発展させるために有用な知識や経験、人脈が重要となってきます。豊富な知識や経験、幅広い人脈をもっている人材を擁するベンチャーキャピタルが、これまでの資本主義経済発展の中で産業革新や新興企業発展をもたらす重要な役割を果たしてきています。


 世界最初の株式会社は、日本で江戸幕府が開かれる前年(1602年)の3月20日にオランダで設立された東インド会社だといわれています。それ以前、ヨーロッパからアジアへの航海は成功すれば莫大な富と名声をもたらす一方、難破などのリスクも高く、その資金を募る「座」と呼ばれる組織が航海ごとに設立・解散していました。こうした中でリスク分散と恒常的な活動を目的に設立されたのが東インド会社です。株主は資金はもとより様々な助言や援助を行うことで航海の成功を支援し、船長は株主からの要求に応えるべく行動しました。航海の成功(新規上場)という目標は株主(ベンチャーキャピタル)と船長(企業経営者)にとっての共通のゴールであったのです。勃興期の原始資本主義に立ち返り、株主と企業経営者との関係(特に、株主が船長である企業経営者の航海技術能力を正しく判断して、これから付き合っていけるのかということ)を改めて考え直す時期であるともいえそうです。


 さて、IPOは弊社でも目指している極めて重要な目標です。顧客、株主、取引先、従業員等々の様々なステークホルダーと協調してより強固な信頼関係を築き上げ、必ずや目標を達成すべく、日々の業務に取り組んで参る覚悟です。引き続き皆様の絶大なるご支援をお願い申し上げます。

    

    環境社会検定試験(eco検定)合格エコピープル

    社団法人不動産証券化協会認定マスター

    1級DCプランナー(企業年金総合プランナー)

    1級ファイナンシャル・プランニング技能士

    マンション管理士

                 企画室  深澤 智広