歪みを発見することが… | エコピープルの経済・金融トピックス

歪みを発見することが…


 本日も弊社ホームページをご覧いただきまして誠に有り難うございます。


 本日から3月。春寒ようやく緩みはじめたこの頃ですが、皆様も油断をされますと体調を崩しかねませんので、くれぐれもご留意を。


 調査会社ユーカリヘッジ(シンガポール)によりますと、昨年、世界全体のヘッジファンドで運用成績(資金の出し手である投資家が実際に手に入れる税引き前リターン)が約19%のプラスとなりました。6年ぶりの高水準で、マイナス11%まで落ち込んだ一昨年から大幅に改善しています。また、昨年末の運用資産残高は一昨年より114億ドル増加して1兆4839億ドルとなってます。金融危機で混乱した市場が正常化しつつあり、裁定取引など収益拡大機会が増え、ヘッジファンドへの資金流入は続いています。昨年、好成績を残したのは、合併・買収など経営関連の重要な発表の際に株価変動に乗じて収益を出すイベントドリブン戦略や、不良債権を投資対象とするディストレスト戦略でした。また、投資家が米国に投資するファンドを解約して、中国に投資するファンドに資金をシフトする動きも目立ちはじめています。


 一般的にヘッジファンドは、機関投資家や個人富裕層から集めた資金を金融派生商品などで運用するものです。リスクの高い運用に傾斜しているファンドもありますが、一方で、ヘッジ取引などの複雑な金融技術を駆使して価格変動リスクを抑制し、相場の上げ下げのどちらにおいても安定的に収益を獲得することを目指しているファンドもございます。ヘッジファンドは世界に8000本以上あるといわれておりますが、年間500~1000本が運用不振により淘汰され、新たに同数程度が参入してくるという極めて新陳代謝の激しい世界となっています。


 ヘッジファンドという言葉は、この20年余りの間に、固有名詞として一般社会にすっかり定着した感があります。著名投資家ジョージ・ソロス氏が1992年の英国通貨ポンド危機の際、中央銀行(イングランド銀行)との通貨戦争に勝利し、1日にして2000億円ともいわれている利益を叩き出したことは有名です。そして、そのソロス氏が仕掛人ともいわれている、1998年のアジア通貨危機を思い出される方もいらっしゃるのではないでしょうか。また、6万件にも及ぶデリバティブ契約を絡め、破綻直前には1000倍近いレバレッジをかけていた米国大手ヘッジファンドLTCMの経営破綻(ロシア通貨危機の影響、1998年)により、米国のみならず世界中の金融市場が混乱に陥ったことも思い出されます。あるときは国際市場を陰で操る悪の権化、またあるときは相場の動きにかかわらず確実に利益を出し続ける魔法の杖のごとくいわれているヘッジファンドですが、その実態は、規制が強化されている今日でも未だよく知られてはいません。しかし、莫大な成功報酬と自己実現のチャンスに惹きつけられ、金融工学、物理学、数学、経済学、心理学などを習得した世界各国の有能な人材が続々とヘッジファンド業界へ参入し続けています。彼らによる世界のどこかにある未知の歪み発見へのたゆまぬ努力と、それを確実に抽出して増幅させる金融技術開発の情熱は、未だ失われてはおりません。優れた市場にはへッジャー(リスク回避的な投資家)とスペキュレーター(投機家)の両者が存在しているといわれております。ヘッジファンドも市場を円滑に機能させている重要な存在であることは事実ですが、前述の激しい新陳代謝からみても、射幸の世界が同時に存在することも間違いなさそうです。


さて、ヘッジファンドとはその存在意義が真逆にある弊社におきましても、ゲーム的感覚を全く排除した彼ら以上の努力や情熱が必要不可欠であると心得ております。日々の業務の中で射幸から離れた商品開発等にその努力と情熱を反映させて、多様化する皆様のご要望に着実に応えて参りたいと思います。これからも弊社への絶大なるご支援をお願い申し上げます。



環境社会検定試験(eco検定)合格エコピープル

社団法人不動産証券化協会認定マスター

1級DCプランナー(企業年金総合プランナー)

1級ファイナンシャル・プランニング技能士

マンション管理士

企画室  深澤 智広