敦希の沐浴を終えてから服を着せ、いつものように足が冷えないよう靴下とレッグウォーマーを履かせる。
「もうすぐお家に帰れるからね」
不思議と穏やかな時間だった。
そして、帰る準備が整った。
時間は夜中の3時。
そこに担当の先生、研修医の先生、看護師さんたちがやって来た。
旦那は先に車をとりに行き、私は敦希を抱っこして先生たちの案内で出口まで行くことになった。
担当の先生が「最後に敦希くんを抱っこさせて下さい」と言ってくれた。
抱っこしてもらった
敦希の顔を見て先生は目に涙を浮かべていた。
そして先生たちと出口に向かった。
私たちが見えないように取り囲んで移動してくれた。
出口に着いて私は驚いた。
主治医の先生やICUの先生、小児科の先生たち、小児病棟の看護師さんたちが敦希を見送るために待っていてくれたのだ。
その中には病棟に入院していた時にとても良くしてくれた看護師さんもいた。
「抱っこさせてもらってもいい?」と言われ、看護師さんに抱っこしてもらった
「よく頑張ったね」とたくさん誉めてもらった
頭をなでてもらった。
たくさんの先生や看護師さんたちが、敦希のために見送りに来てくれて、とても嬉しかった。
主治医の先生も勤務外なのに待っていてくれた。
転院した時からずっと敦希を診ていただいた。
質問ばかりする私にひとつひとつ丁寧に説明してくれた。
本当にこの病院で良かった…そう思えた。
「さぁ、お家に帰ろう」
岡山から兵庫の自宅に向かった。