法曹養成制度検討会議が考えていることを推測してみる。 | 向原総合法律事務所/福岡の家電弁護士のブログ

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先のブログ記事に、下記のコメントがありました。
(コメント、ありがとうございます(^^))
引用させて頂きますね。

法科大学院関係者は法科大学院のせいで司法試験を受けることができなくなった人たちをどう思ってるんでしょうか?
大学の奨学金、大学院の奨学金、貸与制、総額数百万にもなる債務を負うことが怖くて受験しようと思えなくなるというのは至極当然のことなんじゃないでしょうか?
自分たちの利権を守ることがそんなに大切なのか??
本当に腹が立つ。

お怒りごもっともで、法曹養成制度検討会議で未だに
・貸与制を堅持すべきだ
・法科大学院制度を中核とする現在の制度は維持すべきだ
といっている人たちが、何を考えているのか。

彼らにとっての至高の価値とは、「上位ローだけを残すこと」です。
とすると上記コメントはご明答でして、まさに

自分たちの利権を守ること

がもっとも重要なのです。
会議体のメンツのほとんどは、上位ロー関係者だからです。

結局、法曹養成制度検討会議において5/30から本格的に始まった最終的なとりまとめでは、
1 合格率の悪い下位ローは補助金を切ったり、卒業者に司法試験受験資格というロー唯一の価値を与えないことで、学生が行かないようにしてつぶしてしまおう
2 懸念されるべきは予備試験だが、これは受験資格を制限してやれウッシッシ
3 三振→五振にしてやろう(しかしながら、卒業して5年以内の人しか救済しないよん)
4 修習専念義務を緩和してアルバイトを認めてやろう
という意見が出たようでした。

とくに1、2の意見は、上位ローに人が流れるようにするための方策であることは明白です。
上位ローだけ残せば、おのずと司法試験合格率もUPしますから、

「ほれみろ、法科大学院制度はすばらしいだろう」

と、対外的にはアピールしやすくなるでしょうね。
そして、ローマンセー真理教のマントラを死ぬまで唱え続けられる基礎ができあがりましたとさ。
ということだと思うのです。

3、4なんてただのガス抜きだと思います。
まして3なんて、卒業5年経過した三振博士を救済するなどという発想などまったくありません。

このような検討会議の専横っぷりに、日弁連は何をしているのかというと、ダンマリです。
「尊重します。」しか聞こえてこないですね。残念ですが。
一方で、日弁連は、法科大学院制度を、自らのHP(といっても僕らの会費で作ってるわけで・・・)でPRし、地方の人が入ってこない法科大学院を紹介するなどして猛アピールしています。
日弁連がここまで法科大学院をマンセーするのがどうしてだか、私には理解出来ませんが、考えられるのは
・ロー創設時の日弁連の思惑を実現させたい。つまり裁判所(修習)に一元的に教育を委ねる方式から、弁護士も法曹養成に関与する余地のある方式にしたい。
・ローの講師などの利権が案外おいしい。
・いまさら間違いを認められない
の、いずれかではないかと思います。

これでは、検討会議の暴走というか珍走を止めることなど、不可能ですね。
そういうわけで、彼らの思惑はおそらく実現するでしょうし、そうなったら現行制度は概ね維持されることになりますから、
・弁護士はその大半がマジで食えなくなる&借金まみれで破産必至の職業となり、社会的地位は大きく失墜する
・その結果、高額の弁護士会費で維持されてきた日弁連・弁護士会への強制加入制度は風当たりがきわめて強くなり、強制加入制度そのものが崩壊する(か、稼得能力の低い若手中心に激しい淘汰の嵐が巻き起こる)
・経営に窮し、潔く廃業できない弁護士による不祥事が多発する
・対外的な「弁護士」への信用が失墜
・弁護士自治の剥奪
・これらのプロセスを経るうち、弁護士になりたい人の激減が止まらない
・上位ローだけは低空飛行でなんとか生き残る
・中位・下位ローは、大学側によほど思い入れがない限り壊滅する
・予備試験が一定程度の人気を集め「本流」としての地位を固める
・ロー制度がしずかに消滅、その頃、創設関係者は・・・
ということになるのかな、と思っています。

もちろん、検討会議の面々にとってはこんなことどうだっていいんでしょうけどね。