WOWOW「卿卿日常」

文化の異なる土地から後宮に嫁いだ女性たちが

さまざまな幸せのあり方を探すラブコメディ。

 

ラブコメディといいながら、かなりシビアな内容もあり

男女の有り様に強いメッセージを発しているドラマ。

 

女性達に対する応援歌のようなドラマだが

実は男性に対しても無理しなくていいんだよ、

ありのままで好きなように生きて欲しい

というメッセージも送っているのではないかと

思った。

いわゆる悪人と思われる人はほとんどいなくて

後宮の女性達が助け合って、男に頼らない

女性の自立を目指していくというお話。

男性と対等の立場に立って初めて自立ができると

いうことを繰り返し話しています。

 

ドラマの舞台は架空の世界九川。

中国ドラマによく出てくる「九州」ではなくて「九川」

「国」ではなく「川(せん)」という呼び方をしています。

最初は夫人選抜会、つまり新川の少主(川主の息子)の

嫁選びということから始まります。

男尊女卑の新川で他の川と和を保つため

結婚することになった娘達と少主達の話が中心です。

男女平等で一夫一婦制の国で育ったヒロインや

女性が勇ましく婿を取る人が多い国で川主の妹、

母親が側室で肩身の狭い生活から抜け出そうとする女性、

政治的能力が優れながら、女というだけで政治に

参画できず結婚を強いられる川主の娘など

その経歴は様々です。

夫人選抜会というと清朝の後宮を思い出します。

私は清朝の後宮ドラマが苦手です。

(清朝のドラマは好きですが後宮ドラマが苦手)

かなり前にその当時、人気のあった後宮ドラマを

見たのですが、いつになったら面白くなるの?と

思いながら最終回まできてしまいました。

面白いどころか、恐ろしいと思ったドラマでした。

何故、そう思ったのか自分でもよく分かりませんが

それ以来、清朝後宮ドラマはほぼ途中でリタイアです。

一番人気の「宮廷の諍い女」も途中で止っています。

「瓔珞<エイラク>〜紫禁城に燃ゆる逆襲の王妃〜」

は最終回まで頑張って(無理して)見ました。

弁髪史上最高のイケメンと思ったシュー・カイが

出てましたから。

それに富察皇后の秦嵐が美しかったから。

でも、それ以外の出演者は途中から倍速で見るというね。

ゴメンナサイですが、後宮のドロドロ嫌いなので

仕方ないです。

 

「卿卿日常」は後宮ドロドロ全く感じられず

ヒロインは明るく元気な人柄で皆と助け合いながら

女性の自立を目指すというお話です。

このヒロインの方は初めてですが、笑顔が可愛くて

お話が進むに従って、勇気付けられます。

六少主役の白敬亭(バイ・ジンテェン)はこの役にピッタリですね。

初めて見たのは、2016年の「ときめき旋風ガール」でした。

 

 

 

「ときめき旋風ガール」はフー・ビンチンとヤン・ヤンが主演。

バイ・ジンティエン(白敬亭)

優しくて可愛いところは変わっていません。

ウー・レイ(呉磊)

今WOWOWで放送中の「星漢燦爛」出演。

BS11で「長歌行」も放送中。

 

タン・ソンユン(譚松韻)

BS11で放送中の「恋心は玉の如き」出演

今考えると主演級の俳優が揃った贅沢なドラマでした😂

 

 

 

「卿卿日常」は第1話でそのメッセージが

示されています。

夫人選抜会で

新川主の正夫人から愛読書を聞かれた

丹川の上官婧は「兵書」と言い

「読書に男女の別はないはず」と答えています。

 

 

また、正夫人から

「夫への仕え方を学んだか?」と聞かれた

霁川の李薇

「霁川は一夫一婦制なので”仕える”はあり得ません。

男女が永遠の愛を誓って役所に届けるだけ。

誓いを破った場合、周りに責められます。」

「この先は今の瞬間の積み重ねです。

互いを尊重し、理解し合い、毎回の食事をおいしく頂きます。」

と答えました。

 

六少主側夫人 李薇

まるで現代のような考え方の霁川で育った李薇が

男尊女卑、一夫多妻、嫡出子尊重の新川で

楽しい食生活を築くと共に

男女の意識改革を進めていくというお話。

さらに第1話では少主達が夫人候補の品定めを

しているけれど、女性も少主の品定めをしている

ところも面白い。

自分たちの行為にはその逆もあるのだと

いうことを暗示してますね。

ラブコメ仕立ての第1話でメッセージが込められていたのに

あまり注目していなかった。

回を重ねるごとに男女平等や女性の自立の話が出てくる。

大袈裟に騒ぐこともなく、大上段に構えることもなく

笑顔で六少主尹峥や仲間の夫人達に相談して、物事を

解決していく李薇

 

 

名称なども差別感はないです。

正室とか、皇后とかではなく正夫人。

側室とか、○○妃ではなく側夫人。

等しく「夫人」と呼んでいます。

(扱いは違いますが)

ほんわり、じっくり、思わず笑ってしまったり

涙がにじんできたりと見ていて飽きることはない。

 

 

六少主尹峥

第1話で「姻戚頼みで力をつけるより

自力でのし上がる方が面白い」とかなりな自信家。

しかも「私は媚びたくないから病人のふりをしています。」

と驚きの発言。

普段は目立たず、奢らず、ひっそりとしています。

老師からはかなり期待されているが慎重な姿勢は崩さない。

 

感情を表に出さず、物静かな佇まい。

けれど、言いたいことがあるけど言えないジレンマに

陥った表情とか、やきもち焼いている時の表情が可愛い。

朝廷でのスカッとした話しぶり、交渉術の上手さ

少主としてのエリート感があって、良かったです。

白敬亭の演技力に感心してます。

コメディとシリアス部分が上手に組み合わさって

違和感なく楽しめるドラマになっていますね。

 

 

「女訓書」を読みふけっていると噂された

韻川の郝葭は

 

権力者の側夫人となって安泰に暮らしたいと

願ったのですが、皮肉なことに一番辛い目に

合っています。

 

 

セクハラ、DVに加えて産後鬱で精神を病み

自殺を図ります。

仲間の夫人達に助けられ、男を頼らずに自分の力で

生きていくことを決意します。

女性の意識改革ですね。

 

二少主尹嵩の正夫人赵芳如も実家に帰って

家業の切り盛りをすることにします。

男兄弟だけが家業を継ぐのはおかしいと。

郝葭が側夫人となった時には嫌がらせもあったけど

次第に庇ってくれるようになり、

終いには親友か姉妹のような関係を築くまでになった。

夫をめぐって夫人同士で争うものというドラマの常識?を

変えてくれた良いドラマです。

 

 

 

自分を優雅で風流な趣味人であると

大きな勘違いをしているナルシスト三少主尹岸。

 

前評判と出てきたときの落差が激しい。

百面相で楽しませてくれますが

二十四節気と名付けた側夫人達の

名前と顔がいつまで経っても覚えられず

正夫人共々ウザい男と嫌われて、子作り拒否されます。

 

 

薬を飲まされているのも知らずに真剣に悩む尹岸。

商売上手で尹峥の相談相手。

お兄さんとしては良い人です。

自分が超ウザい人間と気付いてからは

夫人達とよりを戻したいと思っています。

尹岸役の刘冠麟はコメディ部分とシリアス部分の

バランスが上手い。

 

「男も辛いよ」の代表格は新川主。

息子達から「自分を捨て駒にしてる」と非難されますが

川主自身が庶子出身で嫡出子尊重の中、いろいろな代償を

払って川主に上り詰めた。

息子である庶子達の気持ちも分かりすぎるほど

分かっているはず。

自分が苦労した分、嫡長主を立派に育てると決めた。

嫡出であれば苦労を味合わずに済むと思った親心。

裏目に出てしまい、結局二少主と五少主2人の息子を

外に出すことになってしまう。

六少主尹峥に

「父上は川主であれど息子は必ず守るから」と

言われたのが救いかな。

 

新川主役の高曙光

「風紀洛陽」で百里弘毅の父親役だったし、

「慶余年」「赘婿」にも出演。お馴染みの俳優さんです。

現代劇で肖戦の父親役もしてました。

 

 

五少主尹岐

人柄が良いだけで特別取り柄もない五少主。

に見えますが、実は兄弟を繋ぐ重要なポジション。

夫人の上官婧とのやり取りは夫婦漫才を

見ているようで面白かったです。

六少主を守るため、罪を被ったり

上官婧を愛するが故に愛想尽かしを言ったり。

子供の頃、独りぼっちだった六少主を守るようにと

母からの言いつけを律儀に守った、漢中の漢な尹岐。

尹岐には笑わされたり、泣かされたりと

随分楽しませてもらいました。

宮中の「男はこうあるべき」という呪縛から解き放たれて

「婦唱夫随」で江湖を旅する尹岐の楽しそうなこと。

 

 

嫡長主(二少主)尹嵩

父、新川主の「平穏な人生を送らせたかった」という

願いとは裏腹に「高貴なれど徳なし」だった尹嵩

父親の愛を信じ切れず、自信のなさが

身を滅ぼしてしまった。

夫人達に対するセクハラ、DV。

正夫人に対し、不妊の薬を飲ませ続けるなど

言語道断な所業の数々。

女の子しか生まれなかったのは自業自得。

流刑を言い渡された時には散々毒づいたけど

牢屋に夫人達が来て、離縁状を突きつけられた時

自分の不徳に気付いたのか。

 

流刑地に赴く時、母や弟に

「本分を守り、自らの最善を尽せ。母上を頼んだぞ」

「養育のご恩に感謝いたします」と拝礼します。

肩の荷が下りたような顔で宮中を去ります。

「嫡出であれば跡を継ぐべき」という呪縛から

解き放たれた尹嵩の穏やかな顔。

尹嵩役の张晓晨

こういう役がホントに上手です。

美形だけど棘がある役。

宮中から去る時の演技にグッときました。

 

 

六少主正夫人元英(金川主の娘 郡主)

夫人候補品定めの時、絶世の美女と言われていた元英。

その時は参加しなかったが、金川主が六少主を

気にいったため、正夫人として嫁がされてきた。

才色兼備でパーフェクト女性。

 

自我が確立していて、何事もテキパキとこなしてしまう。

他人に頼ることがなく、自分で抱え込んでしまうこと多し。

李薇は、自分ひとりで無理だと思ったら周囲の人を

巻き込んで協力し合う。

その対照的な性格も面白い。

何事にも対処できる元英でも、男女の役割の固定観念を

変えるのは難しいということだった。

尹峥と李薇の協力で金川に戻り、官僚となって、力を

発揮出来るようになったことは金川主の意識改革に

成功したということです。

ドラマの前半は六少主邸の家令である蘇慎達との

楽しい食事作りから。

家令、料理長、侍女2人と味見に自信がある李薇との

楽しいやり取り。

侍女玉盞は「風紀洛陽」七娘の侍女でした。

 

五少主生母淳夫人

「陳情令」の金子軒のお母さん役の方でした。

「陳情令」に出演された俳優さんは黙っていられなくて

載せました。

 

六少主の家族

両親、弟と

(新川主はもちろん、和夫人も古装劇によく出てくる俳優さんです)

李薇の家族

両親、弟と。

(両親役のお二人は古装劇でよく見る俳優さんです。)

 
 

理不尽な娘の婚姻話に飛んで帰ってくる、

家族の幸せが一番大切という長(一)少主。

子作りに悩む三少主。

妊娠、産後鬱の問題を扱ったり、

男に頼った生活に見切りを付け、自立を図る夫人達。

たいして能力もないのに男というだけで優遇される社会。

借金問題、農業普及、税のあり方、紙幣の発行、偽札問題

商業活性化、女性の社会進出等々

時代は古装劇でも内容は現代でも通用する問題ばかり。

それらの問題を理屈っぽくなく、テンポ良く展開しています。

食を通してファミリー感があるからでしょうか。

宮中とはいっても両親がいて、兄弟がいて、その夫人達がいる。

親戚は登場しても邪悪な家臣は登場しない。

理不尽なことはまだまだあるけれど、追々解決できるような

社会がくるようにという願いが込められたドラマでした。

最終回はどんな風になるのかな。

楽しみに待っています。



 

 

 
 

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