俺の秘密 過去編 | ニートの極み ~neet-no-kiwami~

ニートの極み ~neet-no-kiwami~

ニートを続けて早26年。

ニートのプロが、にわかニートとの格の違いを見せ付けてやるさね。

さて、前回に引き続いてこっからが本番やぞ☆^^
心して読めよ♪


「MUKAE ~過去からの使者編~」


久しぶり、俺の信者の皆さん^^

前回目覚めてからちょっと色々あったけど戻ってきたし。

ん? 喋り方がもどっとるって?

ああ、ようやく2つの記憶が馴染んできて、とりあえず戻したっさね。
威圧的な喋りかたやと非難されるしな^^;
俺のカリスマ性に嫉妬する奴らに、さ…

さーて、今日は過去の話でもしようかね。
なぜ俺がムカエ・ザ・イエローシャングリラとして君臨することになったかを、な。


時は1780年代。
様々な国で色々な革命とかが起こりよった時代やな。
もちろん俺も例にもれずその中の1人やった。

市民に理不尽な重税を強いる政府。
暴君としかいいようのない有権者。

そんな奴らを相手に、俺はレジスタンス「リバティ・カラミティ」を結成していた。
その頃の俺の名はまだ「ブリフレート・ブリフレア」やった。
ま、その辺俺のファンなら常識やろ?

しかし今日話すのは、俺のどんなファンも知らない…
歴史の闇に隠された衝撃の事実さね…


当時の俺はレジスタンスの若きリーダーとして支持されとった。
怖いものなど無かったし。
そんな俺は…
そう、運命の日となった、忘れもしない1789年の…
えーと… 4月7日…?
あ、7月4日?

まあとにかく、それまでで一番大きいテロを起こしたのよ。
しかも…  1人でな。

本当は仲間と行くつもりやった。
だけど… 恐らくこのテロが終われば、もう俺たちは戦う必要がなくなる。
政府に大打撃を与え、晴れてみんなが自由を手に出来る…

そうなったら、メンバーには1人でも多く生きとって欲しいやろ?
だけん俺は、あえて1人で行ったわけよ。

最初は問題なく進んだ。
宮殿には見張りがおらず、俺は手際よく爆薬を設置し、爆破できた。
しかし… 政府はやはり甘くなかった。
食料庫を爆発した時点で俺は囲まれてしまった。
そう、見張りが手薄だったのは罠だったのだ。

「かかったな!ねずみが!」
政府の指揮官は声高らかにあざ笑う。

「ちっ… 万事休すか…」
しかし俺は諦めてはいなかった。
…手持ちの爆薬はまだまだ、ある。

俺はそれらをいっせいにばら撒き、燃える食料庫の火で誘爆させたのだ!

「ブリフ死すとも自由は死せず! 死ね! 政府の犬ども!」

そしてブリフレート・ブリフレアは政府の兵隊を巻き込んで爆死――

…そういうことになっている。表向きは。

しかし現実は違った。

巻き起こる爆炎。崩れる壁。
奇跡的に俺は生きていた。
爆風で吹き飛ばされ壁に打ち付けられはしたが…
吹き飛ばされた場所が食料庫の瓦礫の陰だったのだ。
やけどは負ったものの、おかげで致命傷は免れた。

しかし… 辺りは火の海だ。
もう生きて出ることは出来ないだろう。

ニートの極み ~neet-no-kiwami~-せる1


俺はセルのように嗚咽を漏らした。
…出来れば、もっと大打撃を与えてやりたかった…
しかしもう、きっと叶わない…

俺の心の灯火が燃え尽きようとしていたその時!

「諦めるのは… 死んでからだ!」

突如聞こえた声。
崩れる瓦礫の山。
そしてそこに立っていたのは… 見知らぬ男。

「ブリフレート… 君はここで死ぬには勿体無い。」
「…あんたは?」
「俺は… いや、いまはそれより脱出だ!」

かくして俺は一命を取り留めた。

俺を助けた男は「ジェイク・ザ・プラチナホープ」と名乗っていた。
本名ではないらしい。
「革命の為に名前は棄てたさ。」
聞けばなんと「世界」を相手に革命活動を行っているという。

「お前の命を俺に預けてくれ」

俺は黙って、しかし深く頷いた。


こうしてジェイクの率いる革命一団「ザ・ファランクス」に加盟した俺は
1人では達成できなかった宮殿攻略に加担してもらい、復讐を果たしたのだ。

「死んだことになってる方が動きやすいからな」

そうジェイクに言われた俺は、仲間のもとにゆくことはせず、静かに町を去った…。
これでいいんだ、これで。
突出した人間は目をつけられる。
俺がいないほうが、彼らも政府の目を逃れやすいだろう。

そう自分に言い聞かせ、自由を得たであろう仲間を思いながら。

「そういえばまだコードネームを決めてなかったな。」
「コードネーム?」
「そうだ。我々は『色』を含んだコードネームをつけるんだ。」
「コードネームか…」
「そうだなあ…。お前は… ブリフレート…」
「いや、もう名前も全て考えてくれ」
「!?」
「ブリフレートは死んだ…。ここにいる俺には、新しい名前が必要だ」
「ふ… そうか… そういうことなら… そうだ! 『ムカエ』というのはどうだ?」
「ムカエ…?」
「ああ、昔私が東の国にいた頃、そういう名前を持つ戦闘一族がいた…。
ムカエ… 『全てを無に還す者』… 『無還』!」
「ムカエ、か。悪くないな。」
「そしてコードネームは…。ムカエ・ザ・イエローシャングリラ!」

新しい名を得た俺の心には、爽やかな一迅の風が吹いていた。


そしてそれから半年後…。
俺は運命の出逢いを果たす。

「紹介しよう。彼女は『エリル・ヴァレンタイン』 今日から我々の仲間になる」
「初めまして。私はエリー。コードネームは『エリー・ザ・ブルーベルベット』よ。よろしくね」

一目惚れだった。
彼女が運命の人だと強く思った。
それから俺はどうにか彼女と接触を繰り返し…
いつしか二人は強く惹かれあっていた。

そしてここから事態は急変する。

忘れもしない、1793年、8月9日…
あれ? 8月19日? 
あ! 9月8日! 

俺とエリー、それから、他チームから急遽異動して来た男
「ベニー・ザ・クリムゾンフェイト」を合わせた3人で革命活動をしていた。
相手は裏で「世界」を牛耳るといわれている、とある資産家の屋敷だった…。
その日も恐ろしく順調だった。まるであの日のように…。

「見張りは全部始末した。安心して爆薬を仕掛けてくれ、リーダー」
ベニーが言った。俺は頷き、爆薬をセットして回る。

「これでセットは完了だな」

あとは、ジェイクと待ち合わせしている本館2階にいって…

「あれ? ベニーは?」
「彼なら、なにか忘れ物をしたとかでちょっと離れてるわ」
「あいつ…。単独行動はやめろってあれほど…」

俺はその時気づかなかった。それが破滅への序章だと。
「まあいい、とりあえず先にジェイクの所へ行っておこう。奴もきっとすぐ追いつくさ。」

しかし本館へ向かって俺たちが見たものは!

「ジェイク!」
本館2階の大広間で血を流して倒れているジェイク。
「どうしたジェイク! 何があった!」
「…くっ…。ムカエか…。逃げろ… これは… 罠…」
「動くな!」
「…ベニー!」

振り返った俺が見たものは、こちらに向かって銃を構えたベニーだった。
「おいベニー! これはいったい…」
「クク…。なあ、なんで今回のターゲットが、世界を操っているとまで言われてるか、わかるか?」
「!?」
「それはなあ…。こいつのおかげなんだよ」
チャラ… と懐から懐中時計を取り出すベニー。
「それは…?」
「こいつはな… 時間を操作できる魔導機なんだよ」
「なんだと!?」
「俺はずっとこの時を待っていた…。こいつを奪うことが出来る日を」
「それを使ってどうするつもりだ!?」
「俺はこいつで未来へ行く。争いが無くなり平和になった世界で…俺は『力』を手にするんだ!」
「なにを…」
「お前らみたいなのがいたら邪魔だからなあ…。とりあえず死んどけ!」

パン!
乾いた音が響いた。

「ウソ… なによそれ…」
「エリー!」
「ははっ! 次はてめーだ!」
「ぐっ…」
足を撃たれる俺。
「すぐには殺さねー…。この屋敷と一緒に燃え尽きてしまえ。
せめてもの情けだ…。それまで仲良く過ごすこったな!」
「く… ベニー…」

ドン! と響いた炸裂音。
爆薬が爆破されてしまったようだ。

「あいつ… すべて計画通り、ってことか」
崩れ落ちる入り口。逃げ場はない。
「ぐ…。ムカエ、エリー、すまない…。全て俺の責任だ…」
「ジェイク! 喋るな!」
「ふ… 部下の不始末は上司の責任、ていうだろ…?」
「ジェイク…」
「奴は普段から少しおかしなとこがあった…。もっとはやく気づいていれば…」
「ジェイク…。あなたは悪くないわ…」
「エリー! お前も喋るな!」
「…ムカエ、いいか、よく聞け。ベニーは、これからすぐ未来へ飛ぶだろう。
そうなったらもう手の付けようが無い。…普通ならな。
だが、1つだけ方法がある。」
「なんだって!」
「これは… あの時計のレプリカだ…」
そういってジェイクは、ベニーが持っていたのと似たような時計を取り出した。
「レプリカだが…力はほぼ同じだ。だが、いつ壊れるかわからん。
使い方は簡単だ…。やつを追いかけたいと念じれば、それだけでいい。
…お前はエリーを連れて、これで奴を追ってくれ」
「ジェイクは…」
「俺はもう助からん。気にするな。さあ、行け!」
そういい残し、ジェイクは静かに目を閉じた…

ニートの極み ~neet-no-kiwami~-せる2

俺は叫んだ。セルのように心から叫んだ。
だが、そうしている時間は無い。一刻も早くベニーを追わねば…!

「行こう、エリー。ジェイクの敵を討つために…!」
「行きましょう…」
「…本当にいいのかい?」
「ええ… あなたとなら…どこまでも」
「エリー…」

そして俺は時計を開き、強く念じた…。

「エリー、向こうへ行っても、ずっと…」

―次の瞬間。
…いや、とても長い長い時間が経っていたようでもある。
とにかく気がつくと俺は…

そう、ムカエ・ユウジロウムネミツとして生まれ落ちていた。
全く知らない異国の、遥か未来であった。

どうやら「時空移動」ではなく「転生」だったようだ。
これはまずい…。
…エリーは!?  エリーはどうなった!?
…無事だといいが。

そして俺がエリーとあったのは…
それから9年… いや、10年?
まあともかくそんくらい経ってからのことやったし。

「エリー…?」

俺は目を疑った。
確かにエリーだ。間違いない。彼女のオーラだ。
だが… 俺の目の前にいたのは…。

「エリブと呼んでくれ」

エリブと名乗ったそいつは…

男だったのだ!

恐らく転生の失敗で、性別が逆転し、記憶まで失われてしまったのだろう。

ショックだった。セル並に叫びたかったが我慢した。
幸い彼女の記憶が失われていたのはよかった。
もし記憶があって、自分が男に転生したと知ってしまっていたら…
きっと彼女は生きる希望をなくしていただろう。
僕達は将来を誓い合っていた。
それが叶わないと知ったらきっと深く悲しんだはずだ。
…そう、傷つくのは俺だけで充分なのだ。

「エリー…。俺はちゃんと覚えているからね…」

しかし彼女が記憶を失ったことで、作戦の遂行は困難になった。
この広い見知らぬ世界で、いまだベニーの手がかりは掴めていなかった。

「きっと奴も近くにいるはず…。多分あの時計を使ったものは近い場所に飛ばされるんだ」
エリブとの出逢いで俺はそう感じていた。
だが… 何年経っても奴は見つからない。
もしかしたら着々と力をつけているかも知れないのに…

「仕方ない…」

任務の継続を困難と判断した俺は、眠りにつくことにした…


そして、現在。
身体に施していた封印は解かれ、俺はここにいる。
目覚めた俺が知ったこと…
それは、俺が眠っている間に「ベニー」と接近していたということだ!
なんと奴はエリブと同じように突然現れ… そして…
同じように記憶を失っていた!
そしてなんの取り得も無い一般人に成り下がっていたのだ…

そうだとすると俺の苦労は一体…

だがしかし、ベニーが無害になっていたのは喜ぶべきことだろう。
これで世界は脅威から救われたのだ。

こうなったらしょうがない。あとは俺に残された仕事は…
そう、エリーを、一人の友人として見守ることだ。


しかし事件はおきた!

なんとエリーが… エリブが…

彼女を作りやがった!!!!!!!!!!!!!!!!!!!111111111

俺は彼女への貞操を誓い、童貞を守り続けていたというのに…

カノジョハオレヲウラギッタ!!!!111

しかも… 母親と同じレベルの年増だと…!?

くぁwせdrftgyふじこ!!!!!!


ニートの極み ~neet-no-kiwami~-せる



俺は叫んだ。数年ぶりにセル並に叫んだ。

そうでもしないと気が狂いそうだった…

ふぅ… 世界を守ろうとしたのにこの仕打ちとは…

おそれいったし!!!!



…とまあこれが、俺の悲劇的運命の概要やな。
長くなったけど、これで俺を深く知れて満足やろ? え?

…しかしエリブ、やつはめちゃ許せんよなァァ~~~~!!?





さて、これで俺の可愛いファンたちはより一層俺の事理解できたやろ^^
ファンは古参も新規も大切にせんばいかんもんな^^