「あー、疲れた。何も食べたくない」
「あー、今日の夕食の準備とか無理」
「疲れた時はさっぱりした物でしょ」
「わたしは逆にガッツリ行きたいわ」
「レモンサワーに焼き鳥と枝豆なら、どっちも叶うわよ」
「分かる―」


これから帰宅組のお喋りは、ごはんの話で持ち切り。


「あー何でもいいから食べたい。今日の夕飯何かなぁ~?」


「はぁ!? なーに贅沢言ってんのよ、琴子!!」


これだから実家から来てる人は甘いと怒られたけど・・・確かに実家じゃないとは言えない。


お母さんが『お義母さん』なだけで、料理も洗濯も掃除も全部してもらってる。


「じゃあ、たまにあたしも作ろうかなー?」


今日はそんなに忙しくもなかったし、ドジも踏まなかったしと回想していると、モトちゃんから「今日入江先生当直だっけ!?」と聞かれた。


も、もしや、差し入れする気??


「今日は違うはず。でも、なんか用事があったような・・・?」


入江くんの仕事は不規則で、研修医なのもあって毎日が忙しかったりする。


「入江くんもさっぱりした物の方がいいのかなぁ!?」


「良妻アピール来たーーー」と冷やかされたけど、そんなんじゃないし・・・。

 



という訳で、家に帰ってお義母さんの美味しいご飯を食べた後に相談したらさっぱりした物なら酢味噌和えが良いと教えてもらった。


入江くんの嫌いなキュウリにかけて食べれば食が進むって!!


なるほどーーー!!


お義母さんにレシピを聞こうと思ったけど、裕樹くんに呼ばれていなくなっちゃったから、まあ仕方ないか。


お義母さん曰く、チャチャっと出来るらしいし、あたしでも失敗は無いって事でしょ。


近場の調味料からお酢とお味噌を取り出して混ぜ混ぜ。


キュウリを叩いてっと。


ゴスッと音がして、キュウリが真っ二つに割れた。


ふ、不吉。。。


これ、に、かければ、いいの、カナ??


裕樹に見せたら、きっと怪力女とか言われそう。


本当はもっと細かい方が食べやすいんだろうけど・・・これ以上叩いてキュウリっぽさが無くなったらと思うと怖い。


な、なんか、お父さんの料理では赤い物が入ってた様な・・・。


冷蔵庫を漁ったら紅ショウガが出て来た。


そうか、コレだったのね!!


紅ショウガをトッピングしたら、うーん。


何だろう、この夏の事故現場な雰囲気は・・・。


だ、大丈夫よ、料理は愛情だもん!!


「ただいま」


熱帯夜でムシムシしているからか不機嫌な声で入ってくる入江くんに、あたしは精一杯の笑顔で出迎え「ご飯出来てるよ」と言った。


入江くんがソレを見て青くなったのは・・・夏だからと思いたい。

 

* * *

想像の産物なので、味は保証しません滝汗

酢と味噌を同量、キュウリ真っ二つ、紅ショウガトッピングなイメージで書いてみました。

 

そして・・・今日が月末だと綺麗さっぱり忘れてて、今書きました。

間に合ったのは奇跡キラキラ