イタキス期間2018



「ねえ、入江くん。見て、月がオレンジ」と琴子が空を指さして注目を集める様に大声で俺に言う。

琴子自体はわざとではないのだが、興奮するとこういう事を無意識によくしてしまう。

俺は琴子に「落ち着けよ。お前の赤点と同じくらいに赤そうな月だな」とわざと言って琴子の興奮を静めた。

「ま、まだ1日終わっただけで赤点じゃないもん。・・・それに、入江くんに山張ってもらえたから結構出来たんだから」と頬を膨らませながらムクれた。

結婚して3年も経つのに、まだ俺は『入江くん』呼びなままで、琴子は俺に恋している。

今日もテスト期間なら一緒に帰れるよね!?と朝から約束させられ、今一緒に大学から帰るところだ。

「未だに俺の山を充てにして・・・本当に看護師になれるのかよ」とつい苦言を言ってしまうが琴子の看護師という職業は反対する気はない。

俺が医師なら琴子は看護師、俺が社長なら琴子は秘書、俺がゴルファー(別に希望しないが)なら琴子はキャディー。

俺と琴子は二人で一人だというのは去年痛切に感じたし、琴子を手放してまで俺は医師になりたいとは思えない。

医師という職業に魅力はあるが、半人前の俺が本当に人を救えるかどうか・・・それよりも、本当に琴子と離れて大丈夫かどうか。

半身を置いて一人前になれるものなのだろうか。いや、ならなければと自分を戒める。

半人前同士の結婚こそ無意味だと俺は思う。人と人は支え合ってるから人と某テレビの有名な先生は言っていたなと髪の長い男性芸能人を頭に思い浮かべてみた。

その間も琴子は無駄に喋りつづけ「ねえ、入江くん。月に行ってみたいね」まで話が飛躍しすぎていた。

月の色が変わったくらいで月に行く算段する方が凄いぜ、琴子。

「・・・看護師になるより宇宙飛行士になる方が大変だぜ」と俺が琴子を諭すと、琴子は「もうっ 浪漫がないなープンプン」と俺の腕に絡みついてブンブン振り回す。

怒っていても寄ってくるのが琴子。

少しでも離れると不安になるみたいで、自分が怒る時ほど不安そうに俺を見上げる。

その瞳はうさぎの様に赤く見えてドキリとする。

「赤い月は・・・人を狼に変えたくなるな」とウサギ琴子を食べたくて呟くと、琴子は「入江くん、狼似合いそう」と言って冗談ぽく「あたし、襲う!?」と聞いてくる。

そこで素直に『そう』と言えないのが俺。

「バーカ」と返すと、琴子は「確かに、そ、そ、そんなに・・・色気ないけど。明日も試験だし・・・」とブツブツ呟いて落ち込む。

かと思えば「あっ そうだーひらめき電球」と余計な事を思いつく。

「入江くん、昔 理美達から着ぐるみパジャマ貰ってた。これで狼になれるよ」と。

誰がなるかっむかっむかっ

「・・・着るならお前だ」と言って、今日着せようと思っていたオレンジBDは封印し、なかなかにモコモコな未使用の狼パジャマを着せて夜通し愛した。

一応テスト期間なので、テストの山を睡眠学習(?)と併用したので、琴子は赤点は免れた事だろう。

身体中に赤い痕は散ったが・・・。

そしてテスト結果の褒美もシルバーのBDで月夜に乾杯したのだった。

いや、満たされたの間違いか!?

* * *
せっかくなら7色に因んでと思いましたが、全部書けるのか!? 無理やりオレンジ入れました。
次は黄色!? 黄色と言うとバナナはてなマーク そんなバナナ・・・何も思い浮かんでませんショック!

期間中ですが、ノルマ月2本は頑張りたいところです。