今日は台風もかくやという強風で、公園で将太と遊ぼうと思っていたのに断念して家で読書をしている。
まだお兄ちゃんは帰ってこないし、居候の琴子も体育祭の練習?とかで忙しそうだ。
そもそも体育祭の練習って何だよと思いつつも、F組(バカ)の考える事なんか分かる訳がない。
そんなバカ達に天才のお兄ちゃんが負ける訳ないしさ・・・なんであんなに必死なんだろうね。
あー可哀想に。
なんてこっそりほくそ笑んでたら、お兄ちゃんと琴子が揃って帰宅した。
お兄ちゃんはそのまま二階に行って、琴子は洗面所の方に行く。
僕はどっちに行けばいいかなとリビングから動けずに居たら、制服姿のまま琴子がキッチンに行くのが見えたからそっちに行くことに決めた。
「おばさーん、目薬ありますか!?」と目を擦りながら言う琴子に、ママが「あら、大変」と言いながら薬箱をリビングに取りに来た。
こっそり聞いていたから、僕が薬箱から目薬を取り出して「はい、ママ」と渡す。
「裕樹、ありがとう」と笑顔で受け取って「はい、琴子ちゃん」と琴子に渡す。
僕はソファーに座って目薬に格闘している琴子を眺めながら「へたくそ」と呟いた。
「だって、いれるの難しいし」と言うと、ママが「貸して、琴子ちゃん」と琴子の目に目薬を入れて助けてやっていた。
嬉しそうなママの顔を見て、女の子なだけで琴子に優しいママにイラつく。
「バカだから、目に砂なんか入るんだ」
「仕方ないでしょー。バカじゃなくても入ります~」
「今日は強風だものね。仕方ないわ」とママまでフォローする。
「ふんっ きっとこいつの場合、お兄ちゃんに見とれてて目に砂入ったに違いないんだ」
「なんで分かったのー!?」と驚く琴子に僕の方が内心驚いた。
「あのね、おばさん。強風に煽られた入江くんがですね」という琴子の次の言葉に僕は息をのむ。
「制服翻してて、孤高の司令官みたく格好良かったんですよ」
孤高の司令官ってなんだよ!!
司令官が孤高だったら誰に命令すんだ、このバカっ
なのにママは矛盾に気づかず「あら、いいわねー」と何が良いのか分からない相槌を打つ。
「そ、それに見惚れてたら、次の瞬間に目に鞄が当たって・・・」
入ったのは砂じゃないんかっ 鞄ってなんだよっ
「そのついでに砂まで入って、もう涙、涙で・・・入江くん格好良かった」
ラストの感想が意味不明。
もうバカに関わってられないと二階に帰ろうとしたらママが「もうすぐ夕食だからお兄ちゃん呼んでね、裕樹」と言ったから呼びに行く。
琴子も着替えなきゃって事で一緒に二階に上がった。
僕は部屋に入り、お兄ちゃんに「ねえ、お兄ちゃん。もうすぐ夕飯だって」と伝える。
「分かった」と言ったお兄ちゃんは読んでいた本を閉じて下に下りる準備をする。
僕も遅れない様に後ろをついて行ったら、食卓に着いた時ママが変な事を言った。
「ねえ、お兄ちゃん。琴子ちゃんって可愛いわね。ああ、本当恋する女の子っていいわー」
お兄ちゃんは「別に」と言っただけだった。
遅れて来た琴子は「うわー、美味しそう」といつもの食卓なのに大喜びする。
これが恋する女って顔かよと、ママが作った美味しい味噌汁をすすった。
恋をしてない僕は恋の味というレモンっぽい甘酸っぱさは感じられないままだった。
「おばさんの作る揚げ出し豆腐美味しい」と喜ぶ琴子も甘酸っぱい味は感じてそうにないけどなっ
* * *
青江くんが書きたかったんですが・・・出て来なかった
状況を説明するなら、第三者目線の裕樹くんが好きさ