お昼を食べに食堂へ行くと、あまり仲良くないグループの側しか席が空いて無さそうだった。


他に探しに行く時間も勿体ないし、すぐに出て行くでしょと席を取って食事を取りに行ったけど向こうは動く気配無し。


本当、琴子を目の敵にして何がしたいのか、あれこれ文句を言ってくる。


ただ単に入江先生と結婚した琴子を羨ましいと思うのであれば理解は出来るけれど、でもあのグループは入江先生に一途という訳でもないからあたしにとっても目障りなのよね。


「はぁ~、女の戦いって本当面倒」とこぼせば、当事者なハズの琴子が「えー、そーなの?」と心配そうにあたしを見る。


この娘、虐められているという実感が無いのかしら??


「あんたのドジをチクチク言う・・・」と苦情を言おうとすると、すぐ側でニヤニヤされるのが本当に嫌。


「この間~、西垣先生にバーに連れて行ってもらったのよぉ」と聞こえが良しに話始めるそいつら。


早く席を空けて去って欲しいものだわ。


あたしはもう一度「はぁ~」とため息を零す。


「モトちゃん、溜息つくと幸せが逃げて行っちゃうよ」と可愛く心配してくれるけど、溜息の原因はあんただと気づいて欲しいのはあたしのワガママ!?


「ねえ、琴子。あんた虐められた事ある!?」


もしやイジメを認識してないんじゃないかと思って聞くと「山ほどあるわよ~。入江くんの奥さんしてたらしょっちゅうよ」と慣れた感じで笑い飛ばした。


ついでに持っていた箸もすっ飛ばした。


「キャーー-」とあたしの嫌ってるグループから悲鳴が上がる。


「もうっ何してるのよ。入江さんって相変わらずねぇ」と怒る相手に琴子が「ほんと、ごめんなさい」と素直に謝る。


これは琴子が悪いからフォローも出来ない。


また都合の良い事に、箸をすっ飛ばした事で居座るのを諦めたみたいで席を立った。


「ああー、またやっちゃった」と反省している琴子に、「懲りないわねぇ」と言いつつ、さっきの虐めの話を蒸し返した。


「ねえ、どんな虐め受けた!? 階段から落ちた? それとも水被った??」


「階段~? あー、年に何回か踏み外す」


ダメだ、この娘。

 

虐め云々以前にドジ過ぎる。


「入江くんに助けられた事何回かあるなぁ~」と幸せそうに回想する琴子に「そーいえば入江先生を下敷きにして入院させたわね」と思い出して言った。


「あれは本当に申し訳なかったわあせる」とごめんのポーズで拝む琴子に「それは良いから、水は?」と聞くと「ホースでジャバァ?」と疑問形で聞き返された。


「いつ? 誰に??」


それは悪質ねと食いついてみれば、琴子は「えーと、裕樹くんに夏・・・そーいや、あいつ溺れたのをあたしにして日記に書いてたわ」と怒りだす。


琴子が何を言ってるのかさっぱり理解出来ないあたしは「琴子が溺れたの!?」と聞き返す。


「ヤダー、あたしはしっかり泳げるわよ。カナヅチなのは裕樹くん」


「入江先生は?」


思わず入江先生が泳げるかどうか心配しちゃったけど、そっちは杞憂だった。


「入江くんが泳げない訳ないじゃない。ハワイでめちゃくちゃ泳いでいたわ」と金持ち―な話を聞かされた。


「やっぱり入江先生は完璧ね。琴子のフォローまで出来るんだもの。虐めなんて目じゃないでしょ」とあたしが言うと、琴子はため息をついて言った。


「そりゃ入江くんにやられたあれこれを思えば、その辺の人の嫌がらせなんて屁みたいなものよ」


本人かいっ


あたしは言葉を選びに選んで「仲良し夫婦ね(割れ鍋に綴じ蓋)」と言う言葉を琴子に贈った。

 

* * *

明日は入江くんのバースデーカウントダウンチャットを開催します。

ネタを考えてみたけど、誕生日のネタが下りてこないので出さないかも。

チャットで良いネタあったら書きますねてへぺろ

では、明日コチラでお待ちしてます。