食事を終えてリビングに行くと、ベビーベッドのそばでニヤニヤしている琴子が目に入った。
「もう寝てるだろ。いくら見ても見飽きないからって」と声をかけると、琴子は「んふふー」と締まりのない笑い声で返事を返す。
「さっきモトちゃんに写メ送ったらね、子供はカワイイけど入江くん似にしろって苦情来たのよ」と言う。
それでニヤニヤするのが腑に落ちない。
こいつらのやり取りは昔からだからツッコむ気は起きないが、俺似にしろと言われたからって出来る訳もないのに・・・。
「昔ならそんな事言われたら、お前は怒って食って掛かってたのにな。母親になってから違うな」
琴美が生まれた当初はあまりにも言われすぎて、家族が褒めたくらいじゃ琴子は浮上しなかった。
「ああ、違うの。モトちゃんが言うには、みーちゃんはみーちゃんで可愛いから、次は入江くん似の男の子を生んでって事」と言われて納得する。
一人目を産めばもう次かと思わないではないが、確かに11人作るならそうするのが良いのだろう。
一ヶ月検診が終われば解禁になるしな。
「それで」と声をかけたところで、琴子が「あたしね、姉さん女房なんだって」と言われ、思わず「は?」と返した。
琴子との会話がよく飛ぶのは理解しているが、子供の話から結婚の話になるか!?
「たかが45日程度で姉と呼ぶほどじゃないだろ」
「45日って!?」と聞き返すが、俺と琴子の誕生日の間の日数だ(2+31+12)
「お前の誕生日から、俺の誕生日までそんなに離れてないだろ。同い年なんだし差なんてほぼない」と言ったら、琴子が「分かってるよ~」とおばちゃんの様に手を振りながら言う。
「あたしが珍しく入江くんに勝ったところがあってさ・・・。なんかそれがすっごく嬉しかっただけ」と寂しそうに言う琴子に「色々あるだろ。お前が俺より勝ってるところ」と言ったら食いついてきた。
「どこ、どこ、それ!!」
「人の良さとか、素直なところとか」・・・人柄しか上げられないが。
「キャー、入江くんがあたしを褒めてくれるなんて、明日はヤリが降るかも」と失礼な事を平気で言う。
俺なら絶対隙を見せる事なんかないから、琴子のこういうところは可愛い一面だとも思う。
「ふふふ、モトちゃんがね。顔は入江くん似で性格があたし似だったら文句ないんだって」と、またしても話を桔梗に戻す。
「女で残念って。嫁にもらえなくはないけど、あたし似じゃどーも出来ないわって」と言われ、心の底からムカつく。
「誰が嫁にやるか」
それを聞いた琴子が拍手をしながら立ち上がった。
なぜここでスタンディングオベーションになった??
「入江くんもやっぱり言うんだねー。娘は嫁にやらない発言。絶対都市伝説だと思ってたわ!!」と興奮して、のしかかられ、ついでに黒歴史を引き出された。
「ねえ、入江くんは昔ママと結婚するって言った口!?」
・・・それだけは絶対に言えねぇ。
『あたし、将来パパと結婚するの』
『な、直樹、考え直せ。考え直すんだ、いいね』
必死に止めた親父の顔まで思い出せる。
これだけは絶対に暴かせないとばかりに、琴子の耳に囁いた。
「お前似の娘から、別な男と結婚するなんて言われたら、絶対に決闘するな」と・・・。
昔ならこのまま琴子を抱えて寝室に直行したが、今は親を求めて泣きだした娘のそばへと急いで行き抱き上げた。
* * *
入江くんの「パパでちゅよー」まで想像した
今月の記事遅くなってすみません。どうやって2本の記事を効率よく出そうか思案して、ネタを考え忘れた
次回のチャット日が10月22日土曜日となります。敢えて休日に盛り上がりたく日程を設けたので、たくさんのご参加お待ちしております。
本の感想をくれたらおまけ話進呈しますので、是非参加してくださいませ~。
後日、ここにチャットのリンクします。
追記
今日チャットですので、お忘れなく~
入口はコチラ
8時頃よりお待ちしてますが、休日な為離席が多いかもしれません。
PC参加なので常駐してますので、遠慮なく声掛けしてくださいね。
イタキス祭開催中