「ねえ、パパ。もうすぐ結婚記念日だって忘れてない!?」と琴子に聞かれた。
俺をパパ呼びする時は家族が居る時だけで、二人の時は何故か『入江くん』に戻るのが琴子の癖だ。
いい加減名前で呼べばいいのに、何を遠慮してなのか『入江くん』になる妻。
お前、3児の母だって事忘れてないかと逆に問いたい。
「忘れてない。21日だろ」
正確に言うと、おふくろに勝手に結婚式を挙げさせられた日だが、明確に記念日と呼べるのはこっちだ。
俺としては入籍日の方が結婚に相応しいと思うが、琴子を騙して役所に連れて行ってしまったので記念日らしくなくなってしまった。
その日は平日で、サプライズ好きな琴子に合わせて内緒にしたせいで覚悟を決めた俺とは違い琴子はかなりパニックになっていた。
サプライズも良し悪しだよなと、よくおふくろにされていたので悪いイメージしか無いが良い面を模索したくてやった気がする。
要は結婚など勢いなのだと・・・そう信じたかった。
結婚記念日は何たるかを熱く語る琴子を見つめながら「で? どうしたい。後2日後で平日だが」と聞いてみた。
今更何かをしろというには準備期間が無さすぎる。
今年は正樹も生まれたし、年子を育児中でもあるのでこれ以上仕込むのは無理だろう。
それに今、裕樹と結婚した好美ちゃんが妊娠中でおふくろの意識は初産の好美ちゃんの方に傾きがちだ。
同居しているから手伝ってもらっているが、好美ちゃんが子供を産んだら専業主婦のおふくろはそっちに手伝いに行くだろう。
育児中の琴子を労わってやりたい気持ちはあるにはあるが、俺も医師という職業柄休みを取って育児にまい進するという訳にもいかない。
俺が無理だと思う様に琴子も俺には求めない様で「ううん、忘れてなければいいの。そりゃ出来たら花束とかケーキは欲しいなって思うけど」と可愛い事を言った。
「まだホテルで食事は難しい時期だしな」と正樹の事を考慮して言ったら、琴子が思い切り頷く。
「そうなの、琴音を野放しには出来ないわ」
そっちかと思わず納得して「そうだな」と相槌を打った。
「はじめは入江くんの子が生めたって、そりゃ嬉しかったのよ」とため息をつく琴子に「一人きりの時間が欲しいか」と聞いてみた。
琴子はあっさりと「ううん」と首を振る。
「子供の頃、お父さんが夜働いてたじゃない。寝る時ってどうしても家に一人きりなのよね。そりゃたまには他の人のうちでお世話になったりしたけど・・・って、そーゆー事じゃなくて」と自分でツッコミする。
「結婚記念日は無理だけど、今度の土日なら少し時間作るから公園でも行くか!?」と聞いたら、琴子が「じゃあ、みーちゃんの面倒お願い」とまさかの別行動を提案された。
琴子はどうするのかと聞いたら好美ちゃんと約束があるんだそうだ。
そーゆーのは先に言えっ
「結局いつも通りだな」と呆れながら言うと、琴子は「それが一番幸せだよ」と達観した事を言う。
今まで静かに寝ていたのに、しっかりと起きて泣く正樹の声に琴子がダッシュで駆け寄る。
もう顔はしっかりと母親になっていた。
じゃあ俺は琴美と琴音の顔でも見に行くかと二階に上がり、寝顔を見た後にネットで花束とケーキを予約した。
本当、便利な時代になったなと苦笑しながら琴子に渡す花束を探し回った日の事を懐かしく思い出した俺だった。
* * *
またもやギリギリですが、明日は結婚記念日カウントダウンチャットの日です。
今年最後・・・ではないですが(年末に恒例のカウントダウンチャットは開かれる模様)、せっかくの土曜日で翌日ゆっくり出来るので、是非参加してほしいです。
私は最初から最後まで居る予定 主婦なので若干離席はありますが、そんな感じでのんびりと行ってますので気楽にご参加くださいませ。
今年は色々あって簡単に約束出来ないですが、興が乗ればリクエストも可です。
オリキャラが個性的過ぎて持て余してます(笑) 期間中は書けませんでしたが、いつか活用出来たらいいなぁ。
では、明日お待ちしてます。いつものemaさん宅です。こちらからどうぞ。