直樹さん、誕生日おめでとうございます
本日はナオキヴィッチ王子の誕生日。
ところが先日何もしないと決まった為に行事のことごとくが潰れたのでした。
しかし、国民の休日を急に変更は出来ません。その為、急遽ナオキヴィッチのみ挨拶とし、国民はあやふやな気分のまま休日に。
城下には本当に結婚するのか!?と不穏な噂まで出る始末。
なんとかしなければ!!と思ったコトリーナは城下に降りる決心をして王妃様に相談しました。
「ちょっと友達のところに・・・」と理由を言ったコトリーナなのですが、王妃さまは「じゃあ呼んじゃえばいいのよ」とお城に友達を招く事を許可しました。
城下の噂は・・・。
心配したコトリーナでしたが、なんと王妃が勅命を出して絵本を作り上げたのです。
「これ、結婚式に無料配布するの~」と手渡された絵本はコトリーナとナオキヴィッチの出会いが綴られた物でした。
その事業は結婚後に進められるとばかりに思っていたコトリーナは驚きました。
「あ、あのう・・・あたし、これ・・・」
確か書くなと言ったくだりがバッチリ載っています。
王妃様は鷹揚に頷いて「良い出来でしょ。ナオキヴィッチ監修なの」ととんでもない事を教えてくれました。
それを聞いた友人のサトミーナとジーンは「あの噂、本当だったんだ」としみじみ感心するのでした。
「人間やれば何でもできるのね。あきらめちゃダメ!!」
「あたし、コトリーナを人生の励みにする」
そう言った友人の二人は城からの帰り道に運命的な出会いを果たし、コトリーナの結婚後すぐに結婚して幸せに暮らすのでした。
めでたし、めでたし・・・
と言うのは友人二人の話で、コトリーナとナオキヴィッチの話ではありません。
二人の結婚式は9日後。準備に忙殺されるのでした。
「そうだ!! サホリーナ様は」
「もう帰った」
「はやっ」
友人と話をした事で元気を貰ったコトリーナは結婚前の悔いを無くそうとサホリーナ様と会って謝罪するつもりでしたが、ナオキヴィッチが自分でやるという言葉に任せていたのでその後を聞いていませんでした。
「ど、どうだった・・・!?」
不安の滲む顔で聞いたコトリーナに渋面な顔をしたナオキヴィッチは答えます。
「別に・・・もう婚約者じゃないんだから。ただ、今までの関係から心から祝う事は出来ないって。正式な話ではなかったが、国同士の友好を兼ねていたからな。国際情勢を無視するとは思わなかったんだろう。納得するまでに時間はかかった・・・んじゃないか!?」
正確には『ナオキヴィッチ様がコトリーナさんを好きな気持ち、出来るなら気づかないで欲しかったですわ。認められた以上、政略結婚のわたくしでは太刀打ち出来ません。陛下にはわたくしからも申し上げておきます』と言われたのですが、言える訳もありません。
二人は鳴りだした花火の音に顔を見合わせ、バルコニーに出て鑑賞するのでした。
「今日予定していた花火は打ち上げたんだな」
呆れた口調のナオキヴィッチにコトリーナは「誕生日おめでとうございます」とようやく言えた一言を口にするのでした。
忙しすぎてプレゼントを用意する暇もなく、手に入ったのは絵本だけ。
王妃様から謎のリボンは貰いましたが、流石に絵本をプレゼントする訳にはいきません。
「な、何も用意出来なくてすみません」と謝るコトリーナの唇を奪うナオキヴィッチ王子。
その日はコトリーナにとってもプレゼントを貰った様な日でした。
「に、二回目・・・」
「三回目だよ」
ナオキヴィッチがニヤリと笑って、そう答えるのでした。
* * *
どうしても入れないと気が済まない3回目の台詞(笑) 仕様です
本来なら今回でラストの予定でしたが、10回が切りが良いよねと無理に1回伸ばしました。
次回はようやく結婚です(予定)