「え!? 裕樹くんって受験生??」と今更な事を琴子が裕樹に確認していた。


今年中3なのだから、必然的に『受験生』ではあるだろうに。


「あ、当たり前だろ。中3なんだから」と言う裕樹の返事に、そういや琴子と初めて対面した時、裕樹は小3だったなとどうでも良い事を考える。


琴子と出会って6年、あの時居候し始めた奴と結婚するとは夢にも思わなかった。


が・・・「そっかー、入江くんが男子校に行っていたら」と夢想している琴子には到底敵わない。


「何故そうなった」と聞くと、琴子は「だってねー、裕樹くんのクラスで男子校を受験する子が居るんだって」と琴子の頭の中は俺には想像もつかない現象が起きている。


裕樹のクラスの人間がどこを受験しようと構わないが、一クラス40人はいるのだからその内の何人かは男子校を受ける人間が居ても不思議ではない。


しかし、とっくに卒業した俺が男子校に行っていたらという空想をするという発想が俺には意味不明で不思議だ。


だからと言って詳しく問いたいとは思わない。


が、うっかり反射的に琴子に聞き返してしまった。


「まあ、お前とは出会ってないだろうな」と返事をすると、「地震まで無かった事になるの~~~?」と驚いていた。


「良かった、入江くんが斗南に居て」と言われて溜息をつく。


ここで余計な事を言うと長引く上に、今は心を決めかねているので『琴子と出会わない』という仮定では話をしたくない。


「お兄ちゃんが斗南だから僕だって斗南なんだ。お兄ちゃんが魁西に行っていたら僕だって受験してるよっ」
「魁西??」

※うちのブログ限定の超進学校


琴子がそれはどこだという顔をこっちに向けて来たので「船津の出身校」と答えてやると、琴子は「ああ。入江くんに突っかかってたから一緒じゃなくて良かったね」と話をまとめた。


そーゆーのは想像がつくらしい。


「魁西って男子校!?」と聞く琴子に、裕樹が溜息をつきながら「共学だよ」と教えていた。


「じゃあ、男子校ってどこ!?」と話が一周したので、俺は自分の部屋に帰る事にした。


それから3時間ほど部屋で勉強して寝室に行くと琴子はまだ起きていて、何故か男子校の話を蒸し返す。


「ねえ、入江くん。あたし入江くんが男子校に行っててもきっと出会ってたと思うのよ」と言うので「今度はクラスメイトか!?」とからかうと琴子は「それもいいね」と笑顔で言う。


いや、ダメだろ。どう考えたって同性―――
「あたしが男装して、入江くんが居る寮に潜り込むの」と言われ、どんなドラマの影響なのか頭が痛くなった。


「お前、教育実習中にに黒い服装で職員室に忍び込んで職質受けただろ。もうフォローしないからな」と叱ると、琴子は「そーじゃなくて」と必死に俺にしがみつく。


「きっと、いつかはこうなってたと思うの!!」


まあ、琴子の執念ならそうかもしれないなと俺も思う。


しっかりとくっつかれて思う事は一つ。


「その胸なら、男子と間違われても理解出来る」


(頬が)膨れるかと思ったが、琴子はしおしおと萎み「どうやっても育たなかったわ」と悔しそうに呟いた。


仕方がないので、離れる前に育てようと決心し落ち込んだ琴子をベッドの中で可愛がったのだった。

 

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お知らせ記事を上げなければと頭では思っていましたが、ギリギリですみません。

本日午後9時より、入江くんのバースデーカウントダウンチャットを行います。

いつも通りemaさん宅です。こちらからどうぞ。

平日なのと、日常が忙しい為カウントダウン後は早々にお開きとなりますが、良かったら遊びに来てくださいませ。

念のため書きますが、琴子と直樹のHNは禁止です。皆が話しやすい様にする為の措置なので、ご理解ください。