北海道から転勤して来た男の子の事が早くもお母さん達の間で話題になっているみたい。
だからあたしも輪に加わろうと思うけど、入江くんよりも美形じゃないとかでどうもその輪から外れちゃう。
いや、みーちゃんの恋人候補って訳じゃないのに、なんでみんなあたしをのけ者にするのかなぁ。
悲しくなって、美麗ちゃんのお母さんに愚痴ったら麗華さんは綺麗な笑顔のまま「祐二くんの方が男前よ」と言い切った。
「そこは太一くんじゃなく!?」
祐二くんというのは同じクラスの小西太一くんの弟で現在2歳か3歳。
すっごくしっかりしてるから、みーちゃんと同じクラスでもいいと思うけど年下だからまだ入園は出来ないみたい。
太一くんとは年子でまるで双子・・・と言いたいけど、太一くんは太一くんで規格外の美男子でしっかりと祐二くんのお兄ちゃん。
この二人、年齢詐称ってくらい大人びてるんだよね。
「太一くんは美麗のと、本人達も言ってるから。ごめんね琴子さん」と謝られ、あたしは慌てて手を横に振る。
「ううん、みーちゃんも太一くんは美麗ちゃんのって言ってるし。なんか祐二くんとの方が仲良いし」と断ると、麗華さんはふふっと綺麗な顔で微笑む。
うーん、美人って本当迫力ある。
何となく松本姉を彷彿とさせる感じの美人なのに嫌味がなくて、本当に良い人。
「転校生が来たからって全員で注目しなくちゃいけない訳でもないでしょ。その内話せるわよ。でも同じく北海道に居た私も無視されているから、しばらくは無理かもしれないわね」と言われ、麗華さんでもそうなんだとホッとするやら、なんか落ち込むやら。
少し前にみーちゃんが『赤ちゃんをお願いした』という騒ぎを幼稚園で起こしてしまい、行きたくないと駄々をこねたもののお義母さんも忙しいし、入江くんだって勿論忙しいし、みーちゃんはママがいいと可愛い事言ってくれちゃったりするしで・・・と、余計な事を考えていたら、いつの間にか太一くんと祐二くんのお母さんが輪に加わってた。
「へー、そうなんだ。今年は私もやってみようかな」と言う返事を耳にして、「智子さん、何をするの!?」と聞いてみればイクラの醬油漬けだった。
「な、なんで??」と疑問を口にすれば、北海道つながりでイクラまで話が飛んだらしい。
「へ、へぇ・・・」と微妙な相槌を打てば、麗華さんは「北海道の人は家でイクラを漬けるのよ(そういう家庭もあります)」と教えてくれた。
そーなんだ、初めて知ったわ。
イクラってあのまま取れるもんだと思っていたわと言ったら、二人に吹き出された。
「魚卵よ!?」と言われたけど、そのギョランの漢字変換ができない。
帰ったら調べようと思ってたけど、そんな事は家に帰ったら忘れてて、何故か入江くんが帰って来た時に思い出した。
「ねえ、入江くん。イクラって作れるんだって」
「当たり前だろ」と言われて、入江くんを凝視してしまう。
「え!? もしかして作り方も知ってたりする」と聞くと、嫌そうに顔をしかめながらも軽く頷いてくれた。
「お義父さんが漬けてるだろ」と言われ、入江くんが『お父さん』と発音する時はあたしの父である事に気づき顔が赤くなった。
娘のあたしが知らないのに、入江くんが知ってるなんて・・・天才って凄すぎる。
そう言ったら、何も言わずに入江くんが深ーいため息を吐いた。
* * *
明日がノルマの締切日ですが、明日の予定が忙しくネタを捻り出しました
北海道ネタならそこそこ書けるんですが、どこまで通じるやら。
(よく本に載ってる『ジョッピンカル=家に鍵をかける』は日常では一切聞いた事ないです 笑)
そろそろリコメを返そうとは思っているのですが、ついつい話優先にしてます。
いつもコメントをありがとうございます。反応してくれると書いている甲斐があったと嬉しくなります。
後はその気持ちをリコメに籠めれば・・・もう少しお待ちくださいませ。