入江くんと夫婦になって初めての―――ではなく2回目か。
とうとう今年もバレンタインデーがやってくる。
なのにあたしは愛する旦那様へチョコレートも作れなくて、ひったすら試験勉強な訳よ!!
何で試験の日程とバレンタインデーの日って近いのよっ
もう少し考えてよね、国の偉い人!!
なんて思っても口に出したら、入江くんや裕樹くんから白い目で見られるから・・・言わない、今は。
ち、ちょっと前に言って・・・そして盛大にため息吐かれた身としては、大事な大事な試験勉強の先生を怒らせる訳にいかないじゃない?
なんてカッコイイ事考えたところで、あたしがスラスラ解けるでも無ければ、パパーッとチョコレートを作る事も出来ない。
「はぁ、みんな幸せそうでいいな~」と机に突っ伏して呟いてたら、理美から「今更試験受けてまで転科しようとする琴子の方が凄いよ。ある意味幸せっていうか、めでたい!?」と言われてしまった。
「別におめでたくはなくない!? まだ受かった訳じゃないし」と言うと、じん子が「めでたいのは琴子の頭の中でしょ」と失礼な事を言われた。
「あの入江くんが付きっ切りなんでしょ、受かったも同然じゃん」と言われ、「まーねー」と肯定しながらも不安は拭えない。
それに、鬼だしね・・・入江くん。
「おっかしーなぁ。本当なら結婚して、今頃バラ色だったハズなのに。入江くんを家で待って美味しい料理作ってるはずだったのに、なんでこうなったんだろう・・・」
いや、入江くんの側にいる為に看護師になろうって考えたのは、入江くんがお医者さんを目指すと決めた時だから、いつかこんな未来が―――来るとは思ってたよ!?
というか、今まさに奇跡ではあるんだけど・・・「はぁ、辛い」
「まーねー。あたしら、バカだからさ。今更受けなくてもいい試験を受けたいなんてこれっぽっちも思わないもんね」とじん子に言われ、首だけで頷いておく。
「でもさ・・・せっかく夫婦になったんだから、バレンタインくらいはさぁ」とあたしがこぼすと、二人の目はお義母さんの様にニヤケタ三角の目になった。
「あの入江くんが、結婚後はチョコレートも溶けそうな甘いセリフ吐く!?」
・・・変わったって・・・変わったって・・・変わったって・・・。
「チョコレートはチョコレートでも、甘くはない・・・ね。超、ビター!! ほら、うっかりブラックチョコを食べた感じ。全っ然甘くないけど、あれもチョコよね」とあたしが言うと、二人はお腹を抱えて笑う。
「あたしさぁ、話題の90%カカオ食べた事あるよ。もうあれはチョコじゃないね。ううん、チョコだけどあたしらのイメージするチョコとは別物よ。あれと一緒かぁ・・・やっぱ安定の入江くんだね」と理美が納得する。
前にうっかり見せてもらったけど、理美の彼氏の良くん甘いもんなぁー。
『僕らの記念日おめでとう。愛してるよ、琴子ー』
いいなぁ、あたしたちの記念日・・・ってどこ??
「えー、あたしらの出会った日!?」
「入学式でしょ」
と、理美とじん子が言う。た、確かにそうだけど・・・そーじゃなくて、あたしが言いたいのはっ
「琴子、お前まだ大学に居たんだな」と入江くんに言われ、猛ダッシュで入江くんの隣に行く。
「悪いけど、琴子の勉強見る為に連れて帰るけど、まだ用ある!?」と理美達に言う入江くん。
理美達は「「ない、ない。琴子がんばってー」」と送り出してくれた。
いいけど・・・はぁ、勉強かぁ。
「要らない」
冷たく断られて終了。
「で、で、で、でも、勉強で疲れてるでしょ。せめて甘い物でもさぁ」と粘ったら入江くんが譲歩してくれた。
買うだけならいいって。
そして、入江くんも用意してくれるらしい。
お返しは普通一ヶ月後なのに、優しいなーって思ったら違った。
茶色いというか、チョコレート色の長めなリボンで・・・軽くラッピングされ? 美味しくいただかれましたとさ。
「これ、チョコレートの箱に付いてるリボンなんだよな。おふくろに頼んで正解」
一体ドンナ頼ミ事シタノーーーー???
怖くて聞けないあたしは、痕がはっきり見えない様にしっかりと長めのタートルネックとセーターを重ね着した。
* * *
もうすぐバレンタインデーですね。先日、読者さんから素敵なチョコレートの推薦受けましたが・・・まだ頭が働かないので、その内書きますね
前回、年末カウントダウンチャットで次回もチャットしましょうと呼びかけていましたが、この度バレンタインデーカウントダウンチャットをしようと企画がきまりました。
カウントダウンなので、13日の夜から14日の午前0時になっております。
場所はいつものemaさん宅で。もしお時間ある方いたら、是非参加してくださいませ
面白バレンタインネタなどありましたら、提供いただけると助かります。
時間は主に10時頃? 私は普段9時前から常駐してます。
入口はこちら