たまに琴子の服でも選んでやろうかと思ったのに、琴子は琴美を優先して赤ちゃん服を置いてある店に入ろうとする。

「お前のは?」と聞いたら「授乳服? お義母さんがいっぱい買ってくれたから足りてるよ」と事も無げに言う。

確かにここで売っている服はマタニティ服か授乳服のどちらかだろうが・・・。

「じゃあ、マタニティ服でも買って」と言ったら、琴子が驚いた顔をして「みーちゃん、入江くんが服を選んでくれるよー。良かったねーラブラブ」と慌てたように言う。

・・・別にいいだろうが、兄弟望むくらい。

しかも自分の子に名字呼びってどうなんだ??

少し裏返った琴子の声に周りが反応して俺達をジロジロ見だした。

「琴美、パパが可愛い服を選んでやるな」と琴美を抱っこして言うと、みんながなんだ父親かとさり気なく視線を外した。

「琴子、いい加減『入江くん』呼び止めろよ。そのクセで妻と認識されないんだぞ」と苦言を言うと、琴子は反省し「うん、パパって呼ぶように気を付けるね」と小さな声で謝った。

パパ呼びもなんか・・・いや、琴美の父親なんだからそれはそれで正しいと自分に言い聞かせる。

俺自身は『入江くん』にしっくり来てるので、今更別な名前で呼ばれなくても・・・やっぱり『直樹』だな。

「琴子、練習。ほら、直樹って呼べよ」と言ったら、顔を真っ赤にしてブンブンと首を横に振る。

ベッドの上でこうならすぐ食べごろになるが、今このままにしたら控室借りて休む羽目になるなと思い「今はいいけど」と言って、琴美に「どんな服がいいかな」とわざと聞く。

琴美は冗談が通じるかの様にカッパの着ぐるみを指さした。

それを見て「いいねー、みーちゃん。お揃いで着ようか」と琴子が言い、また周りの視線を一身に浴びた。

「琴美はこっちの方が似合うんじゃないか?」と無難なお姫様風のワンピースを指差したら、琴子が指を横に振って「入江くん、分かってないなー。今みーちゃんは活発な時期だから、カッパの方が可愛いわよ」と断言する。

いくら今日が海の日(正確には次の日)だからといってカッパはいいんだよっむかっ

「俺は人間の子がいい」とキッパリ言って勝手に琴美の月齢のサイズを確認しながら洋服を手に取った。

マリンルックっぽい服があるので、琴子に確認すると「素敵キラキラ」と喜んでいるのでそれを買う事にする。

琴美は俺にカッパを否定されたのが面白くなかったのか、「あーいー」と怒っている様なのでデイスプレイされていたカッパの着ぐるみも見てみた。

だが、季節に似合わず少し厚めな生地にも思える。

「これならおふくろが季節に合わせて作れそうだぞ。琴美、パパがばあばに頼んでやるからここでは買わない。分かったか?」と優しく言うと、琴美は残念そうにしながらも俺の胸に頭をつけてスリスリした。

分かってもらえて良かった。

・・・というか、何故か割と意思疎通が出来るのだが、他はどうなのかと周りを見たら全員子供の意思を無視して母親主体で服を選んでいるようだ。

琴子が「相変わらず入江くんはシンプルなの好きよね。みーちゃんに似合いそうだからと言っても安全に配慮してる」と感心する。

いや、それは・・・俺のトラウマに関係しているから、どうしてもシンプルなのが好みなだけだ。

でも、そんな事をここで言いたくないし、琴子に思い出されたくもない

「兄弟が出来た時も着せやすいだろ」とサラッと言い、琴子の顔を赤くさせた。

「ま、まだ、みーちゃん10ヶ月なのに・・・」

「良かったな、同じ学年にはならなくて」と言ってやると、琴子にガシッと腕を掴まれて「じょ、冗談よねガーン」と真顔で聞かれた。

* * *
次はとうとうホテルか!?とドキドキしながら書いたら・・・たどり着かなかった(笑)
本来は土日の予定でしたが・・・ちょっと気を抜いたら、終わってましたえっ
お待たせしてすみません。もうすぐゴールは見えておりますが、私にとっての大きな山場があり・・・越えられるだろうかと若干悩み中です。
後は家に帰るだけ(笑)なので、このまま平和に終わる事だけは約束できます。
入江くんは兄弟を増やしたがってますが、未来は決まってますので・・・まあ、平常運転で行かせていただきます得意げ

あっ次のチャットは今週の金曜日ですよ~。私もうっかり忘れてました叫び
もうすぐ結婚記念日なのに・・・ネタ無い★