ナイフとフォーク直樹さん、ハッピーバースデーワイン

ホテルについて早々に琴美と琴子は揃って昼寝。琴子はともかく琴美も寝るか?と疑問に思ったが、これだけ色々行動していたら電池が切れたとしても仕方がない。

夜はぐっすり寝ろよと念じながら、寝ている琴美の頭を撫でた。

母親の琴子は琴美と違い、琴美の世話をして母乳を上げなおかつ俺と横浜を旅行中だ。

昨日まわるハズだった場所はほとんど見ていない状況で、楽しんでいるとはいえこっちも体力が持たなかったのだろう。

子連れになると荷物も多くなる。ベビーカーに収納しているとはいえ、全部を乗せられる訳でもない。

そういえば琴子がオムツの在庫を気にしていたなと車から一袋取ってくる事にした。

旅行中でも離乳食なら俺も琴美にあげられるが、琴美が琴子の母乳を欲しがるし琴子も求められたら上げざるを得ない。

旅先で簡単に離乳食を上げられると思っていた俺は昨日の夜、嫌と言うほど現実を突きつけられた。

元々向こうに泊まる予定なんてないから、おふくろ特製の離乳食なんか持ってきてない。

レトルトの離乳食を適当に蓋を開けてあげたら、味が気に食わないとパックをひっくり返された。

本当にテーブルの上で良かったよ・・・。

琴子はそれを当たり前に受け止め「じゃあ、ママのおっぱい飲む?」と言って琴美の機嫌を直した。

「んまー」と喜んだ琴美は琴子の胸にしゃぶりつくが、俺を横目で見ていた。

一緒に居る時間が長いと琴美に嫌われている気がしてならない。

琴美は俺と琴子を天秤にかけて良い方を選ぶ・・・本能で。

まだ理性などない赤子なのだから仕方がない。

それでも娘に嫌われる父というのはかなり心を抉られるぞ。

そういう面では親父は良かったかもしれない。

・・・おふくろは女の子を欲しがって琴子が来るまでボヤいていたが。

その琴子が生んだ琴美はみんなの宝物だ。

泣かせたくないし、世界一幸せになってほしい。

そろそろ、親父達が喜ぶ男の孫も居ていいよなと、琴子を欲望の目で見つめてみる。

流石に昼間の今は起こしてまでしたいと思わないが、夜に少しその体力を俺の為に使って欲しいとは思う。

せっかくの高級ホテルなのだし・・・。

そういえばおふくろはしっかりと琴美の離乳食も注文していた。

どんな注文も受けるのは老舗ホテルの凄いところだと思う。

昨日泊った研修センターとは雲泥の差だ。

でも、まあ俺のプランだと琴美の離乳食は外食だったからレトルトな予定で・・・つまり、レストランでも昨夜と同じ事が起こったかもしれない。

その上観覧車に乗る予定だったし―――子供を連れて旅行に行くという事を実に甘く考えていた。

琴子の休憩も俺が運転中に休めばいいと思っていたくらいだ。

父親は中々親になり切れないなと自嘲する。

「早く俺を父親にしてくれよ」
なんて珍しく他力本願な事を考えてみる。

自力では限界がある事はもう理解している。

何故なら、子供は一人では成せないから・・・。

いつまでも琴子の寝顔を見ていると我慢できなくなりそうなので、ホテルの売店でシンプルなノートとボールペンを買い、琴子が起きるまで論文の草稿を執筆した。

程なく1時間ほどで起きて、夕食前の散策に出かけた俺達だった。

* * *
せっかくの誕生日なので、直樹さんに美味しく召し上がってもらおうかと思ってましたが・・・続くべーっだ!
もしや結婚記念日まで引っ張るのかしら??
まあ、ザマーミロ企画としては上々のデキかも(狙ってなかったけど)

昨日はチャットお付き合いありがとうございました。
平日にも関わらず参加者は13名。閲覧者さんも12名いたので次回に期待したいです。
次回は結婚記念日カウントダウンチャットなので、11月20日を予定しています。
参加者さん限定の企画等もありますし、時間が許せばお代わりとして後日の21日とか22日とかチャット追加も出来ますので、良かったら参加してみてください。