受付の時間が2時からという事だったので、さっそく施設に行き手続きを行う。

ホテルではないので雑に案内され、本来なら乳児の利用は遠慮している旨も伝えられる。

だよな・・・。

次は出来たら研修センターではなく、キャンプ場の方をと勧められたが基本的に東京の人間が遊びに来てここに泊まりたいとは思うまい。

余裕で日帰りで帰る事が出来る距離だ。

食堂と風呂の場所を部屋に行くまでにざっくりと案内された後、通された部屋は予約していたホテルとは真逆の・・・まさに合宿所だった。

夫婦で二段ベッドってありか!?

「ねえ、入江くんどっち使う!?」と嬉しそうに聞くのは止せ!!

「お前が下に決まってる。琴美がいるんだから」

これは逆境どころじゃねーだろっむかっ

ハワイの横並びのツインベッドの方がまだマシだった。

さすがに食事までは予約してなくてホッとしたくらいだ。

そちらも事前予約で飯盒(はんごう)や鉄板、ナタ、包丁、まな板、鍋などが借りられるそうだ。

しかし、薪や炭火用コンロと網は別途料金が必要だと・・・なぜ、乳児を連れて気軽にできないキャンプの説明を受けねばならないのか。

乳児を連れてやるなとは言わないが、それならば元々アウトドア好きで説明を受けるまでもなく慣れている人だろうに。

こんな急に押しかけねーよむかっ

イライラしたが、連絡ミスをした俺が原因なので笑顔で「担当の者に伝えておきます」と返事を持ち帰る事にした。

因みにここでいう担当の者はおふくろだ。

あとでパンダイ主催で何かするだろう・・・多分。

もしかしたら(巻き込まれた)裕樹達が大学生のイベントで使用するかもしれないが。

今日の夕食はさっき行きそびれたレストランで取る事にした。

取り敢えず俺達に重要なタイムテーブルは就寝夜10時、起床6時、退所は翌朝10時。

後は車も開園時間内に入退所する事。つまり、俺達は明日の9時半までこの公園を出られないという事だった。

デカい檻に閉じ込められた動物の様な気分になる。

しかし、今更ここを断ってホテルに向かうという選択肢はもうない。

今日だけの辛抱だ。

何となく俺に同情的だった男性の職員は酒の販売場所をさり気なく教えてくれたが、「生憎車を運転して来たので。子供に何かあった場合、夜中も運転になりますし」と言い、丁寧にお断りした。

担当者は「ああ、そうですね」と頷きつつも「なぜ、当研修センターを希望されたのですか?」と初歩の疑問をぶつけてきた。

知らねーよっむかっ

そんな本音を飲み込み、俺は営業スマイルのまま「うちは玩具会社なので子供連れの家族がメインなのです。それで乳児が居る私達が適任に思えたのでしょうね」と暗に上からの圧力だと現場の声を伝えて理解してもらった。

そして、その夜・・・規約通りに就寝時間を守り、清く、正しい『合宿』を無事終えたのだった。

* * *
本日、ハロウィンですねぇ。連載書くか短編書くか悩んでこっちにしました★
とはいえ、家でハロウィンした事ないんですけどね(^^; 後で子供達と(家の)おかし食べるくらいかな!?