琴子ちゃん、ハッピーバースデークラッカー

自分の誕生日に休みが欲しくてそこに休日になるように調整したら、誕生日前日の日曜日に夜勤を入れてしまうのが琴子だ。

誕生日を前倒しで祝えば良いのに何故当日に拘るのやら。

しかもその日(琴子の誕生日)は、俺が当直の日でもある。

何故そこに当直が入っているかというと、おふくろ主催のイベントが鬱陶しいからだ。

やっと琴子のもとに帰って来たのだからと、パーティーだ、デートだ、と研修医の貴重な休日にあれこれ予定を入れさせる。

ゆっくり論文を書く暇もなく、その資料を読む時間も取れない俺に、外出の予定を詰め込むのは止めてほしい。

だから当直の日は手の空いた時間に論文の資料を読み込み、下書きを書く生活を繰り返している。

それに月曜日は何かと忙しい。

平日診療の初日でもあり、休日に救急外来で飛び込んで来た患者の処置が回って来る事も多い。

日曜日にその場にいる担当だけで本格的な手術というのは望めないのだから仕方がないだろう。

それらの対応から月曜日が特に忙しいのだから、琴子も俺の事情を分かってるだろうと思ったらそうじゃなかった。

「誕生日くらい幸せに過ごしても良くない?」と上目遣いで言われると返事など出来るはずもない。

俺は月曜日の忙しさを考えて『誕生日とて人が新たに生まれただけの平日』としか思えず、特別な日だから休むという考え方にはならない。

だからといってこれ以上琴子を蔑ろにする気はなく、手が空いた時には祝いがてらどこかへ連れて行く甲斐性はある(つもり)

ただし、女性は年を取るのが嫌いだという割に、その初日である誕生日は大事という考え方には納得出来かねるが・・・。

この世に存在している事を祝う気持ちさえあれば日付など構わないと思うのだが、琴子はそうではないらしい。

「はぁ~日帰りでもいいから鎌倉に行きたかったあせる」と言われ、何故に鎌倉!?と思ってしまった。

歴史の教科書じゃあるまいし、『いざ、鎌倉』という意味ではないだろう・・・確実に。

そんな義理も人情も無い―――と、思っていたのは俺だけで、琴子としては義理はともかく人情はあるらしかった。

人情というよりはだが。

「は!? 俺と初めてデートした場所??」

「えっと・・・ほ、本当は違うけど、でも、でも、ね!?」としどろもどろにブツブツと恨みがましく呟かれて思い出す。

確かに、俺が初めて遠出の提案したのは鎌倉だったと・・・(うちのブログのみの設定です)

デートの定番といえば琴子に誘われての映画、もしくは井の頭公園、二人で食べに行ったり本屋に行ったりはあったが、どこかへ遠出しようという提案は―――(おふくろからのを除いて)確かに俺が誘ったのは鎌倉だ。

それもこれも琴子が大仏で騒ぐからだろ!!

その勘違いから、そんなに興味があるなら連れて行ってやろうかと・・・それからおかしな方向に話が進んだのは言うまでもない。

なんだかんだ、毎年というか二年毎というか、謎の周期で鎌倉に行っている気がする。

そろそろ鎌倉じゃない場所でも―――そう思って探したが、結局近場に落ち着いた。

それも鎌倉のある同じ神奈川県の箱根に。

ここを選んだのは偶然ではなく、琴子が鎌倉と騒ぐから鎌倉に向かうフリをして連れて行こうかと思ったのと、温泉に浸かってゆっくりしたい気持ちと、ついでに昔の事を思い出したから。

思い出ならば家族旅行の熱海というプランもあったが、家族旅行な場所だけにおふくろに情報が流れそうで躊躇した。

まあ、そこまで口の軽い従業員はいないだろうが、おふくろの謎の行動力は侮れない。

そんなこんなで琴子へのサプライズ旅行を敢行したが、実際は観光もせずホテルの宿泊と近場の散策(?)のみで終えたのは決して俺だけのせいではない―――ハズだ。
※昔に書いた話がオチになってます。

* * *
毎度残念仕様ですみませんえっ 
わざとじゃないんですが、テーマと絡めたら何故かこうなるむじかくクオリティ
本当は旅行物の構想練ってたのですが、うちの仕様は多産なのでどこに行く?誰を連れて行く??の計画が結構手間でして、片手間に書けるのは昔書いた話とリンクする話だったりします。
何故か日常の方がバタついてまして、なかなかゆっくり時間が取れませんあせる
月2本は確実に上げたいと思っていますが、連投は難しくなっています。
イタキス祭が終わった後に自分のブログの誕生日来ますので、ブログの整理もして行かねばです。
この辺の話が聞きたい方は次回のチャットに是非いらしてくださいませ。
質問等はコメント、メッセージでも受け付けますが中々返事出来ていません。
時間作って返事は書きますので、ゆっくりお待ちくださいませ。
アメンバーの募集も再開しようかと思います
※年に1~2度、アメンバー限定のお知らせを上げる為だけに残しています。


イタキス期間2020