「えー!? 明日、もう始業式??」


琴子が何を騒いでいるのか理解出来ないが、年間計画なのだから今更驚く事はないだろう。


というか、年間計画の方ではなく、日々のカレンダーを見間違えたのか!?


まさかなと思いつつ「何を騒ぐ事がある」と聞くと、琴子は「大変よー、明日もう始業式なの」と慌てて俺に報告をする。


「何がどう大変なんだ!?」


お前の頭の中か!?とからかいたくなるが、親としてそれは不味いだろうから止めておく。


しかし、十中八九それが正解な気がする。


「ママ、何が大変なの!?」と琴美もリビングに来て聞き返した。


「明日から始業式なんでしょ!? 宿題とかどーしてる??」


その心配かと、ようやく合点がいった。


そういや琴子はギリギリまで溜めるタイプだったな。


こいつに付き合わされた高3の夏休み最終日を思い出す。


「宿題なんてとっくに終わってるよ、ママ」と琴美が言うと、琴子は「はー」と安堵のため息を吐いていた。


「僕も終わったよ」と正樹も言う。


じゃあ、大丈夫・・・じゃなかったな。


琴子によーく似た次女からは、全く返事がない。


「琴音!?」


俺が呼びかけると、琴音は肩をビクッと震わせ「あ、あ、あ、あたしも・・・かなぁ?」と挙動不審になりながら返事をした。


これはやってないなと、今度は俺が「はー」と諦めのため息を吐いた。


「琴音、見せて」と琴美に捕まえられ、琴音は「ごめんなさーい」と証拠も見せずに白旗を上げた。


自白の速さも琴子譲りか!?


「あ、あのね、あのね・・・えーと、途中までは、頑張ったのょ」と何とか被害を減らそうとするが、終わってないなら結果は評価されはしない。


「琴音、ママと頑張ろう!!」と琴子が言うが、琴子に小3の問題が解けるだろうか!?


いや、こいつも小学校は卒業しているんだから解けなくはないだろうが、教えるのに適した人間ではない。


「「ママー」」と双子は寄ってくるし、「あ~」と声を出す赤ちゃんの逸樹も起きているようだ。


「ボクのだってばーあせる
「かしてっていったもーん」と喧嘩している光樹と弘樹


因みに被害者が兄の光樹だ。


「俺が教え……」

「お姉ちゃん、お願い、教えて!!」


ほぼ同じ顔なのにちっとも懐かない琴音は、琴子似の4歳年上な姉に頼って縋り付いていた。


俺達の顔を逆転させた光景が目の前に広がる。


摩訶不思議だ。


琴美は「しょうがないなぁー。もっと早くいいなさい」と怒りながらも、リビングから琴音を連れ出し二階に行く。


「こら、ヒロ。ちゃんとミツの許可取ってからだろ」と正樹が兄弟喧嘩を仲裁している。


昔の俺らの様で、俺らじゃない・・・我が子達。


こんな未来があったんだなとしみじみ思ってしまった。


「やっぱり、あたしの子はあたしで、入江くんの子は入江くんだね」としみじみと納得している琴子に言いたい。


全部、俺とお前の子だからな!!

 

* * *

なんとかノルマ達成

 

明日からは9月なので、またすぐ記事書かないと滝汗

 

また今年もイタキス祭あるので、9月27日にカウントダウンチャット予定してます。

是非参加してくださいね。