あたしは入院患者さんと話しながら、昔に思いを馳せた。


「そーなんだー、匠くんも見てたの!? あたしも全話見たわ」と喜ぶと、あたしの年齢を聞かれた。


いや、確かにあたしが見てるのはオカシイかもだけど、そこは入江くんとの大事な思い出だから見たってイイじゃない!!


「えーと、あの当時は19?、20歳だったかな」と答えると、生暖かい目で見られた。


「じゃあ、今は…」と年齢を当てられそうになりちょっと焦る。


いや、隠しちゃいないんだけど……ほら、モトちゃん達と同期って知られてるからややこしいのよっむかっ


「で、どの話が一番好きだった、ゴットペガサス!!」と聞いたら、アニメの題名は『ゴッドレンジャー』だった。


あっうっかり。


「俺もゴッドペガサスの回は好きでしたよ。あそこ、普通は新しいヒーローの登場って場面なのに、移動の乗り物って斬新で」


「わーかーるー!! さっすが、入江くんよね」と喜ぶと、監督?と聞かれて慌てて否定した。


あたし、アニメに詳しくないから!!


しかも、あの時社長代理(←正確には社長秘書)でアニメには関わってなかったんだよね。


「こーとーこー。なーに、やってんのよーぉむかっ」とモトちゃんに呼ばれ、あたしは慌てて器具を片付けると「じゃあ、無事ですね」と言い訳しながらナースステーションに戻った。


モトちゃんのお説教を聞きながら。


「あんたね、入院患者に何ぬかしてんのよ。もうすぐ退院になる患者の無事を確認してどーすんの」


いや、無事なのは分かってるけどね。入江くん担当だしさ。


「こ、言葉のアヤよ、アヤ!!」


「で、ゴッドペガサスって??」


と、話を振られ、あたしは提出するバインダーを小脇に抱えたまま話そうとしたら、清水主任に見つかって雷を落とされた。


はぁ、ヤバイ。ヤバイ。


モトちゃんにお昼にねと約束し、次の仕事のベッドの確認に走る。


まだ半人前だけど、看護師の仕事は山の様にあって手が抜けない。


猫の手も借りたいというか、ゴッドペガサスの羽根も借りたいというか……。

 



お昼になってモトちゃんと休憩に入ったら、久々に啓太にも会う。


啓太には通じないと思ってたゴッドペガサスが、啓太に通じてモトちゃんに通じないとはビックリ。


でもよく考えたら啓太の方が匠くんのリハビリに付き合ってるというか担当だし、その話するわよね。


「モトちゃんの方が知らないとはビックリ」とあたしが言うと、モトちゃんは「あたしとあんた、何歳離れてると思ってるのよ」と言われムッとした。


「たった3歳じゃない」と言ったら、入江くんが開発した頃はモトちゃんが17歳だという事に気づいた。


そりゃ見ないわよね。


じゃあ啓太は何故!?と思ったら、部活の後輩の弟の友達だか先生だかが詳しいらしい。


友達の弟は分かるけど、先生って何??


部活の後にその家に行ったらビデオを見せられたんだそうな。


しかも、その人も開発に携わってたとか!?


「えっ 入江くんの知り合い??」


驚いて聞いたら、逆に「何で入江!?」と聞き返された。


入江くんが開発したと言ったら、モトちゃんが「入江先生、さっすがー」と喜ぶ。


啓太は「ケッ」と悪態ついてたけど、入江くんってば凄いでしょー。


鼻でふふんと笑ってやったら、モトちゃんがそのビデオ貸してよと言う。


うーん、確か家のどっかにはあると思うけど……入江くんは持ってないよね。


裕樹くんかなぁ~!?


「探してみる・・・ょ」と答えていたら、近くから声が聞こえた。


「もとがないなら二次読めばいーじゃない」


「これ、オススメ」とモトちゃんの手にメモを渡して居なくなった……あなた、誰??


看護師にあるまじき、ドピンクの髪の後ろ姿が目に焼き付く。


「今の・・・誰!?」


「うっわー。このアドレス」とモトちゃんが被せる様に言うので覗いた。


「「琴子にはまだ早い」」


と、モトちゃんと、啓太に止められたのは腑に落ちない。


あたし、二人よりも年上なんですけどっっっ

 

* * *

後7日でカウントダウンチャットでーすニコニコ

毎度のemaさん宅にチャット会場を用意してもらいました。

今年もそこでお待ちしてますので、皆さま是非ご参加くださいませ~チュー

コチラからどうぞ

 

今年はソウさんが20周年で、テーマが『原作がないなら、二次創作を見ればいーじゃない』になっております。

毎年ソウさんに伴走してますが、今年は20周年を記念して…20話書こうかな!?

いつもよりはボリューム増でお届けしたいと思いますウインク

が、我が家のテーマはショボイので、過度な期待はご遠慮ください凝視