- 「道」を極めし者と「丹田」 -
「丹田」は,おへその下約5cm前後の高さにある人間にとって最も大切な気のセンターです.
中国では,上中下と3種に分けられますが,日本で丹田という場合は,基本的にこのへそ下の臍下丹田を指します.
丹田はヨガでいうところの人間根本のエネルギーである“クンダリーニ”の居場所でもあります.
ですので,肉体と精神の両方に影響を与えています.
ここが活性化していれば,心身共に気力がみなぎり,不活性だと病弱となってしまうと言い伝えられています.
禅が日本に伝わってきてから,丹田は日本人にとってとても大切な概念とされてきました.
そして,武道,書道,茶道,華道など「道」を極めし者にとって,丹田の鍛錬は欠かせないものとなりました.
(双葉山)
当時は,今みたいに肉体と精神を分けて考える考え方はなく,
肉体と精神はお互いに影響を与え合い,二つで一つと考えられていました.
ですので,今みたいに技術練習と筋力トレーニング,メンタルトレーニングを分けて行うというやり方はありませんでした.
それぞれの「道」の修行そのものがすなわち丹田の鍛錬となり,同時に技術習得も併せ持つものでした.
現代では,弓道が特にその色を強く残しているといえます.
“肚(ハラ)が据わっている”
“肚(ハラ)を割って話す”
これらの言葉も日本独自のもので,英訳できません.
これらの言葉からも分かる通り,古来より日本人にとって「ハラ」は単なる消化吸収の場所ではなく,
精神性が宿っている大切な場所だったということが分かります.
ですので武士と切腹の関係もここら辺とつながってくると考えられます.
西洋でも最近は腸は“セカンドブレイン”と呼ばれ,
脳がなくても腸自身でホルモン分泌や消化吸収活動ができることが分かってきました.
どの国にも様々な料理があるようにその国の気候や風土,気質というものがそれぞれあります.
昨今の競技スポーツ分野はスポーツ科学が浸透し,西洋流の鍛え方がメインになっています.
その反動からか,最近ではヨガやマインドフルネスなどの東洋的鍛錬法が逆に西洋諸国で見直され,
日本には逆輸入という形でブームが起こっています.
当時のお侍さん達がこのことを知ったら失笑するかもしれませんね^^
日本人が西洋人と同じウェイトトレーニングをしてもフィジカル面では到底かないません.
これはもうDNAレベルの話ですからしかたがありません.
しかし,丹田を中心とした心身鍛練法ならいかがでしょうか?
当然,これらの文化と共に育ってきた我々日本人に分があるといえます.
スポーツ科学ベースのウェイトトレーニングやスタミナトレーニングもいいですが,
今一度,「道」を極めんとする日本人は「丹田」心身鍛練法への原点回帰を試みてはいかがでしょうか?
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