府中市美術館恒例の「春の江戸絵画まつり」へ行ってきました。
今年は「歌川国芳 21世紀の絵画力」です。
会期は、2017年3月11日(土)~ 5月7日(日)
前期(3/11~4/9)・後期(4/11~5/7)で全作品が展示替えとなり、合わせて約240点が紹介されます。
昨年同様、なんとか前期展示にギリギリで間に合い...こちらも恒例(?)しばしのお花見を楽しみました。朝まで雨で強風の日でしたが、午後は青空が広がり、桜も頑張って綺麗な姿を見せてくれました。
展示は二部構成で、代表作の多くが、摺りの状態、保存状態ともに良質の作品によって味わえるようになっています。
第1章は「19世紀の国芳」で、国芳の作品の成り立ちや当時のありようが紹介されています。
第2章は「21世紀の国芳」。国芳の作品がどうして今輝いているのか、どんなところが現代人に訴えているのかを、造形の手法や題材、作者の心といった点から探っています。
また各章内では、「江戸の良さを教えてくれる画家」「歴史の物語」「笑いの愛蔵版」「人気者国芳」「特撮ファンタスティック」「猫がむすぶ国芳と現代人の心」等々のサブタイトルが付いています。
展示は国芳が注目されるきっかけになった「水滸伝」で始まっています。
早速足が止まったのは、「役者を追いかける」というタイトルが付いた役者絵。
ここではモデルの役者ごとに展示されていて、役者の特徴による描き分けがわかりやすくなっています。猫や金魚などに姿を変えた作品でも、これはあの役者だとすぐに分かり、当時の江戸の人々と一緒に楽しんでいるような気になりました。
《似たか金魚》 団扇絵
役者の顔とその紋を背負った金魚と亀。天保の改革で役者絵が禁止されていた頃の作品。
《鬼若丸と大緋鯉》 錦絵3枚続
鬼若丸(武蔵坊弁慶の幼名)が、人に害をなす巨大な鯉を一人で退治したという逸話による作品。鯉が巨大な渦を作って泳いでいる姿が、すごい迫力でした。
何とも楽しかったのがこちら。
《其のまま地口・猫飼好五十三疋》(そのままじぐち・みょうかいこうごじゅうさんびき)錦絵3枚続
東海道五十三次と日本橋、終点である京・三条大橋を猫の姿の語呂合わせで表した戯画です。
例えば、日本橋は「日本だし」(かつお節二本)、品川は「白かを」(白猫の顔)、川崎は「かばやき」(岡持ちに入った蒲焼)...ちょっと無理矢理みたいなものもありますが、猫好きの国芳の洒落っ気が感じられます。最後の京は「ぎゃう」で、ネズミを捕まえた猫の威嚇の鳴き声とか(゚ー゚;
「源頼光公館土蜘作妖怪図」「源頼光の四天王土蜘蛛退治図」など、妖怪ものもやっぱり目を惹きましたが、今回は擬人化した猫や金魚が印象に残りました。
《きん魚づくし ぼんぼん》
お盆の頃に子供たちが手をつなぎ、横並びになって「ぼんぼん」と呼ばれる盆唄を歌い歩く様子を描いた作品。手を引かれて一生懸命に歩いているようなカエルをついつい見てしまいます。
《猫のすゞみ》 団扇絵
隅田川の夕涼みに出かける屋形船。船に乗り込む芸者に船頭が手を差し伸べ、待ちきれない様子の旦那が顔をのぞかせています。それぞれの表情が何とも人間臭くていいですね~。猫の着物の柄が、芸者は子安貝、船頭はタコ、旦那は小判と凝っています。
閉館のアナウンスで現実に引き戻され...常設展を見る時間が無くなっていました(^_^;)
後期も今日から始まりました。楽しみです