時はローマ帝国時代。アウレリアス帝は老い、後継ぎとして軍の総指揮官マキシマス(ラッセル・クロウ)の名前があがる。しかし皇帝の息子コモドゥス(ホアキン・フェニックス)はそれを快く思わなかった。危うく殺されかかったマキシマスは、隙をついて脱出。だが妻子は殺されていた。彼は名のない“グラディエーター(剣闘士)”となり、いまや新皇帝の座についた敵に、復讐をちかう……

リドリー・スコット監督の底力大爆発! じつにじつに男臭い世界。バトルと共に、人間性が細かく描かれているので、深みのある話になっています。戦争を味わいつくしているマキシマス。その彼に、戦争など知らない民衆が闘技場で叫ぶ、「殺せ、殺せ!」。彼の口元に皮肉な笑みがうかびます。私にとって一番印象深いシーン。

CGで当時の世界を再現した風景や闘技場。映像のすばらしさと、ドラマチックな人間模様があわさって、もう最高。気分はローマへタイムスリップ!

よく雑誌などで香水特集があります。私は香り系が好きなので、つい読んでしまう。最新の香水情報をチェック(今はゲランのフローラ・ネロリアが気になる!)。コラムやアンケートなんかもいちおう目を通します。

100人に聞いた「どういう時の香りを、快く感じますか?」。いつもの質問。回答の1位はたいてい「街中ですれ違ったときに、フワッと匂うとき」。
次の質問、「どういう時の香りを不快に感じますか?」。これもたいてい「つけすぎのとき。エレベーターの中に匂いがこもったりするとサイテー」。

これねー、どうかと思うんですよねー(ちょっと文体変わりました)。だって、歩いた時に匂いが残るって、そういう人、そうとう香水つけてますよ? そういう人が止まるから、水蒸気みたいに匂いがたちのぼって「サイテー」になっちゃうんだって。

両刃の水(笑)、香水。みんなの気に入るには、絶えず歩きつづけてないといけなさそう(^^;;;

一人の人がこれほどコレクションできるとは。しかも審美眼のある人が集めたから、歴史的にも芸術的にも価値あるものばかり。仏像をこんなにまとめて見たのは初めてだった。

日本の仏像は、パンチパーマで頬はむっちり、体はでっぷりしている。あれ、好きじゃなかったんですよね。一般人が仏様の外見の好き嫌いを言っちゃあいけないとは思うけど。
シルクロードでのブッダは美しい。ウェーブした髪を頭上でまとめ、頬はすっきり、体はほっそり(断食してたせいもあるでしょうが。晩年はややむっちり)。うーんいい男じゃないの!

シルクロードは広いから、ブッダ像もいろんな文化が混じっている。鼻の下のヒゲが妙にのたくっておちゃめなブッダや、いやにヨーロッパ的な顔だちのブッダまであった。自分にもっと民族や歴史についての知識があれば、とくやしかった。

会場には他にも、古代貨幣、女神像、皿などが展示されていて、なかなか興味深かった。

日本が負けた。南方で戦っていた日本兵は、われ先にと退却した。あちこちに、兵の死体が放置されたままゴロゴロしていた。撃たれて死んだ者もいれば、飢えて死んだ者もいた。

1人の輜重兵(しちょうへい:食料や物資を運ぶ)が退却中、死体の中に、ある男を見つけた。動かない日本兵の、その頭の下には、飯盒(はんごう)があった。死人の持ち物は、生きている者がもらい、有効に使う。手をのばして飯盒をコツコツ、とつついた。すると、兵がポカッと目をあけて、言ったそうだ、
「まだ死んでませんよ」

あの目がなぁ、あの言葉がなぁ、いまだに忘れられないんですよ――
と、輜重兵だった男は、父に語ったそうだ。なんともいえない表情で語ったそうである。

第二次大戦中は、食糧難だった。日本軍の食料庫には、食料を盗みにくる人が、後をたたなかった。だから、食料庫の扉の前には、兵隊が、いつも銃をかまえて立っていた。

彼の名前はアイザワという。両腰に1丁ずつ銃をさし、四六時中の警備のため、顔はヒゲだらけだった。その姿に、みんなは「鬼のアイザワ」と呼んだ。
父は彼を知っていた。早稲田の商科を出た、モーツァルトを愛する人だったという。

アイザワさんが言ったそうだ、「日本人が日本人を殺すんです。戦争は……」
倉庫の番をしていると、銃を撃つようなこともあったのではないだろうか。ただの威嚇か、それとも本当に撃つのか。
アイザワさんが父にもっと詳しく語ったのかどうか、わからない。父はそこまでしか言わなかったし、私もそれ以上はきかなかった。

父は物を最後まで使うタイプだ。靴は穴があいてもはく、服は切れても着る、食事でだれかの食べ残しがあれば、満腹でもたいらげてしまう。

これは、単なる性癖かと思っていたが、じつは戦争の影響らしい。第二次大戦当時は、物も食べ物も不足していた。だから服は最後まで着た。食事も、食べられるときに食べておかないと、次にいつできるか分からなかった。コーヒーなどは夢の夢だった(その反動か、今は毎日のように飲んでいる)。

父は、夕食後、すぐに布団をしく。実際に就床するのは数時間後なのにだ。気が早い人だなぁと思っていたら、昨日、ちょっと恥ずかしそうな顔で、私に言った。
「戦時中は、夕飯を食べたら、すぐ寝たんだ。眠れるときに眠っておかないと。夜はいつも起こされるから(空襲で)」
またここにも、戦争の影響があった。

私は戦争を知らない。でも、戦争が人になにを及ぼすかは、すこし知っている。

誇大広告……とツッコミを入れたい。たしかにレンブラントとフェルメールはあるけど、10点ほどのレンブラントのほとんどがエッチングだったし、フェルメールはこの展覧会の目玉「恋文」1点のみ。延々とオランダの他の画家の作品が並べられていた。(ゴッホはなし)

オランダ画家のエッチングは非常に細かい。マメな性格なんだろう。特に船の緻密さは異常だった。マストから装飾にいたるまで、きっと拡大鏡を使って描きこんだに違いない。「俺達の国の船はすごいぜ」と誇っていた。

あと静物画が面白かった。名前は忘れたけど、ほとんど「タイトルを“虫のいる花瓶”に変えたら」と言いたくなる絵があった。花はしおれてる、果物は腐りかけ、ガはいるわ、毛虫はいるわ。リアリズムもここまでくると風刺だ。画家はぜったい狙っている。

収穫だったのはフランス・ハルス。固い表情のオランダ肖像画の中で、レンブラントと並んで生気をはなっていた。

止まっている車にぶつかるよりも、向かってくる車とぶつかったほうが、被害は大きい。兄ちゃんは立ちかけ、リュックは下りていた。前述したように私のリュックは異常に重い。
その衝突時の痛みはいかばかりであったろう。

茶パツのツンツンヘアにピアスの兄ちゃんとしては、「うrrrら何すんだこのボケ女っ」くらい言いたかったはずだ。だが私は即座に謝った(ただの条件反射。石につまづいても石に謝る)。したがって兄ちゃんは文句をのみこみ、頭をさすりながら、涙のにじんだ目で私をひとにらみするしかなかった。

駅でぶつかっても無言でスーッと行ってしまう今の若い世代に、私はいつも苦い思いをしている。しかしこの時ほど、彼らの沈黙に感謝したことはない。あ~からまれなくて良かった♪