真夜中まで鳴いていたセミも、ここ数日は、草むらの虫に舞台をゆずっています。
窓から入ってくる風が、ひんやり肌寒く感じられるようになってきました。

日中はまだ夏ががんばっていますが、夕方をすぎると、晩夏が色濃く現れます。

すだれ、うちわ、木綿のワンピース、アイスピッチャー、氷まくら……
涼をとるのに必要な、夏の必須アイテムも、そろそろ必須の字が取れてきました。
秋物を用意しておこうかな……そんなことを考えたりもし始めています。夏ももう折り返し地点です。
ホッとしたような、寂しいような。


残暑の残る夕方に。
冷凍庫から、シャーベットを取り出しました。

普段はアイス党の私ですが、夏はシャーベット一辺倒になります。アイスほど舌に甘ったるさが残らず、カキ氷ほど頭がキンとする冷たさがない。さっぱりと甘いシャーベットは、今年もおいしい幸せを運んでくれました。

ハーゲンダッツ、“ソルベ フランボワーズ”。
カシスのような色と、甘ずっぱさ。シャーベットに感じている上品なイメージもあり、どこかのレストランで、デザートにいただいている気分になりました。

シャーベットを食べるのも、今年あと何回あるだろう……
スプーンで1さじ。夕焼けが、舌の上で涼しく溶けていきました。

口の中が冷えてきました。
遠くからつくつくほうしが聞こえてきます。

栗栖氏の会社のご友人、ヒゲさん。趣味は釣り。
毎週のように釣りに行き、この連休ももちろん釣り三昧。
奥さんは「もう食べ飽きた」そうで、受け皿が我が家に回ってきました。

「もらってきた」
と栗栖氏。家をちょっと出たと思ったら、ビニール袋を下げて戻ってきました。釣り帰りのヒゲさんが、車で届けてくれたのだそう。
「何の魚だったの?」
「鮎」
「ああ、鮎」
うなずいたものの、鮎なんて求肥の入った和菓子の鮎くらいしか知りません。
どうしよう。塩焼きにすればいいのかな。
などと考えていたら。

「これさ」
ビニール袋をかかげて、栗栖氏がいたずらっぽく笑いました。
「生きてる」
「えっ!!」
袋から、ピシャッと水がはねる音がしました。

もらった鮎は10匹ほど。小ぶりで20センチくらい。横腹が黄色いのは、天然ものの証だそうです。
半分くらいは死んでいましたが、残りの半分は生きていました。
スーパーのパックになっている魚ならしょっちゅう見ているけど……。
とりあえず、流しの洗い桶に袋をあけました。

死んだものは底に沈んでいき、生きているものは広くなった水の中を上に下にと泳ぎ始めました。
大きな1匹だけは具合が悪そうで横になり、たまに腹を上に向けては我に返って起きるといった動作をくり返していました。
 


鮎が泳ぐところは、デパートなどでよく目にするような、水槽を青や黄色の熱帯魚たちがハタハタと舞いひらめく優雅な姿とはほど遠いのものでした。

いかに速く泳ぐかが魚なのである、と主張しているかのような弾丸のごとき動き。流線型というのは、なるほど水の抵抗を最小限にしてあるのだなと感心しました。
かと思うとこちらの様子をうかがうみたいにじっとして、時おりひらりひらりとする。また早回しのようになって、そこらじゅうに水をはね散らかす。

なんともエネルギッシュで、見ていてほれぼれしました。

たまに勢いのあるのが外に飛び出て、私をあわてさせました。
バシャッと水が言ったかと思うと、流しでバタバタバタッとたたきつける音。
走っていくと流しの中を身をよじらせてはね回っています。つかまえようとしても、小さな体のどこにこんな力があるのかというような暴れようで、手がつけられません。やっとの思いで両手でつかんでも、ぬめりがあるため、すぐにつるりと抜けてしまいます。
眠っていた狩猟本能がかきたてられました。

脱走者を戻したあとは、常に床のぞうきんがけでした。


――その晩さばかれた鮎は、刺身になりました。
「川魚なのに生臭くない」
「コリコリしている」
魚好きの男たちは、箸でつまみながら舌鼓をうっていました。

私は、ついさっきまで泳いでいた鮎たちの変わり果てた姿に動揺しつつ、ちびちびと味わいました。
食べること、生きること、命などについて、ちょっぴり考えたりもしました。
刺身は新鮮で、薬味のしょうがとしょうゆがよく合い、おいしかったです……。


翌日、鮎のいくらかは実家に持っていかれ、両親に喜ばれました。
夕飯ではこんどは塩焼きにされ、我が家の食卓を再びにぎわしました。
栗栖氏は料理をデジカメで撮り、ヒゲさんにお礼のメールをしました。

鮎はこうして皆のお腹におさまり、無事(?)いなくなりました。


ファーバー・カステルのアルブレヒト・デューラー(水性色鉛筆、ソフトタイプ)。
念願の120色。
ついに“大人買い”してしまいました。大人バンザイ!(^^)  毎日地道に働いて(ヘソクリを貯めて)きた甲斐があったというものです。

お小遣いをもらっていた子供時代だと、どうしても「120色は高いから、24色のでいいや」などと妥協して安く買ってしまうんですよね。
で、すぐに「あの色がない」と不満が出てくる (^^;)。

色数が少ないと、いろいろ不便でした。
自分の技術不足を棚に上げて言うと……

欲しい色を出すために何色も重ねて塗ると、モワレのような縞々ができてしまう。あるいは油絵のように、後に付けた色が、ただ上に乗るだけだったりして、うまく混ざってくれない。
まあ、それも味といえば味であるのですけれども。

水を落とせば水彩絵の具のようになる水彩色鉛筆ですが、どういう混色ぐあいになるかは水をつけてみないと分からない部分がある。ちょっとギャンブルめいて面白いのですが、やっぱり怖い。なので、前もって別の紙で試してニュアンスを見たりしていました。

最初から狙った色があると、これらの心配がなくなります。おかげで120色を買ってからは、ずいぶんと手間がはぶけ、描くのが楽になりました。

栗栖氏がウィンザー&ニュートンを並べてうっとりながめている横で、最近は私も色鉛筆を前に、にこにこしたりしています。きれいだな、便利だな。こんどはどの色を使ってみよう?


デューラーには、けれど、小さな欠点があります。
割とどっしりとした重めの色が多いので、淡い色調のものが少ないんですよね。(ちゃんとそろってはいますけれど)

これを補うのは、カランダッシュのスプラカラーかなと思っています。ごく薄い水色や、ほとんど白のような緑、やわらかい紫など、デューラーにはない色があります。
こちらも120色。あ、値段はデューラーよりも安いです。同じくバラ売りもしているので、補充もききます。

パンフレットがあったので、画材屋でもらってきました。毎晩広げて見ています。

いいな、カランダッシュ。いいな。

 

 


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写真は、練習で描いたおいしい物たち。さつまいもの皮の色は、120色のセットにありました。24色や60色のセットでも、まあ混色すれば出るのでしょうけれど。色を作るのが面倒なのよ~。

 

 

灰色の服が、着れなくなった。あんなに好きで、似合ってもいたのに。
シルバーのダウンジャケットも、グレーのジャージスーツも、合わせると借り物みたいに顔から浮いている。

「グレーは、若い人の色。まだ自分のカラーを探している時のものなのです」
カラーコーディネーターを目指している友人が、以前言っていた言葉。

ああ、こういうことなのか。
なんだか自分がずいぶん年をとったような気がした。未来はいくらでも広がっていた、可能性が無限にあったあの頃では、もうないんだな。


いろんな色が混ざり合い、しかもどの色でもなかった20代。大人のようでいて、子供でもあった、混沌の季節。

分かれ道に来るたびに、何かを選ばなければいけなかった。
可能性が少しずつ消えていった。でも、それが大人になるということだった。

灰色からある色を消すと、残りの色が現れる。
あの迷路のような年月に、わたしは何色を選んでいったのだろう。
いつか、迷路をたどって歩いたその線を、上からながめたとき、どんな色が見えてくるだろう。どんな絵が、浮かんでくるのだろう?


――いつの間にか、遠くへ来ていた。
わたしは灰色の衣を脱ぎ捨てて、新しく自分に似合う色を着る。昔だったら選ばなかったような色でも、今なら似合う。
これが現在の、わたしのカラーだ。


子供の頃は、当たり前のようにあった夏休み。遅寝、遅起き、昼寝三昧。日中は遊んで過ごし、宿題は最後の1週間で青くなりながらやっつける。そんな休みを、向上心のかけらもなく毎年送っていました。

永遠に続くと思っていたのですが……就職を境に、夏休みのある子供時代はドアを閉ざし、汗の労働の大人時代がドアを開けました。
あの長い夏休みは、子供だけに与えられた特権だったのね (*^^*)。

いま1ヶ月休みを取りたいといったら、宝くじでも当てて悠々自適の生活になるか、外国にでも移住し働いて、バカンスを取るかしかないでしょう。あるいはそれ以前に、資産家の家に生まれてくるとか。(笑)

まあ、そうは言っても、大人になったら休みが完全になくなるというわけではなく。
“お盆休み”という、民族大移動ウィークが、これから始まります。
約1週間。うちの会社は不況のため、10日以上休みですけども (*^^*)。
楽しみです。

大人になって良かったこと――色々ありますが――お金のありがたみが分かったことと、10分、1時間が大切だと感じるようになったこと。
子供時代の夏休みの1ヶ月より、今のお盆休みの1週間のほうが、だから、充実していると思うのです。

去年は、栗栖氏と東京下町めぐりをしました。
今年は、たぶん2人で絵を描いています。画材の買い出しで、何回か画材屋めぐりをする予定。あと、被写体を探して、すこし遠くの町へ足をのばすかもしれません。

もういくつ寝ると盆休み……歌いながら、指折り数えて、休みを待ちわびています。


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写真は、以前書いた“池澤夏樹『南の島のティオ』”(2005-09-16)の絵を、新しく描き直したもの。
昔のは、紙に輪郭線だけ書いて、写真に取り込み、PhotoShopで彩色していました。
今回は水彩色鉛筆です。最初のイメージは、こちらのほうが近いかな。ふんわりした色を考えていましたので。


またBOSSがきれいな缶を出しましたね!
シルバーの縦のラインが、リモワのスーツケースを連想させます。

さっき飲んでいた缶は、ちょっと凹んでいました。普段だと「交換してもらおうかな?」と考えるのですが、このデザインだと逆に味に感じて、「カッコいい」なんて思ってしまいました。
やっぱりリモワみたいです。


手書きで四苦八苦しながら描く絵は楽しいです。自分のセンスの無さにがっくりしつつ、落書きのような絵を描いては捨て、描いては捨て。
まあ、こういうのを下手の横好きというのでしょう。

とにかく描くこと自体が面白いです。
色鉛筆を紙の上で動かすと、伸びていくカラフルな線。塗りつぶし広がっていく色。花や動物、太陽が、小さな四角の画用紙に生まれていきます。

紙をこする音もいいですね。サッ、サッという静かな音。万年筆が好きな人は、ペン先が紙に当たる音や感触を重視するそうですが、なんとなく分かります。

最近は物を描かずに、色ってこんなにきれいだったんだ、と紙に乗った線や面を、飽きずにながめたりしています。なんだか退化しているような気も…… (^^;;;)。

誰かが本で言っていました。
「CGが広がっても、手描きは必ず残るだろう」
と。
自分の手を動かし、ものを創造するのは、やはり人間の持つ根源的な喜びなのだろうと思います。
絵や、音楽や、スポーツや、料理(わたしは苦手ですが (^^;))……これらは、どんなに世の中が便利になったとしても、きっと100年後の未来でも、人々は自分の体を動かして、やっているに違いありません。


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写真は水彩色鉛筆で描いたもの。こういうふんわりしたところは、油性色鉛筆よりやり易いかもしれませんね~。
紙は一番安いマルマン。紙を変えたらタッチも変わるかな??

暑いですね~。先週は梅雨の戻りじゃないかとか言われていましたが、今日の暑さはまさに夏、到来!といったかんじです。やっぱり梅雨は明けていたのね。

夏になると、どうも頭が働かなくなりまして、更新がとどこおりがちになります。自分がそういうパターンになることに、去年気付きました。
で、今年もそうなるかも、という事前のご連絡をさせていただきます (^^;;;

ただ、去年のように、まったく1ヶ月まるまる休むということはしたくないなと。
今まで途中まで書いて放ったらかしにしておいたものを、少しずつでも仕上げてUPしていこうと思います。

したがって、日付は半年前とか、そういうものを書いていきます。
いきなり冬の話や、仕事始めの話になったとしても、驚かないでくださいませ(笑)
たぶんそういうのはないと思いますが……まあ、あるかもしれず。

暑い時期になってまいりました。夏バテに気をつけて、どうぞご自愛くださいませ。

今後とも『まぐタイム』をよろしくお願いします。

さくら 拝

一日中同じ席に座り、同じ仕事を続けていると、午後早くには、すっかり飽きてしまっています。
ちょこちょこ席を立って休憩をとりますが、効果なし。
帰る時間だけを楽しみに、死んだ魚のような目をして、だらだらキーボードをつついています。

仕事が一つでなく、いくつか種類があれば、ローテーションして楽しくできるのに。
……などということは、本当に忙しい人にとっては贅沢極まりない願いなのでしょうが。

こういう時は、眠気覚ましに、今晩の献立を考えることにしています。

冷蔵庫に何があったかな? それで何が作れるだろう?
合う料理は、辛いの? 酸っぱいの?

あれこれ頭を悩ましている時間が、とても楽しい。目もだんだん冴えてきます。

スーパーで安いのって、今の時期は何だろう。
どのお店を回ろうかな。最短ルートは……

料理は、昔は苦手だったのですが、今はそうでもなくなってきました。臨機応変に献立を考え、買い物をすることが、面白いと感じるようになってきたからでしょう。

仕事も、機械的にこなしているから、飽きてくるのだと思いました。自分でなにか判断する部分があれば、きっと面白くなるはず。

明日、やっている仕事をリストアップしてみよう、と思いました。定期的に頼まれる仕事はなにか。自分で先回りして作成できるものはあるか。新しい機能を使えれば便利になることはないか。
探してみよう。

さて、だいぶ眠気がとれました。
終了のチャイムまであとひとがんばりです。
今晩は、昨日のスープをリメイクしようかな。魚屋へも寄って、なにかいいのがあるか、のぞいてみることにしましょう。