花の舞い散る -大友家の興亡、宗麟の世-
「うわああ、きれいだねっ。」
母に手を引かれている、小さな子供が溜息をつくように目を輝かせて言った。
「そうね、きれいね。」
そんな子供を、親はまぶしそうに見つめている。
「ねーねー、どうしてこんなにきれいなのっ?」
「んー、そうね。」
ちょっと首をかしげて、
「ここに住んでた、お殿様が頑張ったからかな?」
「ふーん、そうなの?」
その答えに、子はきょとんとこっちを見つめ返す。
春の府内城址は、花の盛りを迎えていた。
堀の周囲をぐるりと囲んだそれは、風のたびに揺れては、ひらひらと花弁を舞い落す。
「ねーねー、じゃああれは?」
「お城よ。」
「おしろ?」
「そう。いまは建ってた跡だけ残ってるけど。綺麗だったらしいよ。住んでいたお殿様も、そういうのが好きな人だったし。」
「ふーん?そうなんだ。」
「じゃあね、じゃあね、そのひとってどんな人だったの?」
「それはね・・・」
