麦わら物語 その四

 
高校へはなんとか進学させてもらえた。
女子は2人しかいない府立の工業高校

少しずつ、学校をサボリ
夜な夜な家を空けるようになり
ツーリングクラブへ入部した。


CB400F

バイト代から月々支払うということで

先輩からフォアをおろしてもらった。

単車で走るのは好きだった。
だが、部員達とつるむことはあっても

腹割って話せる仲間にはなれなかった。


ここでも、ボクは部員たちの顔色を

常に気にしていた。
笑われないように 馬鹿にされないよう

舐められないように

自分のヘタレがばれないように
そして一人になるのが怖かったから

嫌われないように・・・・・


ある日、部員達とモッズのGIG行ったことが

あってんけど知らない田舎街の駅前で

何人かでロータリーをブンブン、アクセル吹かして

うるさく飛び回っているヤツらが数人いた。
『麦わら!言ってこいや!』

ボクはそいつらの前に両手を広げ飛び出した。
『待てこら!』

『その単車、ワシに貸してくれや!あーーーん!?』

ボクの後ろには誰もいなかった。チーーーーーン


でも

何人も相手に一人で向かって来るやつは

ただの無鉄砲な馬鹿かメチャメチャ強いキチガイか

(ボクはどっちでもないただの張ったり野郎)


ボクは当時流行り(?)の

ハイネックにニットのカーディガンにスラックス

チョッピンピンのエナメルの靴に

パンチパーマに老け顔

後者と勘違いしてくれたのか

相手がひるんでくれた。

『お前ら、ブンブンうるさいねん! よそでやれ!』

『もう行け!』

事なきを得た。

振り返ると他のヤツらは物影でニヤニヤ笑っていた。

コイツら

人を馬鹿にしやがって・・・・・

人を馬鹿にしやがって・・・・・


今、考えると当たり前にボクが引き寄せたこと

同じツーリングクラブにはいるけど

仲間やないねんから

一人が寂しいからつるんでるだけで

ボクが人のこと誰も信用してないねんから

裏切られて当然の結果やった。


ボクは工業高校を1年で退学し

別の普通科高校に通ってたので

高校3年(4年)の春には、他のヤツらは卒業し

地元を出て就職や進学で散りじりになり

自然と疎遠になっていった。


ボクはボクなりに考え進学しようと決めた。
だが、高3から勉強をはじめても

受験はそんなに甘くなかった。


それでも、1つ辛うじて引っかかた大学があった。
奨学金を借り、生活費も抑えられるよう

飯付きの学生寮に入り

夜は学費と生活費のため

四年間、佐川急便でバイトした。

学生寮でも同級生とは会話はあるものの

仲良くはなれず孤立していた。


大学1年目から講義にも段々とでなくなり行くのは

試験日だけになり終始バイトに明け暮れた。


2回生の終わり頃、好きになりかけた女の子がいた。

1度だけデートしたことがある

車で南港から別府行きのサンフラワーに乗って

神戸で降りる

その間、ディナーが出来るコース

女の子慣れしてないボクがない知恵を絞って

考えたコースだった。


でも、その女の子とは

それ1回デートしてもらったっきりで

告白も何もないまま終わってしまった。

出血すると血が止まらないと言われていた

「血友病」と言うヤツでした。

当時のことは、うろ覚えですが

学生寮の近所のスナックで飲み潰れたのを

何となく覚えています。


3回生の夏

週末、バイト先の数人と族狩りに行ったときのこと

中央環状線で車班と地上班に別れ

流してくる族を地上班がロケット花火で攻撃

怯んだところを車班が追い込んでリーダー格を

さらって逃走


集合場所で、相手の所持品検査

財布から代紋付の名刺が・・・・・Orz

ケツ持ちはわかるけど、族と一緒になって

遊んでんなよ・・・・・トホホ


カマスだけカマしあげてリリース


内心、ヤバイ・・・・・

ナンバー覚えられてなよねぇ・・・・・

顔覚えられてないよねぇ・・・・・

((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル


車を直ぐにバイト先の京都営業所の倉庫に隠し

半年、京都営業所に缶詰め状態(当然働きましたよ)

ほとぼりが覚めた頃、車を売却し

卒業まで原チャリ生活・・・・・


何かを見つけようと大阪に出てきた四年間
結局、何もみつけられず、流されるまま

OA機器の販売会社に就職した。

麦わら物語 その六


 

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