終わった
私立と国立と合格した。第一志望の国立に手続きを取った。私立を捨てての、後の無い受験だったから、はらはらしたけれど、何とかこれで春を迎えることができる。
ホッと した。この三年間、ひたすらにこの日の為に走り続けて来たから。もしも今年駄目だったら、もうここを引き払って、自分の家のある街に帰ろうと思った。浪人はどこでもできるのだから。
子供一人の遊学に送金するも、家賃を払って親も一緒に暮らすのも大して変わらないから、しばらくこの街にいてこのまま自分の仕事を続けようかと思った。少しでも自分の場所を持っていたい。
私の仕事はささやかな物だが、それでも人の生き死ににかかわっている。ささやかな場所であるがゆえに、頼ってくる人もいる。その人たちの為にいなくなるわけには行かないのだ。
もう少し、この場所にいなさいと、神様が場所を下さったのかもしれないな。
桜咲く
本当に花が咲いたような嬉しい気持ちだった。すぐ上の子を旅立たせた後、嬉しいことは無かった。心から笑うことも無かった。いつもこみ上げてくる悲しみを飲み込んで生きてきた。その心に淡いピンクの花が咲いた。ありがたかった。私にも慰めをいただいたと思った。人生は機微意志鋳物だと思って生きてきたから、ほんの少し心の痛みが薄れた。
悲しみの無い時間はもう私には無い。子供を失うということはそういう子t歩だと身にしみて思う。命は失われたその瞬間に存在の大きさを知らしめる。なぜ私ではなく、あの子が死なねばならなかったのか。私には答えを探すことはできない。ただあの子があたかもまだ生きているかのように、私は名を呼び続けている。
朝、あのことともに目覚め、私は今日一日、あのことともに生きようと思う。心の中にあふれてくる悲しい思いは飲み込む。模試、あの子が今生きていたら、私はどんなにか嬉しい明るい毎日だっただろうか。
それでも、妹の為に桜が咲いた。私もその花を喜ぼうと思う。