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読書感想文をのせていくブログ。感動した作品は一生懸命お勧めしていきます!

書名 おまえなんかに会いたくない
著者 乾ルカ
感想 (´д`)エエ工

 

 

 

題名の攻撃力が高すぎる。トラウマを持っている人は視界にいれることすらためらうだろう。

 

表紙はかわいい女子高生たちがキャッキャしているワンシーンの絵だが、なぜかみんな同じ顔だ。じわじわとくる薄気味悪さを感じる。

 

クラス内カースト最下層の空気読めない女子が立場違いの行動をしてクラスから総スカンを食らい、結局転校する。そして関係者の高校卒業から10年後、同窓会と合わせてタイムカプセルを掘り出すことになったが、当時いじめていた側のカースト上位だった面々が動揺する事態が発生する。

 

クラス内カーストね。あったあった。30年前もあったし、おそらくいまもあるのだろう。クラスで目立つヤツ、地味なヤツ、その他普通の人々。そして空気が読めず、うっとおしがられるヤツ…。
 

本書は、いじめられてた子の復讐心を軸に各関係者の後悔や怒り、恐怖心がうまく表現されている。最初はどのような方向に話が進むのかわからなかったが、同窓会に開封する予定のタイムカプセルをきっかけにして、登場人物が過去に何をしていたかが描写されていき、登場人物の内面や関係性が把握できると、物語に引き込まれていく。

 

いじめ被害者の女子が、ある意味とてもうまく描写されていて、たしかにこれではクラスで浮いてしまうと納得する。いじめに至る経緯も加害者側の内面が丁寧に表現されている。高校生ならこのような反応をしても不思議じゃない。

 

タイムカプセルが一種の時限爆弾になっており、同窓会が近づくにつれて大人になった加害者たちが当時を思い出して苦悩するあたりは、見事に感情移入させられた。

 

いじめをした人。いじめを傍観したひと。それぞれの立場があるが、もし自分が同じ立場に立ったら、正直同じような行動をしてしまうだろう。それだけクラスカーストの強制力は強かったように思う。クラスという集団内の同調圧力のなせる業だろうか。あの雰囲気からはみ出すのはかなり勇気がいる。クラス以外の社会を知らない少年少女ならなおさらだ。

 

しかし本書を読んでいて思ったのは、いじめ加害者側の気持ちが不思議と理解できたことだ。共感できてしまったともいえる。いじめはもちろん卑怯で、あってほしくない出来事だが、人々の自然な感情が集まり、後で考えてみるといつの間にかいじめのようになっていた、というケースが多いのではないか。

 

「いじめた側は覚えていないが、いじめられた側は一生忘れない」

 

最近はよくニュースでも耳にするセクハラ、パワハラも本質的には同じだ。加害者側には何か特別なことをしている認識がない。慎重な言動が必要だと思い知らされる。

 

ちなみに最後のオチは、さすがに理解できない。あれで何か解決したのか?被害者、加害者、傍観者のだれもスッキリしていないと思うのだが。そのため、評価は(´д`)エエ工 となった。

 

最後の直前までは、盛り上がっていたのに、惜しい。