むぎめんplus〔  〕×福岡女学院 金沢ゼミ -10ページ目

むぎめんplus〔  〕×福岡女学院 金沢ゼミ

「麺」をテーマにした小説・エッセイ集

by:くーちゃん

 

 

本文 

ある日、母が久しぶりに作ってくれたお弁当を開けると、焼きそばパンが入っていた。小学生の頃、私がバレーボールの練習にいく時によく母が作ってくれていたもので、私の大好物だ。それは一口で食べることができるミニサイズで、小麦粉+小麦粉という最強の組み合わせ。まだ食べてもいないのに、焼きそばパンを見ただけで、幸せを感じた。ニヤニヤが止まらず、一口食べた時、その美味しさに改めて感動した。

よく見ると、パンの中には焼きそばだけでなく、あっさりとしたキャベツのサラダが入っている。母は食べやすさだけではなく、栄養面も考えて私が好きな味に作ってくれていたのだ。

 

「今日も頑張ってね」

 

母の言葉が聞こえるようだ。嬉しいことがあった時。うまくいかなくて悔し涙を流した時。母に八つ当たりをした時。母はどんな時でも私に寄り添ってくれた。母の愛情と温かな想いがたっぷり込められた焼きそばパンに、私はいつも勇気付けられている。

 

ふいに、あの頃母が言ってくれた言葉を思い出した。

 

「自分の“感”を信じなさい」

 

私は周りのことばかり気にしすぎて、自分に自信を持てず、周りに流されてばかりの子どもだった。自分は間違っているのかもしれないという不安と恐怖心を感じていたのだ。

 

「自分がやってみたいと思っていることをやってみなさい。直感に従って心のままに生きていきなさい」

 

その言葉を聞くと、私の張りつめていた心の糸はゆるみ、自然と涙が流れた。すると母は、私を抱きしめて言ってくれた。

 

「大丈夫、大丈夫。」

 

母の「大丈夫」というその一言だけで、私はなんだかこれから上手くいきそうだと思えた。

 

また母は、こんなことも言っていた。

 

「人生では様々な困難があるけれども、それは必ず乗り越えられる困難であり、乗り越えることができない困難なんて神様は与えない。一度立ち止まり周りを見渡すことによって、乗り越えるヒントがみえてくるから、何も心配せずに前に進みなさい」

 

そんな母の言葉は私の心の支えとなった。そして人は、いろいろな経験を通して、強くたくましくなっていくのだと学んだのだ。

 

そうして私は、大人になった。母はシングルマザーで、私たち子供3人をひとりで育ててくれた。私たちがやりたいことを存分にできるように支えてくれ、応援してくれた。毎年のように誰かしら反抗期になり、毎日が怒涛の日々だったはず。そんなわがままで身勝手な私たちをここまで育ててくれた母に心から感謝の気持ちでいっぱいだ。

 

だから次は、私が母を応援する番だ。母は今、自分が好きな仕事を見つけ、輝いている。そんな母を応援する気持ちを込めて、焼きそばパンを母に作ってあげよう。

 

「お母さんは、お母さんの人生があるから、これからは自分の人生を歩いてね。私もお母さんを応援しています。」

 

 

作者の言葉 

このエッセイを書くとき、読んでくださる方に何を伝えようか、またエッセイを書くことが初めての試みで、自分に出来るのだろうかと悩みなかなか筆が進みませんでした。

しかし、この機会に自分について何か書いてみようと決め、これまでどう生きてきたかを振り返りました。

自分が忘れてはならないと心に秘めている言葉をここに書き記すことで、自分自身のためにも、また誰かの救いにもなればいいなと願っています。