イタリア文庫通りには、すてきな宝箱がある。
山女さんと岩魚さん
「イランかトルコから来たみたい。わたしたちが、モスクワで東京行きの便に乗り込んだとき、すでに乗ってたの」
おかかおにぎり
「宝箱さんは、どこから来たか話してくれないんですか」
山女さんと岩魚さん
「宝箱は、話好きで、いろんなお話をしてくれるけど、どこまで本当かわからないんだもの。千一夜物語の世界から来たみたい」
宝箱
「私の話すことは、いつも本当だよ。2人と会ったちっぽけな飛行機は、実によく揺れた。あんなに揺れたのは、魔法のじゅうたんに乗ったとき以来」
山女さんと岩魚さん
「ほら、また作り話」
宝箱には、幸運が詰まっている。
ヴェネツィアン・グラスに、ヴァチカンから来たマリア様の絵姿、
青い目玉のトルコのお守りナザール・ボンジュー。
こうすると、おしゃれなベレー帽みたい。
葉っぱを頭にのせて、変身するところみたい。
宝箱では、失われたものを見つけ出すこともできる。
船乗りクマのドーナツが、なくしものを書きつけた帳面を持ってやってきた。
ドーナツ
「今日は、宝箱の中に、だれかのなくしものが見つかるかしらん」
今日の探し物リストは、
久しぶりに会うお友達が送ってくれたパーティーの招待状
大好きな人が贈ってくれたネックレス
絶対にあるはずなのに、どこを探しても見つからないお気に入りのDVD
「なくしものが多いなあ。そんなに大切なものなら、なくさないように大事にしまっておけばいいのに」
おかかおにぎり
「宝箱で、どうやって、なくしものを見つけられるんですか」
山女さんと岩魚さん
「毎朝、宝箱を開けると、幸運のほかに、だれかがなくした、失われたものが入っているの」
ドーナツ
「だから、こうやって、担当のクマが帳面を持って、照合に来るんだ」
おかかおにぎりと、山女さんと、岩魚さんと、宝箱と、ドーナツの物語は、また次に続く。







