むぎめ va


「おーーーい。夕張メロンの夕ちゃん、久しぶり」


ととろいすが、向きを変えようとすると、大きな波で、かご船はぐらぐら。


船乗りクマのドーナツ、シンスケ、エド

「僕たちが回りこむから、動かないでー」


うまく回り込んで、正面に来たはずなのに、おや、ととろいすの顔が見えない。


夕張メロンの夕ちゃん

「その、青緑とオレンジの覆いは、いつもの日よけですね。

おかかおにぎりさん、音楽ウサギさん、船乗りクマのドーナツさん、シンスケさん、エドさんを紹介しますので、ちょっと顔を見せてくださーーい」


ととろいす

「冬なのに日差しが強くて、いつもの日よけをかぶってたら、いつのまにか、上に何か飛んできて、のけられないんだ。

腰にも何かひっかかっているみたいで、ごろごろするし」



音楽ウサギ

「大きなタオルだなあ。巨人の洗濯物みたい。魔法の音楽で吹き飛ばしましょう」

おかかおにぎり

「お手伝いします」

船乗りクマのドーナツ、シンスケ、エド

「僕たちは、ごろごろを調べてみます」


むぎめ va

音楽ウサギと、おかかおにぎりは、夕張メロンに押し上げてもらって、ととろいすによじ登った。

おかかおにぎりは、白い布にくるまって巻き取りながら、ころころと、ととろいすを転がり落ちる。


むぎめ va

音楽ウサギたちが魔法の笛とグロッケンシュピールを奏でると、残りの白い
布も、ふうっと、風に乗って飛んで行った。


むぎめ va


船乗りクマたちは、ととろいすの腰にひっかかったごろごろの正体をつきとめた。


むぎめ va

船乗りクマのドーナツ、シンスケ、エド

「手紙を運ぶ途中でひっかかってしまったラムネの通信便でした。南へ行く海流に乗せて送り出してやりましたよ」

「ラムネが、お礼にラムネのビー玉をくれて。とうとう、僕たちも、ビー玉を手に入れたね」

「船乗りクマの船には、ビー玉が必要だからね」


3匹は、うれしそうに顔をみあわせた。


ととろいす

「ふうん。船乗りクマにとってビー玉は大事だというけど。よかった、よかった。皆、ありがとう。よかったら、お礼にクリスマスランドまで送るよ」


むぎめ va

ととろいすが、一行を頭に載せて、ぐっと波をかきわけると、周りの景色が万華鏡をのぞいているようにくるくると入れ替わって通り過ぎた。


むぎめ va

頭の上は、風がびゅんびゅん吹き寄せて、ちょっと寒い。

ととろいすの温かなおなかの上に寝そべって、青い空を見上げながら、ちょっとうとうとした。


むぎめ va

クリスマスランドまでの旅は、あっという間だった。


むぎめ va

平らな真四角の台地の1番奥に、きらきらと輝くクリスマスツリーが立っている。


むぎめ va

小樽から来た音楽時計の前で、早速、クリスマスの音楽会。


むぎめ va

2人は、札幌から来た、さっちゃんと雪ちゃん。


おかかおにぎり

「はじめまして。クリスマスに、雪の上に舞い降りた妖精みたい」



むぎめ va

途中で会った実習船の船乗りクマたちも、お客様を載せて到着した。


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空は真っ青。風は穏やか。船着き場を出ると、かご船は、波の上を滑るように進んだ。


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向こうから、にぎやかなかご船が近づいてきた。船乗りクマたちが、ぎっしりと乗り込んでいる。

舵を操ったり、風や波を調べたり、かごの網目をのぞきこんだり、きびきびと動き回っている。


ドーナツ、シンスケ、エド

「12月からクリスマスまでの間の今の時期は、クリスマスランドまで航海するクマが多いんだよ」

「船乗りクマは、黄色い大海を始終渡っていて、海を越えたところには、短期間の入居もできるアパートや温泉もあるんだ」

「クリスマスランドは、航海実習にもちょうどいい距離なんだ。あの船は、実習船みたいだね」

「おーーーい。こちらは、ドーナツとシンスケとエド。おかかおにぎりと音楽ウサギも一緒だよ」


実習船の船乗りクマたち

「おーーーい。こちらは、ただいま実習中です」

「いい航海になりますように」

「私たちも、早く独立して、2、3匹でかご船に乗れるようになりたいです」


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実習船のクマたちが遠ざかったと思うと、踊りだしたくなるような音楽がどこかから聞こえてきた。

音楽ウサギたちも、即興演奏で仲間入り。3匹の船乗りクマたちも拍子をとる。


音楽に乗って表れたのは、3階建ての東京メトロ。


おかかおにぎり

「行先は。えーと、中目黒に池袋…?」


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シンスケ、エド

「こうして、ときどき、地下鉄と滑る海がつながるんだ」

「つながる時には、いつも、踊りたくなるような音楽が聞こえるんだけど」


ドーナツは、えへん、とせきばらいをして、重々しく解説した。

「何かの作用で、空間が交差するんだね」


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おかかおにぎり

「ふうん。メトロさんも、いい旅になるといいですね」


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お次は、トラック。荷台に輪ゴムをいっぱい積んでいる。


ドーナツ、シンスケ、エド

「輪ゴムは、海のこちら側の特産品だから、たっぷり収穫して、あちら側に運ぶんだ」


おかかおにぎりは、目をまるくした。海は、思ったよりも、往来が激しい。


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「おーーーーい。」

今度はだれだろう。振り向くと、メロンが海に浮かんでいた。


「夕張メロンの夕ちゃんです。はじめまして。みなさんが通るのを見て、そこの棚から降りてきました」


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「はじめまして」「はじめまして」

夕ちゃんとおかかおにぎりは、顔をみあわせて、にっこり。


夕張メロンの夕ちゃん

「みなさんのうわさを、棚づたいに聞いたんです。黄色い大海を越えて、ジブラルタル海峡も通り抜けるって」


「そこには、釜めしのぬいぐるみが住んでいるって聞いたことがあります。食べ物サミットをやりたいってずっと思ってました。釜めしさんに会ったら、ぜひ、伝えていただきたいんです」


音楽ウサギ

「そういえば、去年のサミットは北海道の洞爺湖だったよね」

「夕ちゃんも北海道の夕張出身だから、サミットがしたいんだね」

音楽ウサギたちは、もっともらしくうなずきあった。


ドーナツ、シンスケ、エド

「知ったかぶりしないで」


おかかおにぎり

「夕ちゃんは北海道の夕張からいらっしゃったんですね」


夕張メロンの夕ちゃん

「はい。もう、10年以上前の夏です。あれからあちこち引っ越して、九州の宮崎は暑かったです」


むぎめ va border=


おかかおにぎり「釜めしさんに会ったら、忘れないで伝えます」

夕ちゃんとおかかおにぎりは、また、目をあわせてにっこり。夕ちゃんのカメラで記念撮影もした。

そのとき、音楽ウサギが「あれっ」と大声をあげた。


音楽ウサギ

「さっきから、視界がねずみ色だから霧かな、と思っていたら、ねずみ色の大きな山だ」

「島だよ」

「もこもこしてる」


むぎめ va border=


夕張メロンの夕ちゃん

「今日は、この海域にいたんですね。気だてがよくて力持ちなんです。紹介しますね」


夕ちゃんは、大声で呼びかけた。

「おーーーい。ととろいすーー」

ペタしてね




むぎめ va-不思議な鍵




ドーナツ


「今日は、これで全部かな」


おかかおにぎり


「あれ、まだ何かあるみたい」




おかかおにぎりが背伸びしてのぞきこむと、宝箱の底に、見慣れない鍵があった。


山女さんも岩魚さんも見たことがない。


なくしもの担当の船乗りクマのドーナツの帳面にも載っていない。




隣の棚のSHINHWA小路の1段上の「カピトリーノの丘みたいなところ」のローマ建国の牝オオカミなら、わかるはず。伝説のオオカミは、いろいろなことを知っているからね。




むぎめ va-カピトリーノの丘みたいなところ




「カピトリーノの丘みたいなところ」のオオカミは、久しぶりのお客さんを大歓迎。




オオカミ


「ふらっと気がむくか、わからないことがないと、みんな、ここまで登ってきてくれないからね。ほんとによく来てくれました」


おかかおにぎり


「オオカミさんは、どこからいらしたんですか」


オオカミ


「イタリアのローマから。


ローマを建国した双子のロムルスとレムスは、幼いとき捨てられたけれど、お乳をあげて、パラティーノの丘で養っていたのが、伝説の牝オオカミ。


ローマには7つの丘があって、牝オオカミと双子のブロンズ彫刻は、今、カピトリーノの丘のカピトリーニ美術館に展示されているの。


ローマの土産物屋には、私の仲間がたくさんいました」


おかかおにぎり


「わあ。想像すると楽しくなります」


オオカミ


「さて、鍵のことをききにきたのね。


この鍵は、あるべきところから失われているので、あるべき場所に届けてあげましょう。


見つけたあなたが届けるとよさそうね」


おかかおにぎり


「そこは、どこですか」


オオカミ


「滑る海を越えて、黄色い大海を越えて、クマ海峡を抜けて、ジブラルタル海峡を通り抜けたところに、香りの宮があります。そこが、その場所。船乗りクマが助けてくれますよ」




むぎめ va-ロズウェルランド




ドーナツ


「航海なら、船乗りクマにまかせて! ロズウェルランドで、かご船と、歴戦の船乗りクマを紹介するよ」




「カピトリーノの丘みたいなところ」から3段下のロズウェルランドでは、船乗りクマたちが、かご船の手入れに余念がない。




おかかおにぎり


「あれ、船じゃなくて飛行機に乗ったかたがいますよ」


ノエル


「ただ1匹の飛行機乗りクマ、ノエルです。はじめまして」


おかかおにぎり


「空を飛ぶのって気持ちよさそうですね」


ノエル


「飛行記録を伸ばそうと頑張って挑戦してます。年末には、クリスマスランドまで飛べるといいのですけど」


おかかおにぎり


「クリスマスランドって何ですか」


ドーナツ


「12月になると、25日までのクリスマスまでの間だけ現れるんだ。


黄色い大海の中にあるから、航海の途中で立ち寄れるよ」


おかかおにぎり


「目的地は、それよりも、まだ遠いんですね」




むぎめ va-伝説の船乗りクマ




ドーナツ


「初めて海を渡った、伝説の船乗りクマを紹介するよ。


みなさん、ぜひ、おかかおにぎりを助けて、一緒に航海してください」




伝説の船乗りクマのサスケ、リンゴ、ツバサ


「冒険には、縁と出会いがあるんだ。この冒険は、ドーナツの冒険だよ」


「うん、私たちの冒険は、まだ別のところにありそう」


「ドーナツ、君と、君の船仲間のシンスケとエドならできるよ」



むぎめ va-ロズウェル文庫と詩の通り




ドーナツは、おかかおにぎりと一緒に冒険に出る決心をした。


空いたかご船は、1段上の「失われた時の通り」の双子のぺこちゃんが管理している。




双子のぺこちゃん


「大きいかご船なら、ちょうど2艘、空きがあるよ」



むぎめ va-ロズウェル文庫と詩の通り




音楽ウサギのタミーノとパパゲーノも、一緒に航海に出ることにした。




音楽ウサギ


「だって、初めにおかかおにぎりと会ったのは、わたしたちなのに、ほっとけないよ」


「オペラの『魔笛』みたいに、魔法の笛と、魔法のグロッケンシュピールが役に立つかもしれないしね」




おかかおにぎり


「わあ。本当に心強いです。ありがとうございます」




音楽ウサギ


「だけど、航海の間、SHINHWA小路を、住人なしで空けておくわけにいかないよ」


「佐賀から一緒に来た、卑弥呼姫と、吉野ヶ里の君に留守を頼もう」




イタリア文庫通りの1段下の「ロズウェル文庫と詩の通りに、ウサギを抱いた卑弥呼姫と、吉野ヶ里の君を訪ねた。




卑弥呼姫と吉野ヶ里の君


「私たちも、音楽ウサギさんと同じく佐賀出身。吉野ヶ里遺跡前の売店から来たんです」


「私たちがSHINHWA小路の留守番に行っても、ここの留守は、やっぱり佐賀から来たムツゴロウキティさんが守ってくれるから大丈夫です」




むぎめ va-ローマ人の物語の通り




船乗りクマのドーナツが一緒にかご船を操る仲間は、シンスケとエドだ。


ドーナツとシンスケとエドは、「ロズウェル文庫と詩の通り」の1段下の「ローマ人の物語の通り」に、のごみ人形土鈴の月ウサギと辰と一緒に住んでいる。




月ウサギと辰


「わたしたちも、佐賀生まれ。佐賀県鹿島市の能古見の郷土玩具なんだって」


「仲間の黒ウサギが、長いこと行方不明なので、旅の途中で消息がわかったら、教えてくださいね」




シンスケとエド


「僕たちも、大航海に旅立つときがやってきた」


「腕が鳴るね」



むぎめ va-船出




おかかおにぎりと、音楽ウサギと、3匹の船乗りクマのドーナツ、シンスケ、エドは、ロズウェルランドから船出した。




この先の物語は、また先に続く。