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1台湾ドル(NT$)=約3.5円
2006/8/8
台東
花蓮を朝出て、3時間で台東に着いた。
台湾は、大きさ的には、九州くらいで、北から南までは列車で5時間くらいで行ける。
なので香港で、私が台湾に10日間くらいいるって言ったら、「そんなに台湾で何するの?」ってみんなに驚かれたのも無理はない。
夜ご飯には、魚が食べられてご機嫌の私。
ヤーニスも肉を一杯食べてご機嫌。
特にやることもないので、コンビニでビールを買い込み、夜の運動公園のようなところへ行った。
若者達がスケボーの練習をしてたり、老人達が太極拳をやってたりする。その様子を眺めながら、次々にビールをあける。
「うーん、お金がたまったらこんどはモンゴルとか西アジア・・・ノラを訪ねてノルウェーとか・・・」
「僕の国とか?」
「もちろん。」
「やったー!」
ってかんじで、この夜は香港で出会ったときのように、もうすぐ満月の月の下で楽しいプチ宴。
「僕の国では若いことはコンプレックスなんだ。
お金もないし、何の力もキャリアもない。」
って言う彼に
「若いときなんかすぐだよ。今を楽しめばいいじゃない。」って言ったら、すごく笑った。
「そっか。君はそういう風に生きてきたんだね。」
どーいう意味だ。
ヤーニスは最後の台北まで一緒に行くつもりらしいけど、実は私はここか次の街で別れようと思っているので、気持ち仲直り(別にケンカしてるわけじゃないけど)できてよかった。
↑
しょぼん顔のマネキン
部屋にはTVがついている。
日本のアニメはほとんどやってて、CMまで日本語のがあったり、「北の国から」や「ミュージックステーション」がそのまま放映されてたり。
あるチャンネルでは日本の演歌番組やってて、殿様キングスが「なみだの操」歌ってた!(子供の頃だよ!いつのVTR?)
するとヤーニスがその歌唱スタイルに爆笑し、「これは歌ってる人とバックの人は同じギャラなのか?」って聞いてきた!
きゃはははは!
ラトビア人と台湾の宿で殿様キングスについて語ろうとは。
だから旅はおもしろい。
幸せになれない体質の女
東アジア周辺に勃発してる台風が3つも台湾に接近中。
しかもその一つがいまいる台東に上陸中で、最後まで嵐を呼ぶ女。
↑イメージです
起きるとものすごい暴風雨!
ヤーニスが今日行くのは、「屏東」ていうところ。
上海で知り合った台湾人の男の子を訪ねるのだそう。
昨日、一緒にネットカフェに行ったとき、その彼からのメールを見たら、私も一緒に泊っていいとは書いてあったが、やっぱり気が引ける。
じゃーここで別れよう。
いつまでも一緒にいられるわけじゃなし。
遅いか早いかだけの話だ。
1人ではじめた旅だから、ここまできたら1人で終わらせたい。
やっぱり、私は一人で切符を買って、迷うなら一人で迷って、一人で列車に乗りたいのだ。
そりゃー、2人のほうがいいと思うが
私たちは「その2人」ではない。
雨音に気づき、「おはよー・・・」って起きたヤーニスに言った。
「私は一緒には行かない。今日はここに泊って明日別のところに行くよ。」
「ええ?一緒に行こうよ!遠慮してるの?大丈夫だよ。」
私もなんか後に引けなくなって、「ここで別れよう。」って有無を言わせずハグをした。
「・・・それは君の自由だけど。
わかった。でも朝ごはんは最後に一緒に食べよう。」
ごはんの時、いつも肉を食べる彼が、「たまには魚を食べるよ。」って、私に合わせて魚を必死で食べてた。
食べた後、なんか長~い沈黙があって、何か言いたいのだが言えなくて、「…行こうか。」ってどちらからともなく席を立った。
最後に私は、5円玉をあげた。
「この5円は"ご縁"って言ってね・・・」
「縁」をなかなか英語で説明できなかったが、なんとなくわかったようだ。
「ここに結んで。」って言うので、彼がいつも手首にしてるお守りのミサンガにくくりつけた。
彼はしばらくじっとそれを見つめてた。
最後に気まずいかんじの思いを残してしまったが、私はそれでよかったと思う。
何度も手を振りながらバスに乗り込む彼の後姿を見ながら
何ていうか
「ふがいなさ」というか
「小心さ」というか
「性(サガ)」というか
「自信のなさ」というか
「業(ごう)」というか
そういう、自分の中のぐちゃぐちゃしたものに腹が立って、涙が出そうになり、バスが出るまで見送らず、振り返らず去った。
楽しくなるはずの思い出を、自分で壊してしまう。
たぶん、幸せにはなれない女なんだとつくづく思う。
とはいえ、「彼のことを好きになったのか」と聞かれたら、それはまた違うんだな。
ただ、さっきまであった、確かに頼れるものとか、お互いの食べ残しを食べられるまで仲良くなったのにもういない、とか、転びそうになったら笑いなが ら支えてくれるものとか、せきをしてたら「大丈夫?」って聞いてくれる人とかが突然なくなって、はしごをはずされた気分なのだ。(←はずしたのは自分自身なのにね)
旅の最後の最後に気づかされたのは
「やっぱり”ひとり体質”なんだな、私。」
ってこと。
いつからなんだろう、こんな自分。
大の父親っ子だった私なのに、ある日突然、父がこの世を去り、目の前からいなくなってからだろうか。
失うのが怖いから、手に入れたくない。