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※グアテマラ-メキシコ国境(グアテマラ側)
1ケツァール=約15円(当時)
2005/4/5
トマスには気をつけろ
さて、前々記事で書いた、文野夫妻から聞いたおもろい話のことを言おう。
文野夫妻が、メキシコからミニバスでグアテマラにやってきたときのこと。
メキシコ出国に関しては何の問題もなかったのだが、グアテマラ側に入り、ガイドが入れ替わったときにその事件はおきた。
そのガイドは、「トマス」という名前だが、グアテマラ入国の際、一人5ドルを入国管理官に払うよう全員にアナウンスしたそうだ。
夫妻から聞いたのだが、グアテマラは入出国時、いっさいお金は要らないそうだ。
(なので入国時の私のことはとても言えませんでした…)
もし、要求されたらそれはワイロであり、ガイドにもいくばくかのキックバックが入るのであろう。
それも多分人をみて要求するのではないか、と言う。
文野夫妻は、それを断固拒否!
すると、トマスはキ~ッてきれてしまい、すごかったそうである。
「このバスから降りろ!」といわれたらしく、同じく拒否したポーランド人の男の子は「こんなバス乗ってられるか!」と、ほんとに降りて行ったそうだ。
なので、「トマスには気をつけて!」「絶対、払っちゃダメですよ。」って念を押された。
う、うん。頑張ります!
プレッシャーの陸路国境越え。
文野夫妻と約束したものの、脅されてくじけて払ってしまったら、なんと報告メールすればよいのだ、とプレッシャーを感じながら、バスに揺られる。
ほどなく、イミグレに着いた。
いよいよだ。
やはり、ガイドは
「一人5ドル払ってくださ~い。」
とか言ってきた!!!
この人、やっぱりトマスなのかなあ。
確認するのもコワい。
グアテマラのイミグレは、まさにほったて小屋ってかんじで、スーパーマリオみたいなおっさんがひとりカウンターに座っていた。
思うのだが、イミグレで先頭に並ぶと最初にやられやすそうだし、最後に並ぶと周りに人がいなくなるから好きに言われそうなので、真ん中辺りに並ぶ。
見ると、なんとあの疑問形カップルは、笑って5ドル払ってた!
いや、そこに疑問を持て!
それをあたりまえのように受け取る入国管理官。
当然、公的な金じゃないからレシートもよこさない。
ていうか、よこせない。
文野夫妻が言うには、もし払ってしまったら、レシートを要求するべきと言ってた。
前に並んでいたドイツ人家族も、偶然、文野夫妻に出会っていて、この件を聞いていたので、絶対払わない作戦!!!
いよいよ、私の番だ。どきどきする。
パスポートを出して、両手をカウンターについて、払う気ありません(財布出してない)アピール。
なんやかんや書いてるマリオの目をずっと見ていたら、一度目が合って、マリオはなんとそれをそらした!
うしろめたいのか。
私はこのドイツ人家族に続き、何事もなく、要求されることもなく、パスポートを返してもらった。
安心して、近くにいた女の子と遊ぶ。
折り鶴を折ってあげてたら(芸無し…)、周りにいた外国人ツーリストたちが集まってきて、最後の羽を開くところでは、「OH~!」って喝采が起きており、私の写真を撮ってる外国人もいた。
女の子も「グラシアス(ありがとう)…」って笑ってくれた。
…よお~し!やっぱり折り紙だ、折り紙!
次ネットカフェ行ったら、折り紙のサイトをダウンロードしよう!
みなさんも、グアテマラを旅する際、国境ミニバスのガイドの名前が「トマス」だったら気をつけましょう。
ていうか、払わなくていいんだったら。
チェ・ゲバラの映画「モーターサイクルダイアリーズ」の中のワンシーンを思い出す。
ある夜、土地を追われて仕事を求めて移動するインディヘナ夫婦に出会ったゲバラが、その夫婦とキャンプを張ったとき。
夫婦が「あなたたちも仕事を探しているのか。」と聞く。
ゲバラは「…いや、旅行だ。」と言う。
夫婦は顔を見合わせ、「…旅行。…良い旅を…。」とつぶやく。
「この旅で一番つらい夜だった。」と、ゲバラは思う。
バスの窓から見える朝の屋台を出す男たち、ボートから見た川で洗濯をしてる女性たち。
彼らは一生、そこで暮らして行く。
世界一周とか、夢の話に違いない。
私もアンティグアのスペイン語学校で担当だった先生に、世界一周をしてるなんて絶対言えなかった。
「勉強が終わったら日本へ帰る。」と言ってた。
コンビニで数カ月バイトしたくらいで誰でも海外旅行が気軽にできる国、日本。
経済格差を利用して、安い旅をしている以上、10円、20円くらいなら払うか、と思うが、それが高額だったり、権力を利用してたりして人として許せなかったりすると、やっぱり払いたくない。
泥棒にしても強盗にしても、よく「旅行者にスキがあるから」とか言うが、やっぱりどう考えても「人のものを盗むほうが悪い。」と思う。
今回のぼったくりの件にしても同じである。
貧乏だから何をしてもいいというのか?
キリストだってアラーだって、どの神も「人のものを盗んでいい」とは言ってないぞ。
再メキシコ
グアテマラの出国手続きを終えて、バンで少し走ったら、荷物を全部持って降りるようにいわれる。「ランチャ」と呼ばれるボートに乗り換えるのだ。
「フローレス編」にも地図を描いたとおり、湖に囲まれているのでここを船で超える。
ボートには20分くらい乗ってたかな。
岸に着いたら、こんどはメキシコ側のバンが待ってて、ガイドも変わっていた。
少し走ったらすぐにメキシコ側のイミグレに着いて(グアテマラ側よりえらく立派だった。)、ツーリストカードを持ったままだった私は、すぐに手続きが終わり(ハンコ押すだけ)、一度入国時に払っているので入国税18ドル(これは国で決まってる)ももう払わなくていい。
「やっとメキシコだよ~。帰ってきたよ~。」ってすごくなんかウキウキして、青い空を見あげた。
なんか、いいことがありそうな、何もかもうまくいきそうな、そんな気分だった。