米国・小売り最大手、ウォルマートが新本社を建設しているようですが、その規模が大きすぎて本社というより「街」を作っているという話にはいろいろな印象を抱きました。

 

ウォルマートの本社といえば、倉庫のような、小さな本社をアーカンソー州ベントンビルにあった小さな旧本社が有名でした。

「本社は大きくしない」ことを創業者のサム・ウォルトンは徹底していて、数兆円企業になっても本社にはお金をかけず小さいままでした。

なぜなら本社は稼がないから。

 

そのウォルマートが2025年末に完成予定という新本社(米国では新キャンパスと呼ぶ)はなんと総面積130ヘクタール。

東京ドーム28個分。

もう小さな本社ではありません。

超巨大な本社。

だから「街」と表現されているのです。

 

(写真 ダイヤモンド・チェーンストアより)

 

ここにはオフィスビル、従業員駐車場、ホテル、商業施設、仕入れ先との商談スペース、レクリエーション施設などが入るようです。

プールやテニスコート、ジムなどもできるようで、先にこのレクリエーション施設がオープンしているというのもイマドキな感じがします。

 

「仕事に集中できるようにするために大きなレクリエーション施設を作った」そうで、屋内テニスコートだけで5面あると言いますから、ひとつひとつの施設が超巨大であることがわかります。

 

これからは流通業であっても、働く従業員にとって、働きやすい環境にしなければならなくなってきたということでしょうか。

 

時代と共に本社の役割、働く環境の整備というものが変わるのだということかもしれません。

 

 

そしてもう一つのポイントは、周辺の都市で働く従業員にも、アーカンソーの新本社に異動するように求めているという話です。

その目的は「生産性の向上」。

 

この新本社に本社従業員を全米から集めて働いてもらうことで、会社の効率を上げていきたいという狙いです。

 

これは創業以来、同社が大切にしてきている考え方の延長にあります。

同社の株主総会は毎年、社員やお客さん、株主を大きなホールに集めてパーティーのような総会をやっていたことで有名でした。

 

会議も常にリアルで、全米から社員を集めて数千人規模の会議をやっていたり、数万人規模の社内イベントを企画したりしてきました。

 

リアル重視 の会社がウォルマートの真髄なのです。

対面でないと従業員の力は発揮されないと信じています。

デジタル化を進める一方で、社員には出社しての仕事を勧めていく。

そのための新本社でもあると言います。

 

なるほど。

本社を大きくしたいのではなく、社員をリアルに集めて仕事をしてもらう場を作ったということであれば、ウォルマートが超巨大な本社をつくった意味がわかります。

 

 

やはり同社は何が経営にとって大切なのかという創業者、サム・ウォルトンのDNAを確実に受け継いでいるようです。

創業家一族がこの新本社建設に2億ドル以上を寄付したというのもうなづけます。

 

いかに働きやすさを追求し、生産性を上げられるか。

これから各企業のさまざまな取り組みが見られる時代になりそうです。

この新本社ができたら私は見に行きたいと思います。

 

今日も新本社でいけるいける!!5千人