渋谷のスクランブル交差点にSHIBUYA TSUTAYAはあります。
昨日も渋谷スクランブルスクエアはたくさんの人たちが行きかい、そこで写真を撮ったり、ポーズを決めて動画を撮ったり、一大観光スポットとして世界でも有名な場所になっています。
その一等地、渋谷駅から道をはさんで反対側のもっともいい立地にSHIBUYA TSUTAYAはあります。
世界でももっとも集客しやすい立地。
もっとも目立つ立地。
ここ以上の立地はなかなかないだろうという立地。
小売店の商売では、立地こそ一番重要なファクター。
その一番の立地にあるSHIBUYA TSUTAYAが4月25日にリニューアルオープンしました。
テーマは「好きなもので、世界をつくる」です。
新しい体験ができる場所として全館完全リニューアル。
レコードやCD、DVD、書籍などを販売していたツタヤはそこにはなく、IP(知的財産権)を紹介したり交流したり、販売したりする場所に変わっていました。
一等立地にある1Fすべてを使っていたのは、IP紹介の場。
IPとは、Intellectual Propertyのこと。
知的財産のあるものすべてが対象です。
知的財産とは、独創性、新規性、創造性ある思想や創作物、発明や技術、デザイン、ノウハウなど、人が生み出したものすべてを指します。
そのようなIPが日本にはたくさんあります。
秋葉原はその先駆者的な街でしたが、これからは渋谷をそのような街にしていこう
という思いを感じます。渋谷から最先端のIPを世界に紹介していこうというコンセプトでまとめられています。
1Fに足を踏み入れていきなり驚きました。
(写真 SHIBUYA TSUTAYA1F、B2Fで展開中のPOP UP)
日本のアイドルのライブ映像が流れているスペースでした。
この方たち知っていますか?
私はしばらく見ていましたがまったく分かりませんでした。
下のスペースに行ってわかりました。
日向坂46というアイドルグループでした。
彼女たちの着ていたと思われる制服が展示され、そのまわりにある大型画面でライブ映像が流れています。
天井からは一人一人のポスターが展示されていて、そのポスターや映像を、たくさんの人たちが写真や動画に納めています。
私が驚いたのは、渋谷の一等地の1Fで物を販売していないんだ ということ。
そして、ただ映像が流れているのをひたすら動画に撮ったり写真に撮ったりする人たちが本当にたくさんいたことです。
この写真には写っていませんが、左側にたくさんの人たちが並んで撮影をしています。さらに驚いたのは女性でこのアイドルの写真を撮ったり映像を撮影したりしている方も結構いたことです。
男性にも女性にも人気があるアイドルグループ。この方たちはそういうファンを作っているのだということにもびっくりしました。
最高の立地に立つ商業施設なのに、その1Fでは物を販売していない。
売らない施設。物販が1Fにない施設。
こんな取り組みをする施設がこれからは増えてくるに違いない。
私はそう実感しました。
これだけ世の中に物が溢れ、店が溢れている時代。
ショッピングセンターと定義されている施設も世の中には3000施設以上あります。
百貨店も減っているとは言え、100店舗以上あります。
アウトレットモールも日本には数十か所あります。
小売店も減少してきたとは言え100万店舗以上はあるわけです。
いくら渋谷にある施設とは言え、もうここで物を販売する必要はない のです。
もっと違う体験を消費者は求めている。
それは何か。
物ではなくコト、体験。
ではどんな体験か。
日本ならではの体験。ここでしかできない体験。
日本にはたくさんのIPコンテンツがあるIP天国です。
それを求めて世界中からたくさんの観光客がやってきている面もある。
それをここ渋谷から発信したらいいのではないか。
その結果できたのがSHIBUYA TSUTAYAのコンセプトなのです。
施設としては売らなくても、そこには企業からの広告出稿という形でプロモーションフィーがとれます。
POP UPとしてのフロア利用料、スペースレンタル料も入るでしょう。
グッズの売り上げが上がれば、売り上げ歩合という形で収入を上げることもできるでしょう。
BtoCの顔をしながら、実際にはBtoBで成り立つ施設。
それがこれからの「売らない施設」、新しい商業施設なのです。
(以下、SHIBUYA TSUTAYAリリース資料より抜粋)
『SHIBUYA TSUTAYA』の1階・地下1階・地下2階の3フロアは、「世界中のIPで好きをつくるフロア」と題し、アニメーションや音楽などのエンタテインメントからハイブランドまで、世界中のさまざまなIPとコラボレーションし、リアルの場でIPのブランド体感をできる期間限定のポップアップストアやイベント等を展開してまいります。(以上抜粋ここまで)
地下から最上階まで、そんなフロアが展開されています。
アイドルやアーティスト、アニメやシェアラウンジ、ポケモンカード対戦のできるしゃれた空間や、スターバックスとは一見わからないようなスターバックスも入っています。
正確に言うとアイドルのグッズを販売していたり、IPコンテンツのNFTを販売したり、QRコートがついていて限定グッズをその場でネットにつないで購入できたり、数万円するアニメのプラモを売っていたりもします。
しかしそれが前面にでていないという点で、売らない施設 なのです。
先日の神宮前交差点にできたハラカドもそうでした。
物を売る店舗は入っているものの、それ以上に、クリエーターの情報発信スペースやアート空間、アートの展示、クリエーターのシェアラウンジなどがメインの施設でした。
物を売らずに、体験を提供する。
これが今後の、特に都心の商業施設では増えてくるでしょう。
新しい体験をしたがっている今の消費者に、どんな体験を提供できるか。
これからの大きな流れを感じた一日でした。
今日も新しい体験をお客様に提供していけるいける!!