ピアニストの中でも好きで私がよく聴いていたお一人が、フジコ・ヘミングさん。

そのフジコさんが4月に亡くなられていたというのを先週ニュースで知りました。

桂由美さんに続いて、また偉大な日本人のご逝去のニュースにさみしさが募ります。ご冥福をお祈りいたします。

 

フジコさんは「魂のピアニスト」と呼ばれることもありました。

 

表現は難しいのですが、私は聞いていて、何か情念というか、これまでのさまざまな体験や思いをのせてピアノを弾いている感じが音にでているのかなあと感じます。

同じ「ラ・カンパネラ」を聴いて、なぜかフジコさんの音色はぐっとくるものがあります。

ミスタッチが・・・などという人もいるうですが、それもまたいい。

フジコさんが感情をのせて弾いているその感じを聴きたいのであって、一音一音正確な曲を聴きたいわけではないからです。

 

(写真 映画 フジコ・ヘミングの時間ポスターより)

 

私がフジコさんの存在を知ったのは、フジコさんが注目を浴びたNHKの「フジコ~あるピアニストの軌跡~」(1998年度)です。

 

 

波乱万丈なフジコさんのドキュメンタリーを見て、衝撃を受けました。

こんなに苦労されている名ピアニストがまだ自分のような大衆にはほとんど知られていなかったことに驚きました。

しかし、この番組によってフジコさんは一躍、時の人となり、その後、「奇蹟のカンパネラ」(1999年)が大ヒット。有名ピアニストとして広く知れ渡るようになりました。

60代を過ぎてブレイクするというのもすごいですが、それがフジコさんの魅力でもあるのだなあと思います。

 

私はその後、フジコさんのインタビュー記事もいろいろ読みました。

その中でもとてもいい記事があります。

それが「大人のおしゃれ手帖Web」のこの記事。

 

 

この取材分の中に、

「私はもうだめだとは思わないでほしい。

私が一夜にして有名になったのは60代だから。

何かの力が働いて扉が開く瞬間があるからいつでも準備していてほしい」

という読者の女性に向けたメッセージが書かれています。

 

まさにこの瞬間のために生きているのかもしれません。

いつの時代も、どんな人も、あきらめずに、魂込めてやっていれば、誰かがそれを見てくれている。神様は必ず見てくれているということだと思います。

 

だからこそ、フジコさんは人間的な部分をとても大切にされていたのだと思います。

機械ではない。人間 フジコさんの姿です。

 

「間違えたっていいじゃない。機械じゃないんだから」

これはフジコファンにはとても有名な言葉として知られています。

 

そう。最近は、間違えることにとても敏感な社会になっています。

間違いなんて誰にでもあります。

意識して間違い続けることはありませんが、正しいことをやろうと思っていても違ってしまうことはあります。

失敗するのです。人間なんだから。

そこはどうしても落ち込むわけですが、そこから次はどうやって上手にやろうかと考えるから工夫が生まれ、また次へと向かうエネルギーになります。

 

こうしたことを繰り返して、人は人として魅力がでてくるのです。

AIでも機械でもない人の魅力は、よく間違えるということです。

 

間違えたっていいじゃない。人間なんだから。機械じゃないんだから。

そんな人ならではの良さを認めていきましょう。

それが生きやすい世の中であり、人の個性を育むポイントだと思います。

 

今日も人間らしさを大切にしていけるいける!!