静岡といえば富士山、お茶、サッカー。

これは私が小さいころからの静岡の三大自慢。

正確には富士山は富士にあり、サッカーは清水と藤枝。

お茶だけが唯一の静岡の産品なのですが、この3つは静岡市民としては、おらが町を代表するものだったわけです。

 

こんな街で生まれ育った私の実家はお茶農家。

お茶畑があり、今ぐらいの時期は毎年、お茶摘みをしていました。

(正確には八十八夜なので5月はじめごろ)

 

お茶に育ててもらったという思いがあった私は、大学で就職活動を始めると、履歴書にこんなことを書いていました。

 

将来の夢は

「グリーンティーマーケティング」を展開し、日本の緑茶を世界に広めたい。

そのためにはおしゃれなカフェを作って、有料でもお茶を飲みたくなるような付加価値をつけて販売できるお茶のブランドを作りたい

と書いて、面接を繰り返していました。

相手の会社がどんな会社でも、いつもきまってグリーンティーマーケティングを口にしていました。

 

そうなのです。

当時は本気でこれを考えていました。

緑茶と言えば常に無料で提供されるもの。

お店に入ってもだいたい水かお茶が最初にでてくる。

それは無料で、日本では水とお茶はお金がかからないもの。

お金をとってはいけないものでした。

 

しかし、私の実家で飲むお茶は本当に美味しいお茶でした。

甘くて時々苦くて、でも飲むとすっきりする。

そんなお茶がもっと認められてもいいのではないか。

珈琲をお金をだして飲むように、お茶をお店でお金を払って飲めるような世の中になったら、実家だけでなく静岡の農家を続けてもいいと思う人が増えて、お茶の卸、小売りも活性化して、30年以上前から斜陽産業になり始めていた静岡のお茶も、盛り上がるのではないか。

 

そんなことを考えていました。

私はその後、コンサルタントの道に進んだため、この夢を叶えることはできませんでしたが、静岡に少しずつ、そんな感じのいい店がオープンし始めています。

「GOOD TIMING TEA」という店は、そんな私の思いを実現したような店。

 

もともと純喫茶だった店が閉店し、あいていたところをリノベして、緑茶が飲めるカフェにしたという静岡の店。

2023年にオープンした店です。

コーヒーや紅茶も飲めますが、緑茶を飲むことができるのです。

 

 

 

 

先日お邪魔した時には、新茶で、「これは苦いですが深くて濃いお茶です」とおすすめしてくれたお茶をいただきました。

お茶を頼んで座って待っていると、若いイケメン店主が丁寧にいれてくれたお茶を持ってきてくれます。

 

一口飲むと確かに若干苦みはありますが、とてもおいしい。

まろやかな風味が伝わってきます。

仕事をしながらお茶を楽しんで、仕事先に向かいました。

 

私は常にお茶を飲んでいますが、こうして店でお茶をいれともらって飲めるのがとてもいい感じ。というかうれしい。

ステキな空間で、かっこいい若者が、お茶をいれてくれてそのお茶を飲んでくつろぐ。

まさに私がイメージしていたような店が静岡にありました。

 

店には「だるま」がディスプレイされています。

もともとだるま屋さん(だるまを作って販売する事業)が祖業で、お茶の卸事業もしていた会社で、今も静岡で茶商を続けている製茶問屋、「だるま屋和田清商店」が同店のオーナーの実家です。

だから、とてもクオリティの高い静岡のお茶を仕入れて販売することができているのです。

 

普通は無料でしか提供できないお茶も、空間をつくり、本物商品を素材にして、しかるべき人が商品化し、しっかりと接客すれば、お金をだしても飲みたい商品になるのです。


昨日私が飲んだお茶は650円。

十分にその価値を感じるお茶でした。

こんなお茶を飲める専門店が近所にもほしい。

そう思いました。

 

付加価値をつけていくというのはこういうことです。

すべての商品やサービスは、こうして付加価値をつければ商売になるし、お客様に認められるブランドになります。

そんなことを実感させられました。

 

今日も付加価値を考えていけるいける!!