夫婦で住宅ローンを借りるというのをペアローンと呼ぶらしい。
ペアローン。
とても軽い感じで、夫婦ならだれでも借りられそうな雰囲気。
言葉としてのチョイスはとてもいい。
貸したい側からすると、使いやすい言葉です。
借りる側も気軽に借りれそう。
しかし、実際はどうなのか。
このペアローン。仕組みとしてはとても単純で、借りたい方からすると、メリットしか見えないのかもしれません。
・30代の夫婦。そろそろ自分たち所有のマンションを手に入れたいと考えている
・しかし不動産価格が高くなっている
・都内の23区内で新築マンションは1億を超えるような物件も増えている
・中古でも7~8千万円するような物件も多い
・あまりにも遠いところには住みたくない
・しかし都心に近いマンションは高くて一人でローンを組んでもさすがに手が届かない
・銀行はこう言う。
「お二人のような 収入の高いご夫婦におすすめなのがペアローンです。お一人でも収入は高い部類にはいると思いますが、お二人になればいわゆる富裕層です。そうなると購入できるマンションのレベルが上がり、選べる範囲がぐっと拡大します。お二人のような富裕層のお客様はペアローンを組まれてはいかがでしょうか。今後さらに収入は増えていかれるでしょうからリスクは少ないと思いますが。」
このような流れでペアローンを組んだ、組まされた人も多いのではないでしょうか。
もちろんこの仕組みでは、一人では借りられないわりと大きな金額が借りられるので、どうしても多くのお金が必要な夫婦にとってはとてもメリットがあります。あると感じてしまいます。
20代の場合は一人で借りる場合に比べて1.9倍の借入額に増えると言います。
2000万が限界なのが3800万まで借りられる。
30代でしたら6千万くらい借りられるという夫婦も多いでしょう。
首都圏の2023年の利用者は「34%と過去最高を記録」(日本経済新聞2024年4月28日)とあります。
なんと3割の買い手がペアローンを利用している。
もはや当たり前のローンになっていると言えます。
貸す側も、より高い融資ができますし、一人よりも二人になることで返済能力が高まることで貸し倒れリスクも低くなる。
結果的にこの仕組みは広がっているのです。
しかしこの仕組み。
私はとてもリスクが高い仕組みだと思います。
大きくは二つ。
一つは、自分たちの力不相応な金額を借りれるということ。
一見するとよさそうですが、よく考えたら、今の自分たちには返せそうにない金額を、より高い利率で借りることになります。
お金がないのにたくさん貸してくれるのでどうしてもお金が必要な方には「ありがたい仕組み、まさに私たちにぴったりの仕組み」に映るでしょう。
しかし、本来は借りられない金額であるということです。
ここを忘れてはいけません。
借りられないのに貸してくれるのは、自分ともう一人、妻、あるいは夫がいるからです。それぞれが働いている。
これが担保です。
働けなくなったら。離婚したら。リスクが高い。
これがもう一つのリスク。
ペアローンはお互いが債務者ですが、お互いの連帯保証人になるケースがほとんどだと思います。
そうなると片方が亡くなったりしたら、一人に二人分が重なります。
そのための保険もあるでしょうが、それにしても負担が大きい。
もっと現実的なのは離婚の場合です。
それぞれが債務者ですから離婚しても別に問題ないじゃないかとなるかもしれません。
しかし片方がそのまま住み続けたら、相手はその分を支払い続けることになります。
売却してローンを上回れば、売却金額を折半すればいいですが、ローン金額を下回るということも多々起こり得ます。
その場合はどうするか。
どちらがお金をもらうのか。
折半なんて都合の良い感じにはなりません。なにせ夫婦ではなくなる2人ですから、金で解決しよう、あるいは金を少しでももらおうとします。
簡単ではないやりとりが長く続きます。
そんなドロ沼関係ない話ではないのです。
3組に1組が離婚しているのが日本。
ペアローンは、夫婦二人の関係が長く続くことが前提のローンです。
しかし離婚は増えています。
離婚することになった場合に、ペアローンはかなり大きな問題になる可能性があります。
ペアローンでのメリットは伝えられますが、デメリットの方が大きいと私は思います。
十分に注意して、これを活用しましょう。
金利が上がっていくこれからの時代。
私たちは自分たちの力相応を考えることがポイントです。
自分の力はどの程度なのか。それを理解することがまず先なのです。
今日も力相応に考えていけるいける!!