先日、新聞でクラフトビール市場規模についての記事がありました。

 

(以下、日本経済新聞 2024年4月18日より一部抜粋)

 

クラフトビールの2022年度の国内出荷数量(課税移出数量)は、新型コロナウイルス禍前の19年度に比べて24%増の4万3745キロリットルだった。

日本クラフトビール業界団体連絡協議会(クラビ連)が18日に発表した。国内のビール系飲料全体の市場に占めるシェアは同0.26ポイント増の0.95%とほぼ横ばいだった。
調査期間は22年4月から23年3月末まで、655のクラフトビール醸造所を対象にした。調査結果の公表は18年度、19年度データを公表した22年以来2年ぶりとなった。アサヒビールとキリンビール、サントリー、サッポロビール、オリオンビールの大手5社は対象外としている。22年度の売上金額は360億6500万円だった。

 

(以上ここまで一部抜粋)

 

 

日本のクラフトビール市場はここまで順調に伸びていると思われていましたし、実際にクラフトビールの種類も増えて、クラフトビールを飲める場所も全国にできて、クラフトビールのサブスクもできるなど、さまざまなものができてきました。

 

クラフトビールを少量で作ることもできるようになってきて、缶や瓶のパッケージデザインも特色のあるものが増えてきました。

 

クラフトビール醸造所の開発もいまがおすすめ(?)という新規開業を勧める企業もあり、世の中にいろいろな醸造所ができました。

 

大手のキリンビールなどもクラフトビールを飲める店を世の中に増やす取り組みをするなど、かなり力をいれてきました。

 

これで国内のクラフトビール市場はさぞ伸びているだろうと感じていた方も多いと思いますが、実際には市場は売上金額ベースで360億円。

国内のビール系飲料市場の0.95%。

1%もないのです。

まだ認知されていない状態。

 

これが日本の実態です。

 

アメリカではビール市場の27%を占めるとも言われているクラフトビールのシェア。

概算でも3兆円ほどある計算になりますのでまったく規模が異なります。

 

こう見ると、日本のクラフトビール市場はまだまだこれから伸びていくとも言えますが、この数年の停滞感を見ると、1%程度が限界ではないかとも思えてきます。

 

(写真 ニールセン 米国のビール売り場はクラフトビールだらけ)

 

なぜ日本では伸び悩んでいるのか。

ビールそのものの市場が落ちている中では健闘しているとは言えますが、なかなか大きくなりづらい一番の理由は、価格ではないかと私は思います。

この数年、クラフトビールの価格が上がりすぎているのです。

 

私は昨年末から今年にかけて、九州や東京、山梨、静岡、新潟などの各地のクラフトビールで「美味しい」と評判のブルワリーを訪ねて飲んできました。

売り切れが続くクラフトビールをやっと飲めたりといったこともあり、それはそれで価値がありましたが、一番感じたことは「高い」ということです。

 

一本1200円、1300円という値付けがされているのもよく見かけるようになりました。

ある醸造所のクラフトビールは、350mlのよくある缶ビールなのですが、1000円以上しました。

 

缶で1000円ってと驚きました。

買うのに躊躇しました。

しかし通常ではその商品は買えない商品をたまたま見つけたので、一度買ってみようと思いました。

買って飲んでみました。

確かにおいしい。おいしいけど、1000円の価値はないと思いました。

せいぜい780円が上限か。

 

さすがに1000円は高すぎます。

 

米国で作って販売しているのならまだ分かります。

物価も違うので。

もちろん日本で原料を海外からの輸入に頼って作っているのでこれも仕方ないのです という理由もあるでしょう。

しかしそれでも1000円は高すぎます。

さすがに原料高でも350mlのクラフトビールが1000円は高すぎる。

 

小売りの店頭で販売する商品も価格が上がっいますし、ビアバーやレストランでのクラフトビール価格も上がっています。

1500円とか2000円という価格も珍しくなくなりました。

 

クラフトビールを作って販売したものの、思ったほどすぐに売り上げが上がらないので、本数を稼げない代わりに単価を引き上げている。

 

そんな安易なことをやっている会社は少ないと思いますが、そのような発想があるとしたらすぐに見直すべきです。

お客さんがついてこないからです。

 

クラフトビールはそんなにすぐに儲かるものではありません。

ある程度時間がかかります。

そこに、目論見違いを感じる事業者もいるのではないかと思います。

クラフトビールで利益をだしている会社は、もっと長い目でじっくりとコツコツ商売をしてきています。

 

そんなにすぐに売り上げは上がらないのです。

飲食店でのクラフトビール販売も同様です。

 

飲食店はさすがに他の一般的なビールとは差をつけてクラフトビールを高く売るのもありかもしれませんが、それでも一杯2000円、3000円になったら、今の日本の飲食価格の中では高すぎます。

 

クラフトビール価格が高くなりすぎたことが、クラフトビールの市場規模拡大を阻害しているのではないかという気がします。

普通のビールは飲めないけど、クラフトビールなら という新規に飲み始めたい初心者も、価格が高すぎると飲むのをためらいます。

結果的に飲まない人が増えて、クラフトビールファンが増えない。

 

そんな悪循環があるのではないかと思います。

 

クラフトビール市場はまだまだ可能性があると思っている一つのカテゴリーですが、今のまま、物価高だからとにかく値上げをしようという流れが強まれば大衆は離れます。

大衆が離れたらシェア1%以上はいかず、売り上げがとれない醸造所が増え、クラフトビール会社の、事業の倒産、閉鎖も増えると思います。

 

ここであらためて日本のクラフトビールの価格を見直して、適正価格で販売してほしいと思います。

そしてクラフトビール市場が確実に広がっていくように変わることを祈ります。

 

今日もクラフトビール市場の拡大を考えていけるいける!!