仙台の奥の方に秋保温泉(あきうおんせん)があります。
駅から車で40分ほど行ったところ。
そこに温泉郷があり、温泉旅館やホテルなどが集まっているエリアです。
地元の仙台市民にとっては、車でぱっと行ける温泉場として有名です。
その秋保温泉に温泉以上に有名(?)な店があります。
秋保おはぎを売る店、主婦の店 さいち です。
私はさいちさんに今から14年前にはじめてお邪魔させていただき、同社の佐藤啓二社長と何度かお話をさせていただきました。
そしてその経営法や考え方に学ばせていただく貴重な機会となったことを今でもよく覚えています。
そのさいちさんに先日お邪魔させていただきました。
昨年は買い物にお邪魔したのですが今回はお店を拝見しにお邪魔しつつ買い物をさせていただきました。
平日の朝10時ごろにお邪魔するとすでに店の前には行列が!!
この列の最後に並んでいると次から次へとお客さんが並びます。
駐車場には大型バスもついて、そこからまたたくさんのお客さんが。
すでにさいちは観光ルートにもなっているほど人気の店になっていることがわかりました。
並ぶこと10分ほど。
少しずつしか列が前に進みません。
多くの人がさいちのおはぎを買いに来ているので、それを手に取って前に進まないと中に入れないのです。
並ぶので期待も膨らみます。
そしてその売り場にはこんな感じでおはぎが並んでいます。
朝あいたばかりなのにすでに棚はこんなにあいています。
びっしり埋まっている棚のおはぎがどんどん売れていきます。
1個140円。
あんこときなことごまとなっとうの4種類。それが2個入り、3個入り、4個入りで売られています。
みんな4個、5個とかごにいれていきますのであっという間に用意したおはぎが売れてしまいます。
売り場の近くには次の補充用のおはぎもおかれています。
それも売れていきます。
とにかくおけばはじから売れていくという感じ。
1時間もすると1回転するのでまた厨房から次の2回転目のおはぎも追加され、またおはぎの販売が始まる・・・。
こんな感じで売れていくので、おはぎが一日5000~6000個販売されるというわけです。
お彼岸の時には一日2万個売れると当時もおっしゃっていましたから、おはぎだけで280万円!!売れるというびっくり一番商品です。
このおはぎ。
とても素朴な味です。
甘さもそれほど甘くない。
そしてすこし大きい。
ぼてっとしています。
塩加減もいい感じであり、一口食べた時に、なんだか懐かしい感じが口に広がります。
そして、あんこが余る(笑)。
それをまたすこしずついただく。
この田舎に戻ってきた時に食べたいおはぎ という味が今も続いているさいちのおはぎの味です。
もともと「田舎に戻ってくる子どもと孫におはぎを食べさせたい」といお客さんのために作ったのがさいちのおはぎの原点。
その味を今も守り続けているのです。
一番単品が大事だと私も何度も伝えていますが、やはり、さいちのおはぎは一番単品の中でもトップクラスです。
名実ともに一番商品とはこのような商品を言うのです。
そのさいちの経営で思い出した言葉があります。
(佐藤啓二社長との会話で教えられたこと より一部抜粋)
「商売は続けること」が大事です。
途中でやめてしまっては意味がないと思うのです。
いかに続けるか。
途中で途切れないようにするにはどうしたらいいかをいつも考えています」
(以上一部抜粋)
とてもシンプルな内容ですが、商売の本質はここにあります。
いかに同じことを飽きずに続けていくか。
小売・サービス業の基本はここにあります。
おはぎという単品を売り続けるのは、ある意味、ルーティンとなり、品質や売り方がおろそかになってもおかしくありません。
飽きるからです。
しかも作り続けるのは大変。当時は奥様の専務が朝1時半に起きて仕込みをしているのです とおっしゃっていました。
それを毎日毎日続けるのは大変です。
しかしそこまでしてなぜ作り続けるのか。
さいちのおはぎをおいしいと言って買いに来てくれるお客さんがいるからです。
そのお客さんに喜んでいただくために、心をこめて1個ずつおはぎを作り続けるのです。
だから売れる。
売れるように作っているから売れるのではなく、お客さんに喜んでもらいたくて作るから売れるのです。
ここがさいちの「こころの経営」と呼ばれる所以です。
さいちにお邪魔して、あらためて経営とは。商売とは。そんなことを思い出させられました。
商売とは続けること。
この一点を再度みなさんにも伝えていきたいと思います。
今日も続けることを大切にしていけるいける!!