アウトドア用品の製造販売企業 スノーピークがMBOを実施すると発表しました。

経営陣による買収 と言われ、経営陣が参加して、株式を現在の終値よりも高値で買い取り、株式の非公開化をはかることになります。

 

現在、スノーピークは東証プライム上場企業です。

2015年に東証1部に上場したにもかかわらず、9年後に非公開化へと舵を切ることになりました。

当時は、株式公開して資金も幅広く調達する必要があったのが、今はそのような状況ではなくなったということですから、非公開化は別段不思議な選択ではありません。

 

スノーピークはそもそも株式上場する必要はなかったのかもしれません。

しかし、出店数を増やしたり、知名度をさらに上げたり、製造レベルをもう一段階上げたり。

より優秀な人材を集めるためには、上場は大きく貢献した のかもしれません。

 

しかし現在、スノーピークは業績が低迷しています。

売上も落ち、利益は大幅減少しています。

店舗も縮小傾向にあり、海外市場の開拓も遅れています。

 

本来は上場によりこうした取り組みに加速をつけたかったはずが、逆にふれているわけです。

これは明らかに、スノーピークがやりたかった経営とは真逆にいってしまったことを意味しています。

 

(写真 スノーピーク 焚き火)

 

もともとスノーピークはアウトドアファンの中でも熱狂的なファンを持つブランドとして知られていました。

特に現在の社長の山井太会長兼社長ファンにより成長してきたブランドです。

 

山井さんのお話を伺ったことがありますが、週末になるといつも燕三条の本社近くのキャンプ場で、火を囲みながら、常連のお客さんたちといろいろと話をするのがたまらなく楽しい時間だ という話をしていたのを思い出します。

 

スノーピークとはそういうブランドなのです。

幅広くいろんな方に支持されるブランドというより、一部のコアなファンが集まって、社長を囲んであれこれおもしろいことを企むようなブランドなのです。

 

それが、売り上げを追ってしまった(結果的に)ために、ブランドの方向性が崩れ、初心者にも、ヘビーユーザーにも、中間層にも、コロナ禍で広がったにわかアウトドアファンにも、ファッション的にスノーピークを買っていたようなインドア派にも目を向けてしまったところに課題があったのだと思うのです。

 

もう一度、自社のファンに向けて、ファンが喜ぶようなブランドづくりをゼロから作るくらい見直していけば可能性があるでしょう。

しかし中途半端に企業価値を上げるような取り組みではなかなか難しいでしょう。

 

ブランドというのは作ろうと思って作れるものではありません。

それはお客様が決めることです。

見せかけだけ作っても、そのようなブランドはすぐに崩れてしまいます。

 

スノーピークの良さは、そのコミュニティ形成力です。

アウトドアの世界では特に重要です。

自然界で生き抜くには仲間が必要だからです。

 

これからどのような方向にスノーピークがいくのか。

ペインキャピタルの取り組みがどう効果を発揮するのか。

注目して見てみたいと思います。

 

今日も原点を大事にしていけるいける!!