昨年、ドラッグストア業界向けに講演(オンライン)させていただく機会がありましたが、その際にも、この業界はまだまだ伸びる可能性はありますが、競争がし烈になっていくことを実感しました。

各社は情報収集に必死で、とにかく生き残っていくために何をすべきかを考えている業界なのだなあと非常に競争を意識させられた機会となりました。

そのドラッグストア業界が動き始めそうです。

 

ドラッグストア業界の最大手はイオンです。

イオン傘下のウエルシアHDはドラッグストア業界最大手企業。

売上は1兆1442億円。

すでに同グループ内での稼ぎ頭の1社です。

 

そのイオンがドラッグストア業界2位のツルハHDの株式を同社株を持つオアシスというファンドから取得する方針で動いていることがわかりました。

ツルハは9700億円の売り上げ。

もし株式取得となれば、ツルハの26%強の株式取得となり、イオングループの持ち分法適用会社となります。

 

両社あわせて2兆円を超える巨大な企業が誕生します。

市場内のシェア25%強となり、市場のトップシェア 26%に限りなく近づき、完全にドラッグストアをリードする企業となる可能性がでてきました。

これはドラッグストア業界再編の始まり。

序章に過ぎないとも言えます。

これはまだどうなるかわからない部分もあります。

金額面で取得できない可能性もありますが、もし実現すれば、ドラッグストア業界を変えていく始まりになるでしょう。

 

(写真 会社四季報より)

 

ドラッグストア業界は市場そのものがまだ伸びています。

また、調剤機能を持ち始めているために、利益率も高い業界です。

 

流通小売り市場の中でも、ドラッグストア業界はまだ伸びる可能性が高いのです。

 

しかし、1店舗当たりの売り上げはここ数年停滞し始めています。

各社は「新規出店」したり「M&A」することにより売り上げを伸ばしていますが、単店ベースでは伸びづらい状態になり始めているのです。

 

また、人材採用も各社での奪い合いです。

100名以上の単位で薬学部卒業生を確保していっていますが、それでも足りない。

 

賃金も高く人件費もかさんできています。

 

また、PB開発競争も激化。

自社の粗利率を上げるためにオリジナル商品を作りたい。そのためにはある程度のスケールが必要です。

イオンの場合は自社のPBをさらに大量に安く提供し続けることは、集客力に大きなプラスとなるため、1兆円規模と2兆円規模では、作れる量が単純に2倍になります。

グループ化ができれば、利益率という点でもトップに立てると踏んでいるのでしょう。

 

これからのドラッグストアは、同業だけでなく、スーパーやコンビニなども含めて五業態の取り込みも視野に入れながら進むことになるでしょう。

もちろん調剤薬局チェーンもその相手になってくるかもしれません。

 

ドラッグストア業界の変化は流通小売り業界の変化の始まりでもあります。

これからの流通小売り業界の変化を考えていけるいける!!