オリックスの山本投手もドジャース移籍が決まりました。

大谷さんが契約金を後払いにした大きな理由は、やはり山本投手のような優勝に必要な選手を獲得するための費用をチームにねん出したかったということでしょう。

それにしても楽しみな24年のMLBとなりました。

次々と一流選手がメジャーに移籍していきますが、野球ファンにとっては両方を楽しめるようになり、海外に行く理由もでき、また、日本では若手にチャンスが広がり、また次のスターが生まれる土壌ができるという点でプラスではないかと個人的には思います。

 

山本由伸投手は178センチ、80キロと大谷さんや他のメジャー選手と比べて身体が小さいのが心配されています。

日本のプロ野球選手の中でも小さいほうでしょう。

今では180センチ超えの選手が普通にいますし、190センチクラスの人もでてきています。

メジャーで投げたらさらにその小ささが目立つかもしれません。

しかし山本投手は日本最高のピッチャー。

メジャーでの評価も過去のピッチャーの中で最高評価されています。

それだけ勝てるピッチャーだと認識されているわけです。

 

小さい体なのに勝てるピッチャーになった理由は何か。

そのヒントが2022年に取材を受けていた「Tarzan」に紹介されていました。

そこには「ウェイトトレーニングはやらない」と書かれていました。

 

私は「やっぱりそうか」と妙に納得しました。

大谷さんくらいの身体の大きさがあり、さらに身体もやわらかく、さらにバッターとしてのパワーが必要な人と、山本投手のように、身体は大きくないが、身体の柔らかさがあり、ピッチャーとしての能力を高める必要がある人とは身体の作り方は異なります。

山本投手は何か特別なトレーニングをしているのだろうと思っていました。

 

山本投手は、3年ほど前から、投げると肘に張りが残り、10日たってもそれが残っている状態を変えたいと思っていたのだそうです。

それをあるトレーナーに伝えると、身体の使い方、身体の鍛え方が間違っていると指摘されたのです。

 

(以下「Tarzan」2022年5月12日 No.833号より一部抜粋)

 

 

「(中略)バランスよく必要なところに筋肉がついていくようなトレーニングを行いました。ピッチャーに必要な筋肉ということではなく、人間本来のカラダの機能を高めていくような方法に変えたのです」

 

「まず、まっすぐ立つ練習から始めて、軸を保てるような姿勢、骨盤の動き、胸郭の向き、呼吸のときの空気の入れ方、そんなところからやっていったんです」

(以上ここまで一部抜粋)

(写真 Tarzanより)

 

たとえばこのブリッジの写真。

ブリッジして腕をあげるというトレーニング。

かなり地味ですがとても難しい。

身体を正しく動かさないとこれはできません。

めちゃめちゃ難しいのです。右手をここまで上げていますが、こんな上げ方はできません。

軸がしっかりしていないとブリッジが崩れるし、肩甲骨が動かないと腕を上げられないし、呼吸もちゃんとできていないと続けることはできないトレーニングです。

 

一見すると意味がないようなものかもしれませんが、身体全体を使えるようにするトレーニングとしては最高のものだと思います。

これが自由にできるようになれば、身体全体を使って投げることもできるし、身体がやわらかい常体を保てるので、疲れにくいし、なにしろケガをしづらい身体になるはずです。

 

ウェイトトレーニングして表面的な部分を鍛えることに比べると、鍛えていないように見えますが、インナーマッスルを鍛えていくことができますし、身体の芯から鍛えられるトレーニングです。

 

このような全身の筋肉や体の内側から鍛えていくトレーニングをこの3~4年強化してきたのです。

これに加えて、今では3食、栄養士さんと調理師さんに食事を作ってもらい、身体を整えてきているそうです。

試合にも作ってもらったお弁当を持っていくようにして、食を大事にしていると紹介されていました。

 

食はトレーニングよりも大事だ という言葉が印象的でした。

今回はアメリカにも食を作ってくれる人を帯同させる予定とか。

 

食と自分の身体にあったトレーニングで身体を根本から鍛えなおす。

そしてピッチングの技術的な部分も修正してきたこの3年。

見事に球界を代表するピッチャー、世界でも注目されるピッチャーへと25歳にしてなった山本投手。

本当に素晴らしいと思います。

ここまでストイックに野球に向き合っている姿は、どこか大谷さんとかぶります。

 

日本で昔から大切にしてきた体のつくり方である、身体の軸づくりを基本にしたトレーニングで、メジャーの大きな選手、ウェイトをばんばんやる選手に立ち向かう山本投手。

その活躍する姿をぜひ見たいと思います。

 

身体は小さくても、世界トップの選手になることもできる。

山本投手には学ぶところが多くありそうです。

小さな身体の活かし方を考えて今日もいけるいける!!