一関の世嬉の一酒造の佐藤航社長から、
「おもしろい店が一関の山奥にできたのでお昼を食べにいきましょう」
と誘っていただき、連れて行ってもらいました。
前回も山の方にできた素敵なイタリアンの店に行きましたが、まだほかにもあるのだと思って興味深々。
「京屋さんが新しく作った施設なんですが、森を切り開いて作っているのです。ちょっとおもしろい取り組みです」
ということでした。
京屋さんとは、一関の世嬉の一酒造さん本社のすぐ近くにある染物屋さん、
京屋染物店さんです。
東京にとてもファンが多い染物屋さんで、若い方々に人気がある会社です。
染物屋さんがなんでわざわざ遠くに場所を確保して、店を作っているのか。
とても興味がありました。
市内から車で20分くらいでしょうか。
意外と遠くて、たんぽと畑しかないところを抜けてさらに山の方に上がっていくと、すこし開けたところにでました。
そこにもともとあった大きな古民家をリノベーションして、店を作っていました。
とてもいい雰囲気です。
まわっているとたまたま京屋さんの蜂谷専務がいらしたので、施設内を案内してもらいながらお話を聞きました。
ここはもともと地元の庄屋さんのような方のお家だったそうで、とても大きな門構えの立派な家だったようですが、長年、人が住んでいなくて、ほったらかし状態になっていたのです。
今はこの写真のようにきれいに道もならされて砂利を敷いて、店もリノベされてかっこいい雰囲気になっていますが、2年ほど前には竹藪で、とても人が入れるようなところではなかったのだとか。
それを1年前から本格的に入り込んで、森を切り開き、ここまでもってきたのだそうです。
「まだまだ手付かずのところに草が生えてくるので、サポーターの方に手伝っていただいて、草刈りなどを毎週しています」とのこと。
ここの施設にボランティアのような形で来てくれて、草刈りを手伝ってくれる人たちが東京など遠方から来てくれるのだそうです。
そして草刈りを手伝ってくれる。
同社にはそんなファンの方々が大勢いるのです。
「もともと地域の伝統芸能と会社の作る染物にはつながりがありました。
岩手は伝統芸能として伝わっている踊りが日本でも一番多いところなんです。
特に一関には鹿(しし)踊りという踊りがあります。山にいる鹿や熊、鴨など、山でとれる生き物の命をいただいて、山に感謝の気持ちをあらわすという踊りです。
その踊りを見たり自分たちで踊ったりしてきて、もっと山とつながりたい、山を近くに感じていたいと思うようになりました。
それでこの土地を見て、まさに自分たちの思いを実現できるところだと感じて、店を作ることにしたのです」
まさに地域の中に根付く店。
地域の自然を大切にし、地元の伝統芸能を守り、そこに人を集め、またここから発信して別の人を呼び込んでいくという循環型の店です。
同社の方が全国からセレクトした雑貨や同社で作っている染物の衣料品の物販スペースと飲食スペースが一緒になった店がメインスペース。
他には染物のワークショップができるようになる施設がもうすぐオープン。
また昔の蔵だったところもリノベして、地域の職人さんや芸術家の方のギャラリーやワークショップなどをやっているのだそうです。
今後はあいているスベース(今はまだ草が生えている)にスノーピークさんと連携してグランピングをできるような空間に変えていくということでした。
まだ始まったばかりの空間。
集まる人たちの手がはいって、少しずつ作り上げていく店になるようです。
まさにこれからの地域に必要な店。
ローカルの良さを大切にしながら、循環型の店として知られる店になるでしょう。
非常におもしろい施設でした。
これからはこのようなローカルの良さを再発見できるような店がいいと思います。
そして本当に循環型の商売をそこでしていく。
地域のいいところを内外に発信し、大切な自然や伝統を若者が守っていく。
このようなことに共感する若者が増えているのもわかる気がします。
むしろ大人よりも若者の方がこうした循環型社会には敏感です。
いいものを残していく努力は本当に大変です。
世嬉の一酒造さんも、重要指定文化財の蔵を修繕しながら、大切に守っていっています。
それは自分たちのためというより、地域のために守っているのです。
こうした取り組みができる会社は地域から守られますし、なにしろファンがつきます。
ファンは作るのではなく、こうした考えに共感してファンが生まれてきます。
とてもいい取り組みをされている店でした。
また行きたいと思います。
今日も地域を大切にしていけるいける!!