コロナで初の上場企業倒産 と報じられたアパレル企業。

レナウン。

 

60代以上の方々にとっては、当時はCMをばんばんやっていたので、レナウンルックとかレナウン、ワンサカ娘と共に認知度が高い会社です。

 

(写真をレナウンワンサカ娘CM)

 

今の若者にはあまりぴんとこない会社かもしれませんが、ダーバンやシンプルライフ、エンスウィートといった、いわゆる百貨店ブランドを多数抱える会社です。

 

今回、レナウンが民事再生となって、「上場企業で初のコロナ倒産」と言われていますが、はっきり言ってこれはコロナの影響ではありません。

同社の親会社から売掛金を回収したかったのができなかった。

つまり同社と親会社との関係からきた問題だということです。

 

そもそも、コロナ以前に厳しい状況が続いていて、コロナが後押しになった部分はありますが、コロナの影響と言い切るのは問題があります。

今後、コロナ倒産というキーワードが当たり前のようにでてくるかもしれませんが、すべてをコロナのせいにする というのは、問題の本質を見誤らせてしまいます。

コロナは大きな問題となって企業にのしかかっていますが、経営を正しくやっていくためには、すべてをコロナの影響にしないことです。

すべてがコロナで吹き飛ぶような状態だったことが問題なのです。

私たちはこうした企業事例から、何が本当の問題だったのかを冷静に見ておくことです。

それが正しい経営を考えるということです。

 

 

レナウンの場合、最大の課題でありクリアすべき問題だったことは

「百貨店依存体質」からの脱却でした。

しかも卸中心だったこと。

 

このままではまずいと、20年ほど前から新たな販売方法の開発は進められていて、新しいブランドを作ったり、海外から持ってきたりして、展開を進めていました。

 

ショッピングセンター向けに昔のブランドをリニューアルしてつくった「アーノルドパーマータイムレス」。

都心路面店や都心百貨店で売れるブランドをめざした「J CREW」は米国からもってきたブランド。

量販店やショッピングセンター向けにリブランドを繰り返したシンプルライフとエンスウィート。

 

その他にも若者向けのブランドもいくつもつくってきました。

 

しかし、残念ながらそれらが花開かなかった。

 

途中、ダーバンと一緒になり、メンズレディスの総合アパレルとして再起をかけたのですが、時期が遅かった。

結果的に販売チャネルが百貨店だけだった ことが同社の売上の限界となりました。

 

1990年代には世界最大の婦人服アパレルだった同社は、徐々に縮小をはじめ、グループ会社だった有力ブランドや会社も切り売りし、結果的に現在の500億ほどの会社になったのです。

 

これはアパレル企業だけに限った話ではありません。

 

企業が成長し続けるためには、常にどこにチャンスがあるのかを見て、考えて開拓していく必要があります。

アパレルであれば、百貨店、ショッピングセンター、量販店、専門店、ネット通販。

卸が難しければ、自前で販売していくチャネル開発。

それが難しければ、新たな事業開発。別の商品やサービスの開発。

 

こうしたことをスピード感をもって進めていければよかったのですが難しかったのです。

 

同社の持っているブランドはまだまだ価値があると見ている企業も多いので、何らかの形で事業は継続されるでしょう。

 

いずれにしてもこれからの企業は、さまざまなリスクを考えて、正しい経営を実践できるようにしていくことです。

レナウンさんにもがんばってこの難局を乗り切ってもらいたいと思います。

 

今日もリスクを考えていけるいける!!