英語と日本語とアルティメット | アスリート・アラサー女子のオーストラリア留学記

アスリート・アラサー女子のオーストラリア留学記

元アルティメット日本代表。
2023年2月〜オーストラリアのウーロンゴン大学院修士課程に在籍、専門はTESOL。
オーストラリア生活のこと、勉強のこと、あれこれ書いてます。
IELTS 7.0
上智大学卒

今記事は日本とオーストラリアでアルティメットを経験した(している)筆者が

アルティメットチームの運営やあり方の違いについて、言語的側面から分析を試みるものである。

 

 

アルティメット歴は今年で16年目

 

日本で14年

オーストラリアで1年半+更新中

 

 

そのほとんどの月日を日本でのアルティメットに費やしてきたため

 

私の根本的な考え方や姿勢は日本式のチーム運営にすっかり慣れている。

 

そのため、オーストラリアでアルティメットチームを見ていて驚くことはいろいろとある。

 

 

まず、

年齢による上下関係がない。

 

 

若い選手も気兼ねなく年上の選手と話すし

臆することなく意見する

 

 

年上の選手も年下の選手を対等に扱い

 

どんな意見に対してもオープンマインドで接している

 

先輩/後輩という概念はなく

 

みんな「チームメイト」なのである。

 

 

これには英語という言語の特性が影響しているのではないかと私は思う。

 

 

 

日本の場合、どのような組織においても多かれ少なかれ「年齢」は人間関係に影響する要素だろう。

 

特にいわゆる「体育会系」のコミュニティでは、非常に厳しい上下関係を経験したことのある人も多いのではないだろうか。

 

 

そして、日本では年上の人に対しては敬語を使うのが一般的である。

 

 

私はこの「敬語」というシステムが

 

人々に強制的に年齢を意識させコミュニティにおける上下関係を生み出す要素になっているのではないかと思う。

 

 

逆に言うと、年齢に関わらずタメ口で話している人同士のコミュニティはどちらかというとカジュアルな雰囲気を醸成している気がする。

 

 

 

英語にも「敬語」のようなものがないわけではない。

 

例えば友人に対して話しかけるときと

一国の大統領に対して話しかけるときでは

 

言葉の選び方には違いが生まれるはずだ。

 

ただし、これは「丁寧な表現」に過ぎず

 

日本語でいう「敬語」とまではいえないと思う。

 

 

また、年齢によって言葉のチョイスを変えているというよりは

相手の地位や立場を考慮しての変化である。

 

その点も大きな違いだ。

 

 

もちろん、日本語においても「相手の方が立場が上だから」という理由で敬語を使うことはある。

 

しかし、日本語の場合はそれにプラスして

「相手の方が年齢が上だから」という理由だけで敬語を使うことはごくごく一般的なことだ。

 

 

 

そして、それはしばしば「敬語を使われる側」があたかも「立場が上」かのような錯覚をもたらす。

 

 

年齢という要素を差し引いたら、実際には同じ立場の人間同士であっても、だ。

 

 

 

 

個人的な考えとしては

 

アルティメットを含むスポーツチーム運営においてこういった上下関係は「害がない限り」

放っておいても良いと思っている。

 

しかし、私の経験からいえるのは、実際にはネガティブな影響を及ぼすことが多いということ。

 

 

年下の選手が遠慮して自分の意見を言えないという場面はよく見る光景だ。

 

あるいは言葉を慎重に選ばざるを得なくなるなど

 

何かとコミュニケーションに害を及ぼすことが多い。

 

チームビルディングや運営面を考えれば、大きなハードルである。

 

 

もちろんチームによって、人によってさまざまな考えがあるだろうから

 

「上下関係は悪だ!!」と一刀両断はできないけれど

 

個人的にはフィールド上ではこうした上下関係はまったく必要ないし、積極的に壊すべきだと思っている。

実際にその考えに沿って行動してきた、と思う。

 

 

 

ただ、なかなか難しいのが実情である。

 

それはやはり「敬語」というシステムが否応なしに年齢を意識させ

 

上下関係を自然と作り出しているからではないかと思う。

 

 

 

英語でのコミュニケーションにおいては

 

言語使用の方法によって年齢を意識することはまずない。

 

15歳下のチームメイトも私のことを呼び捨てにするし

話し方だって超フランクだ。

 

 

年齢など関係なく「チームメイト」であり「友達」である。

 

 

 

 

また、チーム内のミーティングなどを見ても

 

若手選手も年齢が下だからといって遠慮することはなく

ドンドン発言する。

 

もちろん、中には発言が少ない人もいるが

 

それは年下だからと遠慮しているわけではなく

単純に個人の性格の問題だろう。

 

 

チーム全体の雰囲気としては

 

誰でも発言しやすい、カジュアルな空気が自然と漂っている。

 

 

これは、英語という言語の中に「敬語」がないからこそ生まれるものなのではないかと私は思う。

 

 

もちろん、言語だけに起因するものではないだろう。

 

そもそも文化的な違いもある。

(それについてはまた別の機会に触れたいと思う)

 

 

 

しかし、言語は文化を構成する要素であるし

 

言語が先か、文化が先か、という問いは容易に答えられるものではない。

 

ひとつ言えるのは、文化や言語によって人は異なる考え方や価値観を持つということだ。

 

そしてそれは、アルティメットにおいても大きな影響をもたらしている。

 

と、私は思う。

 

以上、長くなったが

最近私の感じていることをつらつらと綴ってみた。

 

 

それでは、また。

 

See ya!!


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