
(C) Block 2 PICTURES 2006
『マイ・ブルーベリー・ナイツ』(07・フランス/香港/中国/95分)
★★☆
監督:ウォン・カーワイ
出演:ノラ・ジョーンズ ジュード・ロウ レイチェル・ワイズ ナタリー・ポートマン
3月22日(土)公開
ウォン・カーウァイの熱心なファンにとって
彼の海外進出は、どういう風に受け止められているのだろう
うれしい?
複雑?
新作を見れるなら、どちらでもいい?
私は、「新作をみれるならどちらでも」のタイプでしたが
映画を拝見して、「複雑」な気分になりました。
立ち直れないほどの失恋をしたある女性が、
自分探しの旅に出るという良くあるストーリーを
丁寧にキャラクターの内面に迫りながら描いているものの、
それほどインパクトを受ける印象はありませんでした(^-^)
良くも悪くもない。
普通の映画な気がします
それは、なぜ?と考えると、
実は「欲望の翼」から長年に渡り、彼の映画に携わってきたスタッフが、
本作には参加していないというのです。
誰にも真似できないオリジナリティあふれる映像美
というウォン・カーウァイが特有の圧倒的な詩的センスが感じられなかったことは、
カメラマンのクリストファー・ドイルを始め、
美術や音楽、編集のスタッフが、外れていることが要因かもしれません。
それとも、いつものスクリーンから発せられる”ねっとり感”はアジア俳優
もしくは、香港ならではのものなのでしょうか。
ウォン・カーウァイ初の全編英語劇という触れ込みが、
一種のキャッチコピーのようになっている本作は、キャストも豪華で、
ハリウッドでも1人ずつ主役で映画を撮れる俳優が揃っています。
ジュード・ロウ、ナタリー・ポートマン、レイチェル・ワイズ
そして、初めて聞いたときは驚いた
歌姫ノラ・ジョーンズ(女優初挑戦)
失恋したノラさん、ブルーベリー・パイを食べるの図
初めて演技したわりには、しっくりきてる
ノラ・ジョーンズをはじめ、役者陣はとてもいい

特に「クローサー」以降、一皮剥けたナタリー・ポートマンの安定した演技はさすが
少しばかり屈折した考えをもつ女ギャンブラーを力強く演じています
「ダージリン急行」のときも思ったけど、ショートカットになって目力が増しましたね

いい女優です

あと、やはり注目は
ノラとジュードのキスシーン

ポスターカットにもなっている写真のやつです
あれ、実はカフェのカウンター越しのキスなんですよね。
(ジュードがカフェのオーナーという設定なんで)
映画的にはあま~いキスなんですが、
現実的に言うと若干、無理な体勢をとらなければいけなかったらしく
撮影には相当な時間を費やしたそう。
監督は終始ニヤニヤしていたとか(笑)
ちょっと、うらやましくなるキスでした

しいていえば、
このキスシーンと
ジュード・ロウが電話をかけるシーンと
クリームが流れるブルーベリー・パイの表面をドアップで捉えた挿入カット
が、ウォン・カーウァイらしいです。
あと、電車を高架下から映したカメラワークとかね。
監督いわく、この映画は「距離」を描いたものらしいです
本当の大切なものに気付くまでの、距離と時間



人生は出会いと別れの繰り返し。
そして、いつかベストポジションに辿り着ける。
そんな、ラブストーリーです
