解雇最前線 (PIP(業績改善計画)襲来)① | オールリコーユニオン(リコーグループ従業員労働組合)

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鈴木書記長執筆の解雇最前線 (PIP(業績改善計画)襲来) が旬報社から発売になります。



『解雇最前線 (PIP(業績改善計画)襲来)』(旬報社・11月30日刊行予定)
 著:鈴木剛(東京管理職ユニオン書記長)
 法律監修:小川英郎弁護士(ウェール法律事務所)
 推薦:萱野稔人(津田塾大学准教授)


同書では東京管理職ユニオンの組合員(仮名)に対して行われたPIPのケースについて掲載されていますが、一足早く、その内容についてご紹介します。



アメリカ資本の大手不動産会社

【上司の恣意的な判断に左右されやすい】
 山下康夫さん(40代・男性)は、もともと日本の大手不動産会社で管理職を務めていて、商業施設の不動産開発にキャリアがあり、能力も高い方でした。前職の上司から、商業施設の開発などに力を貸してほしいと引っ張られて転職しました。元上司は、日本法人の副社長でした。
 ところが、二年ほどすると、アメリカの親会社との間に社内の権力争いのようなことがあり、その副社長が解任されてしまいます。山下さんには、後ろ盾がいなくなり、社内で孤立した状態になり、実力を発揮できない場所に配転させられてしまいます。それでも、山下さんは一生懸命仕事をして、それなりの成果を上げました。ところが、成果を上げても正当な評価をされません。不当な評価が続くなかで、とうとう数年後に、「あなたにはPIPを行使する」と言われます。


【実際はすべて反論可能な内容】
山下さんに行使されたPIPの資料を見ると、「現在の職種に適していません」という結論が先に書かれています。さらに、「山下さんの所属するチームは、メンバーの成長を強く希望している一方で、山下さんについては、この一年間、今後の業務改善の見込みがありませんでした」と、将来も改善の見込みはないと断定をします。
 以降、次々と山下さんがいかにだめであるか、という説明が続きます。「彼が、チームのメンバーから求められたどの業務においても業績を発揮することがなかったことに関し、以下、具体的な例を示します」という具合ですが、これらは、ユニオンが団体交渉をするなかで、すべて反論できるものでした。


【労働組合に加入し異議留保の申し立て】
山下さんは、会社から、「この課題が達成できなければ、自分から辞めてもらうか、大幅な賃金引き下げを受け入れてもらいます」と言われ、困り果てて東京管理職ユニオンに相談にきました。加入して労働組合から団体交渉を申し入れ、山下さんから異議留保の申し立てをしたところ、山下さんに対して課せられたPIPは、止まりました。